2026年の京成杯オータムハンデには19頭が特別登録しましたが、フルゲートは16頭のため、登録した全馬が出走できるわけではありません。
2026年8月31日時点では、ムイ、アルセナール、ブラウンラチェットの3頭が除外対象です。
ブラウンラチェットはアルテミスSの勝ち馬で、アルセナールもクイーンCで2着に入った実績があります。
それでも除外対象になる理由は、出走順が「重賞を勝ったことがあるか」や「これまでに獲得した賞金の総額」ではなく、直近の実績も反映する出走馬決定賞金によって決まるためです。
この記事では、収得賞金と出走馬決定賞金の違いを整理し、なぜ実績のある2頭が京成杯オータムハンデで除外対象になるのかを初心者向けに解説します。
京成杯オータムハンデ2026は19頭登録で3頭が除外対象
京成杯オータムハンデは、2026年9月5日に中山競馬場の芝1,600m外回りで行われるG3です。
今年は19頭が特別登録していますが、フルゲートは16頭となっています。
まずは、登録段階の状況を整理しておきましょう。
現在の除外対象馬はムイ・アルセナール・ブラウンラチェット
2026年8月31日時点の出走可能順位では、上位16頭が出走可能馬として並び、その下に3頭の除外対象馬が並んでいます。
| 区分 | 頭数 | 該当馬 |
|---|---|---|
| 出走可能馬 | 16頭 | ドロップオブライト、エコロブルーム、レザベーション、サイルーン、フォルテアンジェロ、ヴァルキリーバース、クランフォード、ピコローズ、メタルスピード、リラボニート、ラケマーダ、クルゼイロドスル、ファンダム、テレサ、ディールメーカー、ミナデオロ |
| 除外対象馬 | 3頭 | ムイ、アルセナール、ブラウンラチェット |
ここでいう「除外対象」は、登録した時点で出走できないことが確定したという意味ではありません。
出走可能順位に入っている馬が最終的な出馬投票を行わなければ、下位の馬が繰り上がります。
したがって、現段階では「19頭すべてが出馬投票を行った場合、下位3頭が出走できない」という暫定的な位置付けです。
重賞実績があっても出走枠は保証されない
ブラウンラチェットは2024年のアルテミスSを勝った重賞馬です。
アルセナールも2024年のクイーンCで2着に入り、重賞で収得賞金を加算しています。
そのため、「重賞で結果を残した馬が、オープン特別しか勝っていない馬や重賞未勝利馬より下になるのはなぜ」と疑問に感じるかもしれません。
しかし、重賞勝利や重賞2着は、その後に出走するすべての重賞で永久に優先権を与える制度ではありません。
収得賞金は残りますが、出走希望馬が多い古馬のオープン競走では、さらに直近の成績を加えた出走馬決定賞金で比較されます。
重賞馬でも優先出走できるとは限らない

競走馬の実績と、特定のレースに出走できる順位は同じものではありません。
過去に大きなレースを勝った馬でも、登録馬同士の比較で順位が下になれば除外対象になります。
ここでは、初心者が混同しやすい2つのポイントを確認します。
重賞タイトルは永久の優先出走権ではない
重賞を勝つと、その馬の収得賞金に所定の金額が加算されます。
この加算によってオープンクラスへ昇級したり、次のレースの出走順位が上がったりするため、重賞での好走は大きな意味を持ちます。
ただし、「重賞馬」という肩書そのものに、別のG3へ必ず出走できる権利が付いているわけではありません。
トライアルレースで得た優先出走権のような例外を除き、出走希望馬がフルゲートを超えれば、そのレースに定められた出走馬決定方法で比較されます。
今回の京成杯オータムハンデでは、過去の肩書ではなく、登録馬の出走馬決定賞金の順位が重要になります。
ハンデの重さと出走順位は別の話
京成杯オータムハンデは、馬ごとに負担重量が異なるハンデ戦です。
ハンデは、各馬の実績や近走内容などを踏まえ、能力差を調整してレースを接戦に近づけるために設定されます。
一方、出走順位は「どの馬を16頭の枠へ入れるか」を決める仕組みです。
重いハンデを課されるほど評価された馬でも、それだけで出走順位が上がるわけではありません。
出走馬を選ぶ段階と、出走する馬の負担重量を決める段階は分けて考える必要があります。
収得賞金と出走馬決定賞金の違い

今回の疑問を解く鍵は、収得賞金と出走馬決定賞金の違いです。
名前は似ていますが、役割と計算方法は同じではありません。
まずは、それぞれを簡単に整理しましょう。
収得賞金はクラス分けに使う数字
収得賞金とは、競走馬のクラスを区分するために使われる計算上の賞金です。
レースで実際に受け取った賞金を、そのまま積み上げた金額ではありません。
中央競馬では、基本的に1着になったときに所定額が加算され、重賞では2着でも加算されます。
| 競争条件 | 収得賞金への主な加算 |
|---|---|
| 新馬・未勝利 | 1着で400万円 |
| 1勝クラス | 1着で500万円 |
| 2勝クラス | 1着で600万円 |
| 3勝クラス | 1着で900万円 |
| 重賞 | 1着と2着が加算対象。年齢や競走によって加算額が異なる |
3歳以上の重賞では、該当する着順の本賞の半額が収得賞金へ加算されます。
2歳のG3では、1着が1,600万円、2着が600万円です。
収得賞金が1,600万円を超えるとオープンクラスに区分されますが、オープン馬になればどの重賞にも必ず出走できるという意味ではありません。

出走馬決定賞金は出走順を決める数字
出走馬決定賞金は、登録馬がフルゲートを超えたときに、どの馬から出走できるかを決めるための数字です。
古馬のオープン競走では、次の3項目を合計して算出します。
| 項目 | 加算する内容 |
|---|---|
| 1 | 通算の収得賞金 |
| 2 | 対象期間(1)で獲得した収得賞金 |
| 3 | 対象期間(2)でG1またはJ・G1により獲得した収得賞金 |
言い換えると、通算の収得賞金を土台にして、最近の勝利や重賞2着以内を上乗せする仕組みです。
対象期間(1)に収得賞金を加算した馬は、その金額が通算収得賞金へ含まれるだけでなく、出走馬決定賞金の計算でもう一度加えられます。
さらに、対象期間(2)のG1またはJ・G1で収得賞金を得た馬には、長めの期間による上乗せがあります。
このため、通算収得賞金が同程度なら、最近1年ほどの間に勝利や重賞2着以内がある馬ほど上位になりやすいのです。
総賞金が多くても出走順位が上とは限らない
初心者が特に混同しやすいのが、総賞金、収得賞金、出走馬決定賞金の違いです。
| 名称 | 意味 | 今回の出走順位との関係 |
|---|---|---|
| 本賞 | 1着から5着までの馬に交付される賞金 | 直接その総額で比較しない |
| 総賞金 | 競走馬が実際に獲得してきた賞金の合計 | 直接その総額で比較しない |
| 収得賞金 | クラス分けに使う計算上の金額 | 出走馬決定賞金の土台になる |
| 出走馬決定賞金 | 出走できる馬の順位を決めるための金額 | 登録馬が超過した際の比較に使う |
3着以下でも本賞を獲得できるため、安定して掲示板に入る馬は総賞金を増やせます。
しかし、収得賞金は原則として勝利、または重賞2着以内でなければ加算されません。
「これまでに多く稼いだ馬」と「今回の出走順位が高い馬」が一致しないことがあるのは、このためです。
京成杯オータムハンデ2026の賞金集計期間
出走馬決定賞金の上乗せに使う期間は、開催ごとの競馬番組で定められています。
2026年の京成杯オータムハンデは、第4回中山競馬第1日に行われます。
このレースに適用される2つの期間は次の通りです。
| 区分 | 対象期間 | 上乗せの対象 |
|---|---|---|
| 対象期間(1) | 2025年9月6日〜2026年9月2日 | 期間内に獲得した収得賞金 |
| 対象期間(2) | 2024年8月31日〜2026年9月2日 | 期間内のG1またはJ・G1で獲得した収得賞金 |
昔のG3実績は消えないが上乗せ期間からは外れる
対象期間(1)は、レース実施日までのおおむね過去1年間です。
期間より前に獲得した収得賞金は、通算収得賞金から消えるわけではありません。
ただし、出走馬決定賞金を算出する際の「最近の実績」としては上乗せされなくなります。
対象期間(2)はおおむね過去2年間ですが、こちらで上乗せされるのはG1とJ・G1の収得賞金だけです。
したがって、2年以内のG3勝利やG3・G2の2着であっても、対象期間(1)を過ぎれば対象期間(2)の上乗せには使われません。
この「実績は残るが、古くなると上乗せがなくなる」という違いを理解すると、今回の順位が分かりやすくなります。
ブラウンラチェットが除外対象になる理由

ブラウンラチェットは、2024年のアルテミスSを勝ったG3馬です。
JRAの競走馬情報では、平地の収得賞金は2,000万円となっています。
それでも登録順位が下になる理由を、実績の内訳から確認します。
収得賞金2,000万円は新馬勝ちとアルテミスS勝ちの合計
ブラウンラチェットは、2024年9月16日の2歳新馬を勝ち、収得賞金400万円を加算しました。
続く2024年10月26日のアルテミスSも勝利しています。
アルテミスSは2歳のG3であるため、1着による収得賞金の加算額は1,600万円です。
| 加算の根拠 | 加算額 |
|---|---|
| 2歳新馬1着 | 400万円 |
| アルテミスS1着 | 1,600万円 |
| 通算収得賞金 | 2,000万円 |
重賞を勝っているため、ブラウンラチェットの収得賞金が少ないというわけではありません。
2,000万円はオープンクラスの基準である1,600万円超を満たしています。
アルテミスS勝利が直近1年の上乗せに入らない
問題は、アルテミスSを勝った日が2024年10月26日であることです。
京成杯オータムハンデの対象期間(1)は、2025年9月6日から2026年9月2日までとなっています。
アルテミスS勝利はこの期間より前なので、1,600万円は通算収得賞金には残るものの、直近実績としての上乗せ対象にはなりません。
また、対象期間(2)で上乗せできるのはG1またはJ・G1の収得賞金です。
アルテミスSはG3のため、こちらの上乗せにも該当しません。
その後、対象期間(1)では重賞2着以内や勝利による収得賞金の加算がないため、今回の出走馬決定賞金は通算収得賞金と同じ2,000万円になると考えられます。
アルセナールが除外対象になる理由

アルセナールは、2024年のクイーンCで2着に入っています。
さらに、2025年には3勝クラスの分倍河原Sを勝ち、オープンクラスへ昇級しました。
平地の収得賞金は2,050万円ですが、今回の出走順位ではブラウンラチェットとともに除外対象です。
収得賞金2,050万円にはクイーンC2着分も含まれる
アルセナールは、2023年11月11日の2歳新馬を勝って収得賞金400万円を加算しました。
2024年2月10日のクイーンCでは2着に入り、本賞1,500万円の半額に当たる750万円が収得賞金へ加算されています。
その後、2025年5月10日に3勝クラスの分倍河原Sを勝ち、900万円を加算しました。
| 加算の根拠 | 加算額 |
|---|---|
| 2歳新馬1着 | 400万円 |
| クイーンC2着 | 750万円 |
| 分倍河原S1着 | 900万円 |
| 通算収得賞金 | 2,050万円 |
重賞を勝っていなくても、重賞2着で収得賞金を加算できるため、クイーンCでの好走は現在の2,050万円にきちんと反映されています。
分倍河原S勝利も今回の対象期間より前
アルセナールの場合、クイーンC2着は2024年2月、分倍河原S勝利は2025年5月です。
どちらも、今回の対象期間(1)が始まる2025年9月6日より前の実績です。
クイーンCはG3なので、過去2年を対象とする期間(2)のG1・J・G1上乗せにも入りません。
対象期間(1)内のアルセナールは、リステッドのラピスラズリSで12着、谷川岳Sで6着などで、収得賞金を新たに加算していません。
そのため、今回の出走馬決定賞金は通算収得賞金と同じ2,050万円になると考えられます。
アルセナールはブラウンラチェットより通算収得賞金が50万円多いため、登録順位でも1つ上に位置していますが、16頭の枠には届いていません。
出走馬決定賞金は最近活躍した馬を評価する仕組み
今回の事例だけを見ると、重賞実績馬に厳しい制度のように感じるかもしれません。
しかし、出走馬決定賞金には、過去の実績を残しながら最近の活躍も評価する役割があります。
その考え方を、もう少し分かりやすく整理します。
収得賞金は基本点、最近の実績はボーナス点
収得賞金を「これまでに積み上げた基本点」と考えると、出走馬決定賞金を理解しやすくなります。
対象期間(1)の収得賞金は「最近1年ほどの活躍に対するボーナス点」です。
対象期間(2)のG1・J・G1収得賞金は、「最高峰の実績を少し長く評価する追加のボーナス点」と考えられます。
ブラウンラチェットとアルセナールには基本点がありますが、今回の計算期間内で新たなボーナス点を得ていません。
一方、同程度の通算収得賞金でも直近1年ほどに勝利や重賞2着以内がある馬は、その分だけ出走馬決定賞金が大きくなります。
その結果、過去に重賞を勝った馬より、最近オープン競走などを勝った馬が上位になる場合があります。
重賞2着でも何年先まで優先されるわけではない
重賞2着は収得賞金の加算対象なので、出走順位を上げる重要な実績です。
ただし、その効果の現れ方は時期によって変わります。
好走直後は、通算収得賞金と対象期間(1)の両方に反映されるため、出走馬決定賞金が大きく上がります。
おおむね1年を過ぎると、通算収得賞金には残る一方、対象期間(1)による上乗せがなくなります。
過去2年の追加対象になるのはG1とJ・G1だけなので、G2やG3の実績は同じ扱いではありません。
重賞実績が無効になったのではなく、他馬との比較で「最近の加点が付かない状態になった」と考えるのが正確です。
除外対象馬は今後出走できる可能性もある
特別登録の発表後も、出走馬が確定するまでは状況が変わる可能性があります。
登録馬すべてが最終的な出馬投票を行うとは限らないためです。
公開後に記事を読む方は、最新の出馬表も確認してください。
上位馬が回避すれば繰り上がる
出走可能順位の上位馬が、体調やローテーションなどを理由に出馬投票を見送ることがあります。
その場合は、除外対象馬のうち順位が上の馬から出走枠へ入ります。
現在の並びでは、まずムイ、次にアルセナール、ブラウンラチェットの順です。
上位馬が1頭だけ回避すればムイが繰り上がり、アルセナールとブラウンラチェットは除外対象のままです。
2頭が回避すればアルセナールまで、3頭が回避すればブラウンラチェットまで出走できる計算になります。
ただし、最終的な出走馬は出馬投票後に確定するため、登録段階の情報だけで出走や除外を断定しないことが大切です。
まとめ
ブラウンラチェットとアルセナールが京成杯オータムハンデ2026で除外対象になっているのは、重賞実績や収得賞金が無効になったからではありません。
ブラウンラチェットは2,000万円、アルセナールは2,050万円の通算収得賞金を持っていますが、その主な加算実績は今回の対象期間(1)より前です。
古馬オープン競走の出走順は、通算収得賞金に直近約1年の収得賞金と、約2年のG1・J・G1実績を上乗せした出走馬決定賞金で比較されます。
重賞タイトルは永久の優先出走権ではなく、最近活躍した馬が上位になることもあります。
なお、現時点の除外対象は暫定であり、上位馬が回避すれば繰り上がるため、最終的な出馬表を確認しましょう。

