日本中央競馬会(以下、JRAに略)は、2024年11月7日にイギリスのT(トム).マーカンド騎手(以下マーカンド騎手)および妻のH.(ホリー).ドイル騎手(以下ドイル騎手)に短期免許を交付したことを発表しました。
これによってマーカンド騎手は、2022年の初来日から3年連続での来日となります。
日本に到着すると早速、美浦トレーニングセンターに夫婦で来場。2人を取り囲んだ報道陣に対して「3回目で、また日本で乗ることができて嬉しいです。いい結果を出したいですね」と爽やかな笑顔を振りまきました。
そんなマーカンド騎手は、2023年9月に25歳の若さで通算1,000勝を記録するなど、現在イギリスを代表するトップジョッキーの1人であり、今回の来日でも大きな期待が寄せられています。
そこで今回は、マーカンド騎手について紹介していきたいと思います。
すでに母国イギリスやオーストラリアなどでG1レースを10勝以上しているマーカンド騎手の生い立ちからイギリス競馬での活躍振りをお伝えしていきますので、ぜひ最後までご高覧ください。
- マーカンド騎手の基本的な生い立ち
- マーカンド騎手の成績や勝ち鞍
- マーカンド騎手の日本での成績
T.マーカンド騎手とは?妻や身元引受人は?
マーカンド騎手は、1998年3月30日にイギリスで生まれの現在26歳です。身長165センチ、体重は54キロと日本人騎手と比較しても身長・体重ともに平均的でしょうか。
そんなマーカンド騎手は、幼少期、イギリスのチェルトナム近郊で馬に囲まれての生活を過ごしましたが、競馬に関係することはありませんでした。
しかし、ポニーレースや地元の調教師のもとで乗馬を経験する中、競馬への意識が芽生えると、16歳でリチャード・ハノン調教師に弟子入りします。
そして、2014年に見習い騎手として初勝利を挙げると、 翌2015年には最優秀見習い騎手を獲得。2016年には、イギリス騎手免許を取得しました。
その後も徐々に実力を付けていったマーカンド騎手。直近の成績をみてみますと、2022年には、91勝を挙げ、イギリスリーディングの第3位となり、翌2023年は、102勝でイギリスリーディングの第4位に入るなど、まさに若干26歳にしてイギリス競馬のリーディング争いを演じるトップジョッキーの1人です。
さらに今年も来日前となる11月7日の時点で104勝と、これはイギリスリーディング第3位の成績であります。
また、イギリス若手騎手の中で頭角を現しているマーカンド騎手といえば、先述の通り、妻のドイル騎手と『夫婦騎手』としても有名ですよね。
現在、夫婦となった2人は、幼少期時代に過ごしたポニーレースで知り合い、リチャード・ハノン調教師のもとでしばらくの間、ともに見習い騎手として働いていたことがキッカケで結婚することにつながったそうです。
同じ騎手として、また同じ志を持った夫婦関係は、本当に羨ましい限りですね。
そしてもちろん、今回の短期騎手免許取得も夫婦揃って取得し、来日となりました。
なお今回の来日期間は、2024年11月9日から12月22日まで。身元引受人は美浦の宮田敬介調教師で、契約馬主は有限会社シルクレーシングとなっています。
T.マーカンド騎手のこれまでの成績や主な重賞勝鞍は?
次にマーカンド騎手のこれまでの成績ですが、2014年に見習い騎手からデビューすると、翌2017年9月にソールズベリー競馬場で行われたディック・プール・フィリーズステークス(英G3)にて、人気薄だったアンナネリウムに騎乗し、見事重賞初制覇を達成しました。
また、翌2018年には、グッドウッド競馬場で行われたシュプリームステークス(英G3)でもアンナネリウムを勝利に導びくと、年末から新年にかけての約6週間をオーストラリアはシドニーのジョン・オシェイ調教師のもとで騎乗するなど、その前向きな姿勢が翌年以降にも活かされます。
そして、その翌年には、エプソムダウンズ競馬場で開催されたプリンセスエリザベスステークス(英G3)にて、アンナネリウムで重賞3勝目を挙げると、2020年3月から4月にかけて、再びオーストラリアへ単身で渡ります。
そこでマーカンド騎手は、ウィリアム・ハガス調教師が管理するアデイブに騎乗し、ランヴェットステークス(豪G1)で自身初となるG1勝利を成し遂げると、クイーンエリザベスステークス(豪G1)でも優勝を果たしました。
オーストラリアでも大活躍をみせたマーカンド騎手。そこでオーストラリアの競馬ファンからは「オージー・トム」というニックネームを付けられたそうです。
また、その年の7月には、エプソム競馬場で行われた伝統のイギリスダービー(英G1)でカリファサットに騎乗しましたが、惜しくもサーペンタインの2着に終わりました。
初のイギリスダービー騎乗および初のクラシック制覇を悔しい思いに終わったマーカンド騎手。
しかし、同年の9月にドンカスター競馬場で開催されたセントレジャーステークス(英G1)にて、ガリレオクロームに騎乗して初のクラシック制覇を達成。見事ダービーの鬱憤を晴らしました。
そして、翌2021年には、エド・ウォーカー調教師が管理するスターマンでジュライカップ(英G1)を勝利し、さらには、オーストラリアでもアデイブでクイーンエリザベスステークスを連覇するなど、さらなるG1勝利をもたらします。
なお、この年は、マーカンド騎手にとって、イギリスでのキャリア最高となる176勝を挙げ、 翌2022年でもタタソールズゴールドカップ(愛G1)などのG1レースを3勝、2023年9月4日には、若干25歳ながらもイギリスで通算1,000勝目を挙げ、名実ともにイギリスのトップジョッキーの仲間入りとなりました。
T.マーカンド騎手の日本での成績は?
今回で3年連続3回目の来日となったマーカンド騎手は、これまでJRAで通算257戦36勝という成績を残しています。
ただ重賞に限っては、16回騎乗しているものの2022年のカペラステークス(G3)でジャスティンの3着が最高着順であり、G1レースに限っては、8回騎乗し2022年のジャパンカップ(G1)にて、デアリングタクトの4着が最高となっています。
なお、これまでマーカンド騎手が残した日本競馬での成績は以下の通りです。
◆日本でのこれまでの成績
年度 | 1着(勝率) | 2着(連対率) | 3着(複勝率) | 4着以下 |
2022年 | 16(11.6%) | 14(21.7%) | 15(32.6%) | 93 |
2023年 | 20(16.8%) | 13(27.7%) | 10(36.1%) | 76 |
Total | 36(14.0%) | 27(24.5%) | 25(34.2%) | 169 |
そして、今回3回目の来日となったマーカンド騎手は、2024年の11月9日から10日の2日間で計12鞍に騎乗し、9日の東京9レース・オキザリス賞にて、5番人気のプロミストジーンを勝利に導くも残りの11戦はすべて着外でした。
なお、その中には、エリザベス女王杯(G1)も含まれており、このレースでは、4番人気だったシンティレーションに騎乗するも10着と残念な結果に終わっています。
ただし、2024年11月30日に開催されたステイヤーズステークス(G2)では14頭立ての12番人気だったシルブロンを2着に導いていました。
単勝オッズ102.0倍のシルブロンで勝ち馬シュヴァリエローズのハナ差なので侮れませんね。
2024年12月1日終了時点で日本でにおける重賞は未勝利ですが、今回の来日で何とか重賞を勝利し、多くの競馬ファンの前でマーカンドスマイルをみせてほしいですね。
T.マーカンド騎手のまとめ
今回はマーカンド騎手について紹介しました。
改めてマーカンド騎手実績をみますと、他の外国人騎手とも忖度ない活躍をされていることが分かります。
また、妻のドイル騎手とともに来日していることも素晴らしいことだと思います。
そして先ほどと重複しますが、何とか今回の来日期間で重賞制覇、いやG1制覇までも期待したい。そう感じさせるイギリスの若手騎手に今後も注目していきたいですね。