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サラブレッド三大始祖の歴史と現状|血統の祖を徹底解説

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サラブレッドの血統を父系で遡ると、必ず3頭の馬に行き着きます。

これらは「三大始祖」と呼ばれ、300年以上前に誕生した歴史的な種牡馬たちです。

名前はダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン(ゴドルフィンバルブ)、バイアリータークで、彼らはいずれもサラブレッドではなく、後世に確立された品種の祖先です。

現代のサラブレッドの約9割以上がダーレーアラビアン系で、残る2系統は衰退の一途をたどっています。

しかし、日本競馬や世界の舞台には、それぞれの血を受け継ぐ名馬が存在し、長い歴史を彩ってきました。

本記事では、三大始祖の由来や系統の発展、現代での割合、さらには滅亡説や三大始祖以外の血統までを詳しく解説します。

目次

三大始祖とは

サラブレッドの系譜を父系でさかのぼると、最終的に必ず到達する3頭の種牡馬が存在します。

これらは「三大始祖」と呼ばれ、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン(別名ゴドルフィンバルブ)、バイアリータークの3頭です。

いずれも17〜18世紀に生まれ、当時はまだサラブレッドという品種が確立されていませんでした。

ジェネラルスタッドブックには100頭以上の基礎種牡馬が記録されていますが、現代まで父系を存続させたのはこの3頭のみです。

三大始祖は直系父系で語られますが、母系を通じても競走馬の血統に大きな影響を残しています。

三大始祖の定義と誕生の背景

三大始祖とは、現在のサラブレッドの父系を可能な限り遡った際に行き着く3頭の種牡馬を指します。

名前はダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン、バイアリータークで、17〜18世紀にイギリスへ持ち込まれました。

当時は「ランニングホース」と呼ばれる馬が競走に使われており、サラブレッドという品種概念はまだ存在していません。

多くの種牡馬が記録されていましたが、長い歴史の中で父系を存続できたのはこの3頭だけです。

なお、三大始祖はあくまで父系の祖であり、母系を含めれば他の馬たちも現代競走馬の血統に影響を与えています。

この背景が、血統研究や競馬史において三大始祖が特別視される理由です。

ダーレーアラビアン

ダーレーアラビアンは推定1700年ごろに生まれた純血アラブ種です。

オスマン帝国のアレッポに駐在していたイギリス領事トーマス・ダーレーが現地の族長から購入し、イギリスへ送ったと伝えられています。

種牡馬としての供用は約10年で、その血を受け継ぐ代表産駒が6戦無敗のフライングチルダーズです。

さらに5代目にあたるエクリプスが26戦全勝という圧倒的成績を残し、父系を世界的規模に広げました。

このエクリプスからはキングファーガスやポテイトーズといった種牡馬が誕生し、やがてセントサイモンやネアルコを経てノーザンダンサー系やミスタープロスペクター系へと枝分かれします。

現代では世界のサラブレッドの90%以上、日本においてはほぼ全頭がダーレーアラビアン系に属しており、競馬界における最大勢力となっています。

ゴドルフィンアラビアン

ゴドルフィンアラビアンは推定1724年生まれで、北アフリカのバーバリー地方出身とされています。

生まれた地がアラブではなくバルブ種とみられるため、ゴドルフィンバルブと呼ばれることもあります。

モロッコ皇帝からフランスのルイ14世に献上された後、パリで散水車を引く荷役馬として使われていたという逸話が残ります。

その後イギリスへ渡り、種牡馬として活躍しました。

3代目のマッチェムが父系を大きく発展させ、アメリカでは歴史的名馬マンノウォーの誕生へつながります。

日本でもマンノウォーの子孫である月友が複数のクラシックホースを輩出し、名牝系の基礎を築きました。

現在この父系は世界で約2%のシェアしかなく、日本ではほぼ途絶えていますが、近年アメリカンペイトリオットの輸入などで血の存続が模索されています。

バイアリーターク

バイアリータークは推定1680年生まれで、アラブ種またはターク種と考えられています。

オスマン帝国とハンガリーでの戦争の際に、イギリス軍のロバート・バイアリー大尉が捕獲し、名の由来となりました。

当初は種牡馬として目立った成果を残せず、父系は消滅の危機に瀕しました。

しかし5代目のヘロドが種牡馬として成功し、一時期はエクリプスと並ぶ勢力に成長します。

その後、レキシントンやザテトラークなどの活躍馬を輩出しましたが、19世紀後半から急速に衰退しました。

日本では輸入種牡馬パーソロンがシンボリルドルフやメジロアサマを輩出し、トウカイテイオーやメジロマックイーンへと血をつなぎました。

しかし現在、日本に残る直系種牡馬はごくわずかで、世界的にもシェアは1%未満となっています。

三大始祖の血統シェアと現状

現代のサラブレッドは、そのほとんどがダーレーアラビアン系に属しています。

世界全体では90%以上、日本ではほぼ100%を占める圧倒的な勢力です。

一方、ゴドルフィンアラビアン系は世界で約2%、バイアリーターク系は1%未満まで減少しています。

これら2系統は特定の地域や限られた種牡馬によって細々と存続しており、競走成績や馬場適性の変化も衰退の要因とされています。

血統の多様性を保つため、各国で保存や復活の取り組みが行われています。

世界全体の割合

世界のサラブレッドの父系は、ダーレーアラビアン系が圧倒的多数を占めています。

多くの国で90%台後半のシェアを持ち、日本や豪州ではほぼ全頭がこの系統に属します。

ゴドルフィンアラビアン系はアメリカやブラジル、韓国などで比較的多く、国別では最大でも一桁台のシェアにとどまります。

バイアリーターク系はさらに希少で、イギリスやフランスの一部種牡馬、また日本のごく少数の直系が残る程度です。

この偏りは、20世紀以降の競走成績や種牡馬の国際的流通によって加速しました。

結果として、血統の多様性は縮小し、保存活動の必要性が高まっています。

日本競馬における三大始祖の割合

日本の中央競馬や地方競馬で走るサラブレッドにおいても、ほぼ全てがダーレーアラビアン系に属しています。

特にサンデーサイレンス系、キングカメハメハ系、ノーザンダンサー系などが主流で、血統の多様性は極めて限られています。

ゴドルフィンアラビアン系は、過去にマンノウォーの血を引く持込馬や、カルストンライトオ、サニングデールといった短距離G1馬が存在しましたが、現在では種牡馬数がごくわずかです。

バイアリーターク系はパーソロンの系譜からシンボリルドルフ、トウカイテイオー、メジロマックイーンといった名馬を輩出しましたが、直系種牡馬はギンザグリングラスとクワイトファインのみとなっています。

このため、日本競馬における血統構成は、世界でも特に偏りが大きい国のひとつとなっています。

三大始祖滅亡説

三大始祖のうち、ダーレーアラビアン系は世界の競走馬の大半を占めていますが、残る2系統は衰退の一途をたどっています。

バイアリーターク系は世界シェア1%未満、ゴドルフィンアラビアン系も2%前後まで減少し、一部地域を除けばほぼ姿を消しつつあります。

高速馬場やスピード競馬への移行に適応しきれなかったこと、後継種牡馬の不足などが衰退の原因とされます。

この状況から「滅亡説」と呼ばれ、血統多様性の観点からも危機感が高まっています。

バイアリーターク系の危機

バイアリーターク系はかつてヘロドやレキシントンなどの活躍により大きな勢力を誇りました。

しかし19世紀後半から衰退が始まり、20世紀には主要な父系が次々と途絶えました。

現代では世界全体でシェアが1%未満となり、イギリスやフランスにわずかな直系が残るのみです。

日本ではパーソロンの導入によって一時的に復活し、シンボリルドルフ、トウカイテイオー、メジロマックイーンといった名馬を輩出しましたが、直系種牡馬はギンザグリングラスとクワイトファインの2頭だけです。

高速化する競馬やスピード重視の配合傾向が逆風となり、後継確保が難しい状況が続いています。

母系に血を残す例はありますが、父系存続は極めて厳しい局面にあります。

ゴドルフィンアラビアン系の縮小

ゴドルフィンアラビアン系は、18世紀にマッチェムが父系を発展させ、アメリカではマンノウォーの登場によって大きな注目を集めました。

しかし、19世紀以降はエクリプス系の台頭やスピード競馬への移行に押され、勢力は徐々に縮小しました。

現代の世界シェアは約2%で、主にアメリカや韓国、ブラジルなどに限られます。

日本ではマンノウォーの血を引く月友が複数のクラシックホースを輩出し、カルストンライトオやサニングデールといった短距離G1馬も出ましたが、直系種牡馬はほぼ消滅しています。

近年ではアメリカンペイトリオットの輸入など、血の保存に向けた動きもありますが、勢力回復には至っていません。

ダーレーアラビアン系の独占化

ダーレーアラビアン系は、エクリプスの活躍を契機に19世紀から勢力を拡大し、20世紀にはセントサイモンやネアルコといった大種牡馬の登場で世界的に支配的な立場を築きました。

現在では世界のサラブレッドの90%以上、日本ではほぼ100%がこの系統に属しています。

サンデーサイレンス系やキングカメハメハ系、ノーザンダンサー系などもすべてこの流れに含まれます。

圧倒的なシェアは繁殖効率や競走成績の高さを反映していますが、血統の多様性という点では偏りが問題視されています。

長期的には近親度の上昇や遺伝的リスクも懸念されており、他系統の保存活動が重要性を増しています。

三大始祖以外の血統

サラブレッドの父系は現在三大始祖のみが存続していますが、初期のジェネラルスタッドブックには100頭以上の種牡馬が記録されていました。

その中には、父系は消滅したものの母系や間接的な形で現代競走馬に影響を残している血統もあります。

代表的なのがオルコックアラビアンやダーシーズイエロータークで、特にオルコックアラビアンは芦毛遺伝子を伝えたことで知られます。

こうした血統はサラブレッド以外の改良や色の多様性にも貢献しており、競馬史を語る上で欠かせない存在です。

ここからは三大始祖以外の血統について紹介します。

オルコックアラビアン

オルコックアラビアンは1700年頃に誕生したとされ、三大始祖以外で最も有力な父系を形成した種牡馬です。

父系としては18世紀末に断絶しましたが、芦毛遺伝子を現代に伝えた重要な祖先といわれています。

芦毛馬は父母どちらかが芦毛でなければ生まれないため、現在の芦毛サラブレッドの多くがこの馬にルーツを持ちます。

ダービー馬を輩出するなど競走実績にも影響を与え、色彩や血統の多様化に貢献しました。

ダーシーズイエローターク

ダーシーズイエロータークは1670年頃にイギリスへ輸入されたとされる種牡馬です。

毛色は月毛だったと考えられ、ジェネラルスタッドブック第一巻に記載された始祖の一頭です。

父系は数代で断絶しましたが、その産駒スパンカーが三大始祖の後継種牡馬の母系に入り、後世のサラブレッド発展に寄与しました。

直接的な父系は残らなかったものの、母系経由で現在の血統にも影響を及ぼしています。

三大始祖のまとめ

サラブレッドの三大始祖はダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン、バイアリータークの3頭です。

これらはいずれもサラブレッドが品種として確立する以前の馬であり、父系を遡ると現存のすべてのサラブレッドがいずれかに行き着きます。

ダーレーアラビアン系は世界の約9割を占め、ノーザンダンサー系やサンデーサイレンス系など多くの名血を生みました。

一方、ゴドルフィンアラビアン系やバイアリーターク系は数を減らしつつあり、特に後者は絶滅の危機にあります。

しかし母系や分岐血統を通じて、その影響は今も競走馬の世界に息づいています。

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