競馬において「クッション値」という言葉を耳にしたことはありますか?
これはJRAが2020年から導入した、芝コースの状態を数値化した新たな指標で、馬場の硬さや弾力を可視化するものです。
天候や芝の管理によって変動するクッション値は、実はレースの展開や脚質傾向、さらには馬券戦略にも大きな影響を与えることがあります。
本記事では、競馬 クッション値 とは何か?という基本的な疑問から、クッション値と脚質の関係や高い・低い場合の狙い方、過去のデータ分析までを初心者にもわかりやすく解説します。
予想に役立つ見えない馬場の情報を、この記事でしっかり読み解いていきましょう。
クッション値とは何か?

クッション値とは、JRAが2020年の秋競馬から導入した新しい馬場情報のひとつで、芝コースの弾力性や沈み込みやすさを数値化したものです。
正式には芝の弾力性・クッション性を評価した値とされており、馬の脚元に伝わる衝撃や地面からの反発力がどれほどかを、JRAが独自の方法で測定しています。
このクッション値は、芝コースの3カ所(ゴール前・各ハロン地点・4コーナー)での測定結果を基に、JRA公式サイトで発表されます。
数値はおおよそ【7.0~12.0】の範囲内で変動し、数値が高ければ高いほど「芝が硬くて反発力が強い(=速い馬場)」、逆に低ければ「芝が柔らかくて脚が沈みやすい(=重たい馬場)」ということになります。
クッション値と脚質傾向の関係

クッション値が示す芝の硬さや反発力は、レース展開や脚質にも大きく影響を与えます。
特に注目すべきなのは、クッション値の高低によって、どの脚質が有利になるかが変わってくる点です。
まず、クッション値が高い(おおむね10.0以上)場合は、芝が硬くスピードが出やすい高速馬場になります。
馬の脚が沈みにくく、地面からの反発力も強いため、スピードに長けた馬が有利になりやすいのが特徴です。
前目でレースを進める馬はスピードを保ちやすく、ラストもその勢いで粘り込める展開が多くなります。
一方で、クッション値が低い(8以下)、芝の弾力が失われ、馬の脚が地面に沈みやすい重めの馬場になります。
芝が柔らかいと推進力が削がれ、前に行く馬がバテやすくなるため、持続力ある脚質の馬の活躍が目立つようになります。
また、こうした柔らかい馬場では、ピッチ走法(小刻みに脚を動かす馬)やパワー型の馬が得意とする条件となります。雨の影響などで馬場が渋っている場合も、クッション値は下がりやすく、スタミナやパワーが問われやすくなります。
このように、クッション値は単なる芝の硬さの数値ではなく、レース展開や有利な脚質を見極めるためのヒントとなる情報です。
芝レースを中心に予想を組み立てる際には、クッション値と脚質傾向をセットで考えるのが、回収率アップの第一歩といえるでしょう。

クッション値のデータ分析と傾向

クッション値は数値として毎週公開されているため、過去レースと組み合わせて傾向を分析することで、馬券に活かせるヒントが見えてきます。
実際、競馬ファンやデータアナリストの中には、クッション値と勝ち馬の脚質、人気、血統などの相関関係を独自に調べて活用している人も多くいます。
たとえば、クッション値が10.0以上のレースでは逃げ・先行馬の好走率が高まり、逆に差し・追い込み馬の勝率や回収率がやや落ちる傾向が見られます。
これは、前に行く馬がスピードを維持しやすい高速馬場になりやすいためです。
一方、クッション値が9.0未満になると、パワー型や差し馬が浮上しやすくなる傾向があり、人気薄の差し馬が馬券に絡む確率も増えると分析されています。
芝の柔らかさが先行馬の負担を増やし、スタミナ勝負になりやすいため、展開の波乱が起きやすくなるのです。
また、芝コースごとの傾向にも違いがあります。たとえば、東京芝1600mは全体的にクッション値が高く出やすく、速い上がりが要求される傾向が強い一方で、中山芝2000mのようにタフさを求められるコースでは、クッション値が低めでも実力差が出やすい構造になっています。
ただし、クッション値が高い=必ず逃げ先行が有利、低い=差しが有利という「絶対的な法則」は存在しません。
過去の天候、馬場管理の傾向、当日の風向きや馬場の内外の傷み具合なども影響します。
そのため、クッション値はあくまで参考ファクターの一つとして扱い、他の馬場情報や血統傾向、枠順などとあわせて総合的に判断することが大切です。
とはいえ、芝レースにおける脚質傾向を事前に予測する際、このクッション値の分析が予想のブレを減らす武器になることは間違いありません。
特に芝中心で馬券を買うファンにとって、見逃せない重要データといえるでしょう。
まとめ:クッション値を活かすために大切な3つのポイント

競馬予想におけるクッション値は、芝コースの馬場状態を把握するうえで非常に有効な指標です。
最大限に活用するためには、次の3点を意識しましょう。
まず、レース当日のクッション値を必ず確認すること。前日と当日で変動する場合もあり、直前の情報が最も重要です。
次に、脚質との相性を理解しておくこと。高ければ先行有利、低ければ差し・追い込み有利とされる傾向を、予想のベースに取り入れましょう。
そして、あくまで補助的な要素と位置づけること。クッション値だけに頼らず、血統や展開、調教内容などと総合的に判断することが、高回収率につながる近道です。
数値の変化に敏感になることで、予想精度は一段と高まります。
ぜひ次のレースから、馬柱やオッズと並んで「クッション値」にも注目してみてください。
あなたの馬券戦略に、新たな武器が加わるはずです。