日本中央競馬会(以下JRAと略)は、2025年の春競馬開催のタイミングでドイツ競馬に所属するアンドレアシュ・シュタルケ(以下A.シュタルケと略)騎手に対し、短期騎手免許を交付したことを発表しました。
シュタルケ騎手といえば、2011年の凱旋門賞(G1)をデインドリームで勝利するなど、ドイツのトップジョッキーです。
ただ、名前は知っているけど、実績などを知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、シュタルケ騎手について詳しく紹介したいと思います。
1997年の初来日以降、JRAでの騎乗数は約1,000回に達し、日本競馬の発展を陰で見守り続けている海外ジョッキーの1人でもあるシュタルケ騎手を是非とも知ってください。
A.シュタルケ騎手とは?
A.シュタルケ騎手は、1974年1月4日にドイツで生まれ、2025年の時点で51歳です。1989年にドイツで騎手免許を取得しました。
身長は170センチメートル、体重54キログラムとジョッキーの中では、かなりの高身長で日本人騎手で喩えるなら、武豊騎手や坂井瑠星騎手らと同じくらいです。
幼少期のシュタルケ騎手は、ドイツのハンブルグで生まれ育ち、かつて父親のクリスティアン氏はドイツで障害騎手として活躍した後、アメリカに渡り、8年間騎手として活動しました。
しかし、シュタルケ騎手にとって競馬とは、無縁の生活をしていたのです。
それは、クリスティアン氏が、騎手生活に終止符を打ち競馬界を離れたからなのですが、幼いシュタルケ騎手は、地元のドイツダービー(G1)を目にしたことでジョッキーを志します。
そして、1989年3月19日にアマチュア騎手としての騎手キャリアをスタートさせて、その年にドイツ騎手免許を取得すると、同年6月18日に初勝利を挙げました。
また、デビュー4年目の1992年6月12日には、アイリッシュシチューに騎乗して、ホッペガルテン競馬場で行われたベルリン・ブランデンブルクトロフィー(G3)を制し、重賞初勝利を達成。
その後、ドイツのトップジョッキーとして、数々の名馬に跨り勝利を重ね、幼少期に志願したドイツダービーを8度も勝利しています。
さらには冒頭でお伝えした通り、2011年デインドリームに騎乗し、ドイツ人騎手として凱旋門賞初勝利を果たしました。
そして、50歳を迎えたシュタルケ騎手は、引退までの目標として、ドイツダービーをもう一度勝つことだといいます。
ちなみに2024年のシュタルケ騎手は、ディープインパクトの孫にあたるボルナ(父サクソンウォリアー)でイタリアダービー(G2)を制しましたが、そのボルナと挑んだドイツダービーでは、わずかクビの上げ下げで敗れてしまい、惜しくも9度目の制覇を逃しました。
なお、2025年度の短期免許における身元引受人は栗東の池江泰寿調教師で契約馬主はシルクレーシングとなっています。
A.シュタルケ騎手のこれまでの成績や主な勝鞍は?

ここからは、シュタルケ騎手の実績や主な勝ち鞍について、紹介していきます。
まず、ドイツのリーディングジョッキーに10回(1998年、1999年、2000年、2001年、2003年、2012年、2013年、2015年、2018年、2023年)も輝いている名手です。
ちなみに日本茶愛好家で知られているF(フィリップ).ミナリク騎手が同リーディング4回、また、2022年のホープフルステークス(G1)でドゥラエレーデを勝利に導いたB(バウルジャン).ムルザバエフ騎手でも3回なので、シュタルケ騎手の10回が、いかに断トツの数字だということがお分かりいただけるかと思います。
まさに日本競馬のレジェンド武豊騎手と同じく、ドイツ競馬においてのレジェンドジョッキーといえるのではないでしょうか。
また、主な勝ち鞍は、ドイツのオイロパ賞(G1)やバーデン大賞(G1)にベルリン大賞(G1)など、ドイツの主要G1を制覇しています。
そんな中でも1番有名な勝利といえば、繰り返しとなりますが、ドイツが生んだ世界的名牝デインドリームと共に制した2011年の凱旋門賞と翌2012年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(G1)だと思います。
しかし、その相棒だったデインドリームは2023年8月に日本の社台ファームにて蹄葉炎で15歳という若さでこの世を去りました。
それに対し、シュタルケ騎手は、次のようなコメントを残しています。
「あの日の彼女は、これまで騎乗した馬の中でも最高の存在でした。特別な存在でしたね」
そんなシュタルケ騎手にとって、特別な存在になるデインドリームには、2023年にロードカナロアとの間に生まれた最後の仔がデビューを控えています。
順調にいけば、2025年にデビューすると思われますが、1人の競馬ファンとしては、その仔にシュタルケ騎手が騎乗する姿を是非とも見てみたいと思いますね。
A.シュタルケ騎手の日本での成績は?

次にシュタルケ騎手の日本での実績について、紹介します。
シュタルケ騎手と日本競馬の縁は、1997年のジャパンカップ(G1)まで遡ります。
当時のジャパンカップは、欧州馬が幾多と勝利をしていた時代です。
そして、この年も例外ではなく、カイタノと共に来日したシュタルケ騎手は、6番人気ながらもピルサドスキーの4着に入る活躍をみせました。
その後、2001年には、ジャパンカップダート(G1、現在のチャンピオンズカップ)でアエスクラップに騎乗。
さらに2007年と2008年、2012年には、ワールドスーパージョッキーズシリーズにも招待されました。
なお、2011年には、ジャパンカップにデインドリームで参戦するも、この時はブエナビスタの6着に敗れています。
2012年までは、出走馬に騎乗する目的で来日していましたが、2013年に短期騎手免許を初取得して来日します。
そして、通算40戦目でJRA初勝利を果たすと、2014年4月27日には、マイラーズカップ(G2)で3番人気だったワールドエースに騎乗しJRA重賞初勝利を成し遂げました。
以後、2018年以外は、短期免許で来日し、これまでJRA通算982戦87勝うち重賞4勝を挙げています。
しかし、コロナ禍の影響で2020年3月15日に阪神競馬場で騎乗したのが最後となりました。
その後、2024年の秋に実に約4年半ぶりの短期騎手免許での来日となり、9月21日、中京9Rでアメリカンチケットに騎乗し、約4年半ぶりにJRAで勝利を挙げています。
そんなシュタルケ騎手は、初来日から27年経った今、日本の競馬に対し、次のようなコメントをしてくれました。
「10年から15年の間に、優秀な若手が増えましたよね。初めて来日したときは、武豊騎手や福永祐一騎手、岡部幸雄騎手ばかりでした。若く、才能溢れる若手騎手が台頭しつつあります。これは持論ですが、彼らはヨーロッパとアメリカのスタイルを少しずつ混ぜているように見えます。R(ライアン).ムーア騎手、C(クリストフ).スミヨン騎手、F(フランキー).デットーリ騎手、あらゆる騎手の良いところを取り入れています。力強く、スタイリッシュで、才能豊かな若手がいるのもそういうことです。」
世界的な名手から日本の若手騎手に対して、このようなコメントをしていただけることは嬉しい限りですよね。
そう考えると、日本の若手騎手には、今回、短期騎手免許として来日したシュタルケ騎手の腕前を少しでもお手本にしてほしいと思います。
A.シュタルケ騎手が下手といわれる理由
しかしながら、日本におけるシュタルケ騎手は「下手」と言われることが多いです。
その主な理由は、日本での成績が振るわないことにあるでしょう。
2024年に来日した有名な騎手とシュタルケ騎手の成績と好走率を表で確認してみましょう。
騎手名 | 騎乗期間 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|
A.シュタルケ騎手 | 9月21日~11月17日 | 8-4-9-71 | 8.7% | 13.0% | 22.8% |
C.デムーロ騎手 | 10月26日~12月22日 | 31-23-14-73 | 22.0% | 38.3% | 48.2% |
B.ムルザバエフ騎手 | 2月17日~4月14日 | 21-16-15-102 | 13.6% | 24.0% | 33.8% |
R.キング騎手 | 1月7日~3月3日 | 16-12-17-94 | 11.2% | 23.1% | 34.3% |
R.ムーア騎手 | 11月9日~12月22日 | 12-10-6-43 | 16.9% | 31.0% | 39.4% |
2024年に来日したシュタルケ騎手と、その他の主な外国人騎手の通算成績を比較すると、シュタルケ騎手の好走率は低水準にとどまっています。
また、比較対象とした騎手はこれまでに日本でG1レースを制しています。2024年に来日したR.キング騎手も2025年のフェブラリーステークスで自身初のG1勝利を挙げました。
一方、シュタルケ騎手はこれまで何度も日本で騎乗しているにもかかわらず、G1勝利には手が届いていません。
さらに、騎乗内容にも課題が指摘されています。
例えば、2024年の菊花賞で騎乗したビザンチンドリームは、出負けして後方からの競馬となりましたが、2周目の3コーナーで馬群に突っ込んでブレーキしながら直線で外に出し、そこから脚を伸ばして2着馬と僅差の5着に入りました。
減速しながら最後は伸びていることから、ビザンチンドリームは大健闘していましたし、翌2025年にサウジアラビアで開催されたレッドシーターフハンデキャップを勝利していることから馬のポテンシャルは本物でした。
問題はシュタルケ騎手で、仕掛けや位置取りが少しでもまともであれば、2着も十分に狙えたことでしょう。
このように、好走率の低さに加え、大舞台で結果を残せていないことが、シュタルケ騎手が「下手」と評価される要因となっています。
A.シュタルケ騎手のまとめ

今回は、ドイツの名手・シュタルケ騎手について、ご紹介しました。
シュタルケ騎手は2024年の来日終了時点でJRA通算95勝を挙げました。
今回の来日で100勝に手が届くところにいると思います。
さらに、今回は3月から6月、ちょうどG1シーズン真っ只中の騎乗となりますので、100勝と合わせてG1初制覇をする姿を目にすることができれば、最高ですね。
シュタルケ騎手の活躍に期待したいです!