毎年11月に入ると、地方競馬でJBCという一大イベントが開催されます。
このJBCでは、地方競馬のトップ馬と中央競馬の強豪馬が一堂に会し、ダートG1競走が同日に複数開催されます。
開催地は年ごとに異なり、全国の地方競馬場が持ち回りで主催するのも大きな特徴です。
本記事では、JBCの概要や構成レース、出走権の仕組みまでわかりやすく解説します。
JBCとは?何の略?
JBCとは、地方競馬におけるダート競走の頂点を決める一大イベントです。
正式名称は「Japan Breeding farms’ Cup(ジャパン・ブリーディングファームズ・カップ)」で、毎年11月上旬に開催されます。
このJBCデーでは、一日で複数のダートG1が行われることから「ダートの祭典」とも呼ばれています。
ここからは、JBCの特徴や成り立ちを詳しく見ていきましょう。
JBCは「地方競馬の祭典」
JBCは、地方競馬を代表するダート競走の祭典として位置づけられています。
普段は各地で分散して行われている地方競馬が、この日ばかりは全国から注目を集める特別な舞台になります。
中央競馬の有馬記念やジャパンカップが「中央の頂点」を決めるレースであるのに対し、JBCは「地方競馬の頂点」を決める日。
地方所属馬だけでなく、中央の一流馬も参戦し、真のダート王を競い合います。
このJBCの存在が、地方競馬の発展と注目度向上に大きく貢献しているのです。
JBCの創設経緯と目的
JBCが初めて開催されたのは2001年。
日本のダート競馬を国際的に発展させることを目的に、地方競馬全国協会(NAR)と日本軽種馬協会が中心となって創設されました。
当時は芝のG1に比べてダート路線の注目度が低く、地方競馬の存在感を高める必要がありました。
そこで、アメリカの「ブリーダーズカップ」をモデルに、一日で複数のG1を行う“ダートの祭典”を立ち上げたのです。
この取り組みは、地方競馬のブランド価値を大きく引き上げる契機となりました。

JBCの開催形式(持ち回り制)
JBCは、毎年異なる地方競馬場で開催される「持ち回り制」を採用しています。
この形式は、ブリーダーズカップの本場であるアメリカでも採用されており、全国の地方競馬場が交代で主催することで、地域ごとの競馬文化を広める目的があります。
これまでに大井、盛岡、金沢、船橋など多くの地方競馬場で行われ、近年では盛岡や中央競馬の京都でも開催されました。
各競馬場のコース形態や馬場特性が異なるため、毎年レース展開が変わるのも魅力のひとつです。
まさに「全国が舞台の競馬イベント」といえるでしょう。

JBCデーは「ダートG1の祭典」
JBCデーは、一日で複数のダートG1競走が行われる日本唯一の特別な開催日です。
通常の競馬ではG1は1日に1レースが基本ですが、JBCでは「クラシック」「スプリント」「レディスクラシック」「2歳優駿」といった4つのG1が一挙に実施されます。
この構成により、距離や性別、年齢の異なる馬たちがそれぞれのカテゴリーで頂点を争います。
ファンにとっては“ダート版ジャパンカップデー”ともいえる豪華な一日であり、地方競馬における最大の盛り上がりを見せるイベントです。
JBCに指定されている4競走
JBCでは、クラシック・スプリント・レディスクラシック・2歳優駿の4つの競走が指定されています。
それぞれ距離や出走条件が異なり、ダート競馬の多様な魅力を一日で味わえる構成です。
いずれのレースも地方・中央の垣根を越えたトップホースが集い、真のチャンピオンを決める舞台となっています。
ここからは、それぞれのレースの特徴を見ていきましょう。
JBCクラシック
| グレード | Jpn1 |
|---|---|
| コース | ダート約2,000m(開催地により変動) |
| 出走条件 | 3歳以上 |
| 負担重量 | 定量(3歳55kg、牡・セン57kg、牝馬2kg減) |
| 1着賞金 | 1億円 |
| 2着賞金 | 3,500万円 |
| 3着賞金 | 2,000万円 |
| 4着賞金 | 1,000万円 |
| 5着賞金 | 500万円 |
JBCクラシックは、JBCシリーズの中でも最も格式が高いメイン競走です。
距離は2,000m前後のダート戦で行われ、古馬の実力馬たちが真のダート王者を懸けて激突します。
地方・中央の垣根を越えた対決が魅力で、過去にはコパノリッキーやチュウワウィザード、クリソベリルなど、歴代のダート最強馬たちが覇を競いました。
勝利馬には、翌年以降の地方・中央重賞でも注目が集まるほどの名誉が与えられます。
JBCの主役ともいえる一戦です。
JBCスプリント
| グレード | Jpn1 |
|---|---|
| コース | ダート約1,200m(開催地により変動) |
| 出走条件 | 3歳以上 |
| 負担重量 | 定量(3歳56kg、牡・セン57kg、牝馬55kg) |
| 1着賞金 | 8,000万円 |
| 2着賞金 | 2,800万円 |
| 3着賞金 | 1,600万円 |
| 4着賞金 | 800万円 |
| 5着賞金 | 400万円 |
JBCスプリントは、JBCデーの中で最もスピード決着になる短距離戦です。
距離はおおむねダート1,200mで行われ、ダート界の最速馬が頂点を競います。
レース序盤から激しい先行争いが繰り広げられ、スタートの巧拙が勝敗を分けるスリリングな一戦です。
過去にはブルーコンコルドやイグナイターなど、地方と中央を代表する快速馬たちが覇を競ってきました。
展開の読みや瞬発力が問われる、まさに“瞬速勝負”の頂上決戦です。
JBCレディスクラシック
| グレード | Jpn1 |
|---|---|
| コース | ダート約1,800m(開催地により変動) |
| 出走条件 | 3歳以上牝馬 |
| 負担重量 | 定量(3歳53kg、4歳以上55kg) |
| 1着賞金 | 6,000万円 |
| 2着賞金 | 2,100万円 |
| 3着賞金 | 1,200万円 |
| 4着賞金 | 600万円 |
| 5着賞金 | 300万円 |
JBCレディスクラシックは、牝馬限定のダートG1競走です。
中央・地方問わず、トップクラスの牝馬が一堂に会し“最強牝馬”の座を懸けて争います。
距離はおおむねダート1,800m前後で行われ、パワーとスピード、そして精神力が試される一戦です。
過去にはホワイトフーガ、サンビスタ、ヴァレーデラルナなど名牝たちが勝利を収め、JBCの華として注目を集めています。
女性馬限定ながらレベルが非常に高く、年々盛り上がりを見せているレースです。
JBC2歳優駿
| グレード | Jpn3 |
|---|---|
| コース | ダート約1,800m |
| 出走条件 | 2歳 |
| 負担重量 | 定量(牡馬56kg、牝馬1kg減) |
| 1着賞金 | 3,500万円 |
| 2着賞金 | 1,225万円 |
| 3着賞金 | 700万円 |
| 4着賞金 | 350万円 |
| 5着賞金 | 175万円 |
JBC2歳優駿は、JBCシリーズの中で唯一の2歳限定戦です。
創設は2020年と新しいレースで、まだキャリアの浅い若駒たちが、将来のダート王を目指してぶつかり合う注目の一戦となっています。
距離は1,800mのダート戦で行われ、スピードだけでなくスタミナや精神力も問われます。
2023年の勝ち馬フォーエバーヤングは本競走で初重賞を手にし、その後は国内外問わず高いレベルで活躍しています。
まさに「未来のスターホース誕生の舞台」といえるでしょう。
JBCの優先出走権が得られる競走
JBCには、各競走への出走権を得られる重要な前哨戦が設定されています。
これらのレースで好走した馬は、JBC本番への切符を手にすることができます。
- 日本テレビ盃:JBCクラシックの前哨戦として位置づけられ、古馬中距離路線の実力馬が集結。
- 東京盃:JBCスプリントのステップレース。ダート短距離の精鋭がスピードを競う。
- レディスプレリュード:JBCレディスクラシックのトライアル。牝馬限定戦として毎年注目を集める。

JBCとは?まとめ
JBCは、地方競馬の魅力とダート競馬の奥深さを一日で味わえる特別なイベントです。
地方と中央の垣根を越えた戦いが繰り広げられ、各カテゴリーの王者が誕生する「ダートの祭典」として多くのファンを魅了しています。
2001年の創設以来、全国の地方競馬場を巡る持ち回り開催によって地域活性化にも貢献してきました。
これからもJBCは、ダート競馬の発展と地方競馬の誇りを象徴する舞台であり続けるでしょう。

