中央競馬の重賞レースを見てみると、時折競走馬の名前ののようなレース名があることにお気づきでしょうか。
競馬のレース名は地名や星座、季節や伝統、さらには寄贈元など、さまざまなの由来がありますが、その中にはかつて競馬界で活躍した名馬を称したレースも少なくありません。
そこで、今回は競走馬名が付けられたレースを紹介します。
競走馬名が付けられた中央競馬のレース4選
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2025年時点で中央競馬で開催されている競走馬名が付けられたレースは4つあります。
中欧競馬で開催されている競走馬名が付けられた4つのレースをまとめました。
シンザン記念
グレード | G3 |
創設 | 1967年 |
開催競馬場 | 京都競馬場 |
コース | 芝1,600m(外回り) |
出走条件 | サラ系3歳 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金(2025年時点) | 4,100万円 |
シンザン記念の由来となったシンザンとは1964年のクラシック三冠を勝利した馬で、日本競馬史上2頭目のクラシック三冠馬です。
古馬になってからも天皇賞(秋)と有馬記念を勝利し、最終的には【五冠】を達成しました。日本競馬では長らく「シンザンを超えろ」のキャッチフレーズに元、20年近く競走馬の育成が行われました。
シンザン記念は1月上旬に開催される3歳限定のマイル重賞で、昨年までに実績を重ねた馬が多数参戦します。
ここで収得賞金を加算できれば、よっぽどボーダーが上がらない限り、皐月賞への出走は叶います。
しかしながら、シンザン記念自体はマイルレースなのでどちらかというとNHKマイルカップのほうが結びつきが強く、皐月賞へ向かうのか、それともNHKマイルカップへ向かうかはレース次第です。
なお、少数ですが牝馬の参戦も見られ、2012年の勝ち馬ジェンティルドンナや2018年の勝ち馬アーモンドアイはのちに牝馬三冠競走を勝利し、三冠牝馬となりました。
牝馬にとっては出世レースといえるでしょう。
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共同通信杯(トキノミノル記念)
グレード | G3 |
創設 | 1967年 |
開催競馬場 | 東京競馬場 |
コース | 芝1,800m |
出走条件 | サラ系3歳 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金(2025年時点) | 4,100万円 |
共同通信杯は副題に【トキノミノル記念】と付けられているので紹介します。
トキノミノルとは、1951年の皐月賞と日本ダービーを勝利した二冠馬で、生涯成績10戦10勝、そのうち、レコード記録を7つも手にした怪物クラスの馬です。
ところが、ダービーを勝利したわずか17日後に破傷風のため亡くなり、当時は「幻の馬」と呼ばれました。
活躍した期間はわずかでしたが、かえって競馬界に及ぼした影響は大きく、その功績をたたえて東京競馬場にはトキノミノルのブロンズ像が設置されています。
レースの話に戻すと、共同通信杯は東京競馬場で開催される3歳馬限定の中距離競走で、クラシックのトライアルレースに指定されているわけではありません。
しかしながら、舞台となる東京芝1,800mは日本ダービーや天皇賞(秋)、安田記念といったG1レースと同じ東京で開催されるので適性を図る上で指標にしやすいです。
その影響もあって将来のG1レースに向けて有力馬が参戦する傾向が強く、特に2012年にゴールドシップを皮切りに、多数のG1馬が誕生しました。
少頭数ながらも毎年豪華メンバーが集うことから、いつG2に昇格してもおかしくないレースです。
弥生賞ディープインパクト記念
グレード | G2 |
創設 | 1964年 |
開催競馬場 | 中山競馬場 |
コース | 芝2,000m |
出走条件 | サラ系3歳 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金(2025年時点) | 5,400万円 |
弥生賞ディープインパクト記念は3月上旬に開催される3歳馬限定重賞です。
レース名のディープインパクトとは、2005年のクラシック三冠競走を無敗で達成した馬で、サンデーサイレンスの最高傑作と呼ばれるほどの名馬です。競走馬を引退し、種牡馬としても大成功を収めたことで競馬界に多大な功績を残しました。
競馬に全く詳しくない一般人にも名前が知れ渡っている馬で、おそらく平成生まれの馬でもっとも有名な馬ではないでしょうか。
ディープインパクト記念は2019年に頸椎の骨折のため亡くなりましたが、それまでの功績をたたえて翌年から従来の弥生賞の名称を「弥生賞ディープインパクト記念」に変更しました。
なお、弥生賞にディープインパクトの名前が付けられた理由は、ディープインパクトが現役時代に初めて勝利した重賞だからだと推測できます。
レースの話に戻すと、弥生賞ディープインパクト記念は皐月賞の優先出走権が与えられるトライアルレースです。
舞台となる中山芝2,000mは皐月賞と全く同じ距離なので、ここで結果を残した馬は皐月賞でも適性に期待できます。
しかしながら、2017年にG1昇格した暮れの風物詩であるホープフルステークスも皐月賞や弥生賞ディープインパクト記念と同じ中山芝2,000mが舞台です。
近年は外厩整備の発展からぶっつけG1がブームとなっており、ホープフルステークスのために弥生賞ディープインパクト記念へ向かう有力馬が少し減少していました。
しかしながら、2024年の勝ち馬タスティエーラはのちに日本ダービーを勝利し、2021年と2022年の勝ち馬であるタイトルホルダーとアスクビクターモアは同年菊花賞を制していることから、まだまだトライアルレースとしての役割は果たしていますよ。
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セントライト記念
グレード | G2 |
創設 | 1947年 |
開催競馬場 | 中山競馬場 |
コース | G2 |
出走条件 | サラ系3歳 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金(2025年時点) | 5,400万円 |
セントライト記念の由来となったセントライトは1941年のクラシック三冠を制した馬で、日本競馬史上最初の三冠馬です。
戦前唯一の三冠馬で、種牡馬入りしてからも天皇賞(秋)を勝利したオーエンスなどを輩出しました。
創設は1947年で、セントライト存命時期にから行われており、先に紹介したシンザン記念や共同通信杯、弥生賞ディープインパクト記念より20年近く前から開催されていました。
そんなセントライト記念は最後の一冠である菊花賞のトライアル競走に指定されています。
春のクラシック組だけではなく、夏に力を付けた【上がり馬】も多数参戦し、春とはまた違ったメンバーが見られるのが見どころでしょう。
特に夏の上がり馬にとってはここで優先出走権を獲得できれば最後の一冠を手にするチャンスがあるため、メイチで仕上げてくるケースもあります。
逆に、賞金に余裕がある春のクラシック組は叩きの一戦として挑むことが多いため、仕上がり具合を見極めることも攻略のポイントといえるでしょう。
競走馬名が付けられた地方競馬の主なレース8選
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競走馬名が付けられたレースは中央競馬だけではなく、地方競馬にもあります。
しかも、地方競馬のほうがたくさんレースがありますよ。
ここからは、競走馬名が付けられた地方競馬の主なレースを10レース紹介します。
イレネー記念
グレード | BG1 |
創設 | 1969年 |
開催競馬場 | 帯広競馬場 |
コース | ばんえい200m |
出走条件 | 3歳 ばん馬 |
負担重量 | 定量 |
1着賞金(2025年時点) | 300万円 |
ばんえい競馬のBG1競走に指定されているイレネー記念は3歳馬の最強馬を決める一戦です。
レース名のイレネーとは、フランス生まれの外国馬で、競走馬として活躍したわけはなく、種牡馬目的で輸入されました。
種牡馬としての活躍は目覚ましく、生涯で600頭近くの産駒を輩出、そのうち200頭近くが種牡馬入りし、馬産地北海道の礎を築いた名馬です。
現在、ばんえい競馬が開催される帯広競馬場ではイレネーの銅像も建立されており、ある意味ばんえい競馬の創設馬といえる名馬中の名馬です。
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ダイオライト記念
グレード | Jpn2 |
創設 | 1956年 |
開催競馬場 | 船橋競馬場 |
コース | ダート2,400m |
出走条件 | 4歳以上 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 4,500万円 |
ダイオライト記念は船橋競馬場で開催される中距離ダート重賞です。
レース名となったダイオライトとは、1935年にイギリスから輸入された種牡馬で、セントライト記念の由来となったセントライトを筆頭に数多くの名馬を輩出しました。
晩年は千葉県にある下総御料牧場で繋養されていたため、同県内にある船橋競馬場でダイオライト記念が創設されました。
なお、ダイオライト記念は現存するレースの中でも希少なダート2,400mの競走です。
芝と違ってダートはパワーとスタミナが問われやすいため、ステイヤー色が求められますよ。
フジノウェーブ記念
グレード | S3 |
創設 | 2010年 |
開催競馬場 | 大井競馬場 |
コース | ダート1,400m |
出走条件 | 4歳以上 南関東所属 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 1,500万円 |
フジノウェーブ記念の前身である東京スプリング盃は2010年に施行された比較的新しい重賞です。
創設から4年は東京スプリング盃の名前で開催されていましたが、創設初年度を含め、同競走を4連覇したフジノウェーブが2013年に去勢手術の不慮の事故のため死去したことで、その功績をたたえてレース名が改名されています。
南関東所属のトップホースが多数参戦するレースで、交流重賞ではなじみがない大井ダート1,400mが舞台ということで時折高配当が飛び出します。
2020年は上位人気馬が総崩れということで三連単172万円相当が飛び出していることから、一発当てたい人におすすめできるかもしれません。
コスモバルク記念
グレード | H2 |
創設 | 2011年 |
開催競馬場 | 門別競馬場 |
コース | ダート1,800m |
出走条件 | 3歳以上 北海道所属 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 600万円 |
コスモバルク記念は門別競馬場で開催される中距離ダートの重賞です。
レース名となったコスモバルクは道営所属馬ながらも皐月賞やジャパンカップで2着入りし、セントライト記念や弥生賞では中央馬相手に勝ち切り、さらには地方馬としてはじめて国際G1(シンガポール航空インターナショナルカップ)を制した馬で、【道営競馬の星】として知られました。
2009年の有馬記念を最後に引退し、最終的に9歳まで現役を全うしたことで、引退の翌々年にレースが設立されました。
創設当初はH2開催でしたが2015年にH3に格下げ、しかし2020年には再びH2に昇格しており、今後もH2競走として開催されるのではないでしょうか。
オグリキャップ記念
グレード | SP1 |
創設 | 1992年 |
開催競馬場 | 笠松競馬場 |
コース | ダート1,400m |
出走条件 | 4歳以上 地方馬 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 2,500万円 |
オグリキャップ記念は笠松競馬場で開催されるダートの短距離重賞です。
オグリキャップとは昭和末期から平成初期にかけて活躍した名馬オグリキャップのことで、日本競馬屈指のアイドルホース、そして第二次競馬ブームの火付け役としても有名です。
オグリキャップは笠松競馬でデビューしたのち中央競馬に移籍し、最終的には4つのG1レースを手にしました。
特に、引退レースとなった1990年の有馬記念は戦績不振で「輝きを失ったヒーロー」といわれた矢先の勝利だったので、いまなお「感動のラストラン」として名レースに挙げられるほどです。
地方笠松から中央で輝いたオグリキャップの雄姿を称える意味も込めてオグリキャップ記念は1992年に創設されました。
オグリキャップ記念はもともとダート2,500mの重賞として、ステイヤーホースが多数参戦しました。
ところが、2024年にダート1,400mに距離短縮し、これまでとは全く異なるメンバーが参戦するようになります。
この点は賛否がありますが、今後は短距離レースとして存続すると思われます。
フリオーソレジェンドカップ
グレード | S3 |
創設 | 2013年 |
開催競馬場 | 船橋競馬場 |
コース | ダート1,800m |
出走条件 | 4歳以上 南関東所属 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 1,500万円 |
フリオーソレジェンドカップは船橋競馬で開催される中距離重賞です。
レース名のフリオーソは船橋出身の馬で、2000年代にG1(Jpn1)競走を6勝した名馬です。引退後は種牡馬入りし、地方で活躍する馬を多数輩出しました。
フリオーソレジェンドカップの創設は2013年で当初は準重賞扱いでしたが、2023年よりS3に昇格し、船橋競馬でも存在感を増しています。
フリオーソに続く名馬の誕生に期待したいですね。
ハイセイコー記念
グレード | S1 |
創設 | 1968年 |
開催競馬場 | 大井競馬場 |
コース | ダート1,600m |
出走条件 | 2歳 南関東所属 |
負担重量 | 定量 |
1着賞金 | 2,200万円 |
ハイセイコー記念は大井競馬場で開催されている2歳限定のダート重賞です。
レース名のハイセイコーとは1970年に大井競馬場でデビューした地方馬で、地方で無敗の戦績を残したことで、クラシックの年に中央競馬に移籍、移籍してからは地方出身馬としては初となる皐月賞制覇を成し遂げました。
その現象は競馬界を超え、一般の人にもその名が知れ渡ることとなり、第一次競馬ブームの火付け役としてあっという間にその名前を世の中に広げました。
ハイセイコー記念はハイセイコーが活躍する前の1968年に創設され、当初は青雲賞という名前で開催されましたが、2000年に亡くなったハイセイコーの功績を称え、翌2001年から青雲賞はハイセイコー記念に改名されています。
なお、青雲賞がハイセイコー記念に改名された背景は、ハイセイコーが現役時代に青雲賞を勝利しただと思われます。
2歳限定(旧3歳限定)競走としての地位をいまなお保っており、将来ハイセイコーのような活躍を見せる若駒に向けた試金石のレースとしての役割を担っています。
ロジータ記念
グレード | S1 |
創設 | 1990年 |
開催競馬場 | 川崎競馬場 |
コース | ダート2,100m |
出走条件 | 3歳牝馬 地方馬 |
負担重量 | 定量 |
1着賞金 | 2,200万円 |
ロジータ記念は1990年に創設された3歳牝馬の中距離重賞です。
レース名となったロジータとは1980年代後半に活躍した牝馬で、現役時代は牡馬混合重賞の羽田盃や東京ダービー、古馬になってからは東京大賞典や川崎記念を勝利した川崎競馬史上最強クラスの牝馬です。
繁殖牝馬入りしてからも、帝王賞や川崎記念を制したカネツフルーヴや鳴尾記念やチャレンジカップを制したイブキガバメントなど、産駒に恵まれ、孫のレギュラーメンバーはダービーグランプリや川崎記念を勝利し、繁殖牝馬としても大成功を収めました。
ロジータ記念は11月に開催される南関所属の3歳牝馬限定競走なので、秋華賞の地方ダート版のような役割を担っています。
ここからロジータのように牡馬相手にも通用する馬が誕生することに期待したいです。
競走馬名が付けられた海外の主なレース2選
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競走馬名が付けられた競走は日本だけではなく、海外にもたくさんありました。
ここからは、競走馬名が付けられた海外レースを2つ紹介します。
セクレタリアトステークス
グレード | G2 |
創設 | 1974年 |
開催競馬場 | コロニアルダウンズ競馬場 |
コース | 芝8ハロン(約1,609m) |
出走条件 | 3歳 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 29万1,000ドル |
セクレタリアトステークスはコロニアルダウンズ競馬場で開催される中距離レースです。
レース名のセクレタリアトは1970年代に活躍した名馬で、1973年のアメリカ三冠競走を全て勝利した三冠馬です。その中でもベルモントステークスでは2着馬に31馬身差の圧勝を付けたことで日本でも知られ、日本では【馬のような何か】という扱いがされていました。
種牡馬としても活躍しましたが、もっとも結果を残したのが母の父になってからです。
ストームキャットやエーピーインディなどが種牡馬として活躍し、特に母父ストームキャットとディープインパクトの相性は抜群で、2013年の日本ダービーを制したキズナを筆頭に、数多くの産駒が生まれました。
キズナが種牡馬として成果を残していることから、現在も日本競馬でセクレタリアトの血は継がれています。
なお、セクレタリアトステークスは3歳限定競走で、G1レースに指定されていましたが、2022年にG2に降格されました。
マンノウォーステークス
グレード | G2 |
創設 | 1959年 |
開催競馬場 | ベルモントパーク競馬場 |
コース | 芝11ハロン(約2,213m) |
出走条件 | 4歳以上 |
負担重量 | 牡・セン馬:126ポンド 牝:123ポンド |
1着賞金 | 30万ドル |
マンノウォーステークスはアメリカで開催される芝の中距離レースです。
レース名のマンノウォーとは1920年に活躍した馬で、わずか2年で生涯成績21戦20勝、アメリカ競馬史上初となる獲得賞金20億ドルを超えた馬です。
引退後は種牡馬入りしましたが、ここでも優秀な成績を収め、マンノウォー系統を確立しました。
日本でも昭和期はマンノウォー系が活躍していましたが、平成以降で活躍したのは千直巧者のカルストンライトオくらいで、令和の現在はほとんど途絶えています。
なお、マンノウォーステークスは芝の中距離重賞ということで欧州からの参戦もありましたが、2024年はG1からG2に降格しており、レースグレードを少し下げてしまいました。
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競走馬名が付いたレースの特徴
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これまで競走馬名が付けられたレースを紹介しましたが、どのような特徴でレース名になったのでしょうか。
JRAの公式では適切な回答はありませんでしたが、競走馬名が付いた馬のほとんどがかつて大活躍した名馬です。
そのため、一定以上の活躍を残していることが大前提といえるでしょう。
また、過去のレースを見てみると、特定の時期や期間に競走馬名がレースで付けられるケースもありました。
ここからは、競走馬名が付いたレース名の特徴について解説します。
競走馬名が付けられた中央競馬のレースはすべて3歳馬限定重賞
中央競馬で開催される競走馬名が付けられたレースは4つありますが、すべて3歳馬限定の重賞競走に指定されています。
レースの由来となったシンザンとセントライト、ディープインパクトの3頭は3歳(旧齢4歳)時にクラシック三冠を達成しました。
志半ばで死去したトキノミノルも皐月賞とダービーを勝利した二冠馬なので、おそらく3歳限定に絞ることで、偉大なるクラシックホースに匹敵する活躍を見せてほしいというJRAの計らいかもしれません。
廃止になった競走馬名のレースも少なくない
競走馬名が付けられたレースがある反面、廃止となったレースも存在しています。具体的には下記のレースが廃止されました。
- カブトヤマ記念(G3,2004年廃止)
- クモハタ記念(1981年廃止)
- タマツバキ記念(アラブ限定競走,1996年廃止)
- セイユウ記念(中央では1996年に廃止、地方にレース名が切り替わってからは2004年に廃止)
カブトヤマは第2回日本ダービーの勝ち馬で種牡馬としても活躍、クモハタは第8回日本ダービーを勝利し、1952年から57年まで6年連続リーディングサイアーを獲得しました。
タマツバキはアングロアラブの馬ではじめて平地競走でサラブレッドに勝利した馬で、セイユウはアングロアラブ馬ながらも中央競馬史上唯一となるサラブレッド系重賞レースを勝利したアラブ馬の英雄です。
いずれのレースも名馬の名前が付けられましたが、時代とともに役割を果たしたことで廃止となりました。
10周年周期で過去の名馬の名前が付けられたレースが行われる
中央競馬では西暦の下一桁が4の年に過去の名馬の名前を冠した特別競走が開催されます。
JRAが発足したのが1954年なので、そこから10年スパンで祝いの意味を込めて特別なレースを行っているのです。
このレースに名前が採用されるのは、当該G1を制した名馬の中でも特に評価の高い馬です。例えば、2024年の天皇賞(春)の週にはライスシャワーカップが、日本ダービーの週にはディープインパクトカップが開催されました。
しかし、これらの特別競走は名馬の適性と必ずしも一致しているわけではありません。
例えば、ライスシャワーカップは芝1,200m、ディープインパクトカップはダート1,600mで開催されました。このようなミスマッチ以前から指摘されており、違和感を抱くファンも多いでしょう。
しかしながら、番組編成の都合上、レースの距離や条件を名馬の適性に合わせるのが難しい側面もあります。例えば、天皇賞(春)当日に芝3,200mのライスシャワーカップを組むと、同一開催日に長距離レースが重なりすぎる問題が生じます。
過去の名馬を称える意味では意義のある企画ですが、もう少し適性に合った条件で開催できれば、よりファンの共感が得られるはずなので、今後の改善に期待したいです。
名馬が亡くなると追悼競走が行われる
JRAでは名馬が亡くなると、追悼競走が行われます。
追悼競走は競走馬が亡くなった日や死亡が判明した日からほど近い競馬開催日のメインレースが対象となり、レース名の前に【亡くなった競走馬名と追悼競走】の副題が付けられます。
また、追悼競走が行われる際は、JRAの競馬場や場外馬券売り場に献花台や記帳台が設置されるほか、競馬場や場外馬券売り場ではモニター越しに亡くなった馬の現役時代の活躍を映像で放送し、名馬を追悼する行事が行われるのです。
2025年2月時点追悼が行われた馬は7頭います。
- オグリキャップ
- シンボリルドルフ
- トウカイテイオー
- テイエムオペラオー
- ウオッカ
- ディープインパクト
- タイキシャトル
競走馬名が付けられたレースのまとめ
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今回は競走馬名が付けられたレースをまとめました。
名馬の名を冠したレースは、競馬ファンにとっても競馬の歴史のとっても特別な存在ですし、名馬の偉業を後世に伝える重要な役割を果たしています。
それと同時に、これらの名馬を超えるような活躍を見せる馬が誕生することも競馬の発展において欠かせません。
今後も名馬の名前が付けられたレースを通して、新たな時代を築く名馬が現れることに期待したいです。