競馬における収得賞金と獲得賞金の違いとは?計算方法もあわせて解説

獲得賞金や総賞金など、競馬ファンの間では「〜賞金」と名の付く用語は数多く使われています。しかし、これらを正確に説明できる人は意外と少ないもの。なかでも「収得賞金(しゅうとくしょうきん)」は、長年競馬を楽しんでいるベテランファンでさえ、意味はなんとなく知っていても、いざ他人に聞かれると曖昧なまま…というケースが多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな「収得賞金」の意味や役割について、他の類似用語との違いを交えながら、わかりやすく丁寧に解説します。さらに、競馬ファンなら知っておきたい「収得賞金」の具体的な確認・計算方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

獲得賞金とその他各種賞金の手当について

冒頭で紹介したとおり、競馬には様々な「〜賞金」が存在します。

この章では収得金額を除く、下記の賞金や手当の概要を解説します。

  • 獲得賞金(本賞金・総賞金)
  • 付加賞
  • 出走奨励金
  • 特別出走手当
  • 距離別出走奨励賞

獲得賞金(本賞金・総賞金)とは

おそらく最も多くの人がイメージできる賞金であろう、獲得賞金。場面に応じて、本賞金や総賞金とも呼ばれることもあるこの賞金ですが、これは出走した馬のうち1〜5着に入線した馬に対して交付される賞金です。

金額はレースやクラス、グレードによって異なり、競馬番組表にて確認することができ、2着から5着の獲得賞金は、1着馬の獲得賞金の40%・25%・15%・10%となっています。

重賞レースを除く1着獲得賞金は下記のとおり。

平地2歳獲得賞金(単位:万円)

クラス一般競走特別競走
リステッド1,700
オープン1,1501,600
1勝クラス8001,110
新馬750
未勝利560

平地3歳獲得賞金(単位:万円)

クラス一般競走特別競走
リステッド(芝)2,000
リステッド(ダート)1,900
オープン(芝・リステッド除く)1,3501,900
オープン(ダート・リステッド除く)1,3501,800
2勝クラス1,0601,450
1勝クラス8001,110
新馬620
未勝利560

平地3・4歳以上獲得賞金(単位:万円)

クラス一般競走特別競走
リステッド
(芝1,800m以上・牝馬限定以外)
2,800
リステッド
(芝1,800m未満・牝馬限定以外)
2,700
リステッド
(芝1,800m以上・牝馬限定)
2,700
リステッド
(芝1,800m未満・牝馬限定)
2,600
リステッド(ダート)2,400
オープン
(芝1,800m以上・リステッド以外)
2,1002,400
オープン
(芝1,800m未満・リステッド以外)
2,1002,300
オープン(ダート・リステッド以外)2,0002,200
3勝クラス1,7801,840
2勝クラス1,1401,550
1勝クラス8001,110

障害獲得賞金(単位:万円)

クラス一般競走特別競走
オープン1,4301,750
未勝利840

付加賞

「〜特別」や「〜ステークス」、「〜賞」などのレース名が付いている特別競走では、出走を予定している馬主たちから事前に登録料を集めます。

付加賞は、その事前に集められた金額を1〜3着に入線した馬に7:2:1の割合で配分される賞金のことで、その金額が先ほど解説した獲得賞金に加算されます。

競馬新聞や競馬情報サイトに記載されている獲得賞金の端数に当たるのが、この付加賞による金額で、例えば2022年、ドウデュースがダービーを制した際の獲得賞金は2億2,697万8,000円となっていますが、ダービーの優勝賞金は2億円です。そのため、端数である2,697万8,000円が付加賞だということがわかります。

出走奨励金

出走奨励金は、全ての出走馬のうち、6〜9着(重賞および平地オープンは6〜10着)に交付される賞金です。

交付金額は、1着馬獲得賞金をベースにし、下記表のとおり各着順の割合で決定されます。

クラス6着7着8着9着10着
重賞および重賞を除く
平地オープン競走
8%7%6%4%2%
上記以外の競走8%7%6%4%

特別出走手当

この特別出走手当は、出走馬全頭に交付される手当です。

1回の出走につき520,000円という金額をベースとして、下記のとおり加算または減額され交付されます。

加算措置

  • 3・4歳以上の芝1,800m以上の平地競走出走馬
  • 3歳の芝1,800m以上の平地競走出走馬
  • 2歳馬競走出走馬
  • 障害競走出走馬

減額措置

  • 1着馬とのタイム差が規定の秒数を超過した出走馬
  • 3歳未勝利競走編成終了後の平地競走出走馬
  • 5歳以上の平地収得賞金が500万円以下の出走馬(一部)
  • 地方馬・外国産馬

距離別出走奨励賞

距離別出走奨励賞は、3・4歳以上の平地競走に出走した1〜10着馬に対して交付されるものです。

2〜10着馬の交付金額は1着馬の金額(下記表)をベースに、40%、25%、15%、10%、8%、7%、6%、3%、2%を乗じた金額となります。

(単位:万円)

クラス平地・芝1,800m平地・芝1,800~2,000m平地・芝2,000m以上
重賞以外オープン
(特別・一般競走)
140260380
3勝クラス
(特別・一般競走)
140260380
2勝クラス
(特別・一般競走)
140260380
1勝クラス
(特別競走のみ)
80140200

競馬における収得賞金とは?【計算方法も紹介】

ここまで、競走馬が獲得できる各種賞金や奨励金などについて解説してきましたが、ここからが本題です。

結論から言うと、収得賞金は賞金とは呼ばれているものの、実際には競走馬の階級・クラスを決めるための、単なるポイントであり、そのポイントの単位がたまたま「円」だった、とお伝えするとイメージしやすいでしょうか。

つまり、収得賞金は先ほどまでに解説した獲得賞金や奨励金とは異なり、実際に陣営に交付されるお金ではなく、その獲得条件や計算方法もまた異なります。

次の章からは、そんな収得賞金の獲得条件や計算方法、どのようにして階級・クラス決めがされるのかを解説します。

競走馬のクラスは収得賞金によって決まる

競走馬は一般的に、その年齢と時期、これまでに獲得した収得賞金に応じてクラス分けがされます。

一体どれほどの収得賞金があれば、どのクラスのレースに出走できるのか下記の表にまとめました。

2歳夏季

収得賞金額クラス
0円新馬・未勝利
1万円以上オープン

2歳秋期〜3歳春季

収得賞金額クラス
0円新馬・未勝利
500万円以下1勝クラス
501万円以上オープン

3歳夏季

収得賞金額クラス
0円未勝利
500万円以下1勝クラス
501〜1,000万円以下2勝クラス
1,001〜1,600万円以下3勝クラス
1,601万円以上オープン

3歳秋期以降

収得賞金額クラス
500万円以下1勝クラス
501〜1,000万円以下2勝クラス
1,001〜1,600万円以下3勝クラス
1,601万円以上オープン

収得賞金の獲得条件と計算方法一覧

まずは、収得賞金の獲得条件を下記の表で確認してみましょう。

レース区分加算される条件と収得賞金額
新馬戦・未勝利戦1着400万円
1勝クラス1着300万円
2勝クラス1着600万円
3勝クラス1着900万円
2歳リステッド競走1着800万円
2歳九州産馬限定競走1着500万円
2歳その他オープン1着600万円
3歳リステッド競走1着1,200万円
3歳その他オープン1着1,000万円
3・4歳以上リステッド競走1着1,400万円
3・4歳以上その他オープン1着1,200万円
2歳G3、各付け無し重賞1着1,600万円、2着600万円
2歳G1・G21着・2着とも本賞金の半額
3歳以上重賞1着・2着とも本賞金の半額

あわせて、地方競馬や海外競馬に出走した際の収得賞金の獲得条件と計算方法も表にしました。

地方競馬や海外競馬で加算される条件は、年齢とグレードで決まる国内のレースと異なり、獲得賞金の金額によって決定されるのが特徴です。

獲得賞金加算される収得賞金
1着馬1,200万円以上獲得賞金の半額
2着馬480万円以上獲得賞金の半額
1着馬400万円以上1,200万円未満一律400万円
2着馬160万円以上480万円未満一律160万円
1着馬10万円以上400万円未満そのままの獲得賞金額
2着馬160万円未満そのままの獲得賞金額
1着馬10万円未満一律10万円

なお、同着が発生した場合は、加算される収得賞金がそのまま半分ずつ配分されます。

これらの表から見てわかるとおり、重賞以外では1着、重賞であっても2着以上に入着しなければ収得賞金を獲得することはできません。

つまり、新馬戦や未勝利戦で何度2着に好走したとしても、1勝クラスに上がることはできません。また、収得賞金獲得の条件の1つである、重賞2着以上はもちろんG1レースも含まれているため、いくらG1といえど3着では収得賞金を加算することはできません。

このことを踏まえると、収得賞金を稼ぐ上ではG1の3着よりも、G3の2着の方が価値があると言えるでしょう。

収得賞金を稼ぎ続け、次のクラスに昇級し、重賞レースに挑戦することがいかに難しいかが、この収得賞金の特徴から知ることができます。

次の章では、そんな収得賞金を特徴的に稼いだ名馬を紹介します。

収得賞金を特徴的に稼いだ名馬

競走馬の中には圧倒的な強さで短期間のうちに収得賞金を稼いだ馬、逆にデビューから勝ちきれず収得賞金が伸び悩んだ馬、G1未勝利ながらも多額の収得賞金を稼いだ馬など、たくさんの馬がいます。

ここからは上記3頭に当てはまる馬をそれぞれ解説します。

今回紹介する名馬はこちら。

  • ディープインパクト
  • ステイゴールド
  • ディープボンド

ディープインパクト

無敗でクラシック三冠を達成するなど、その後も天皇賞(春)やジャパンカップなどのG1レースを制し、競馬ファンでなくとも、多く人がその名を聞いたことがあるであろうディープインパクト。

ディープインパクトはその圧倒的な強さから、新馬戦、オープン戦を1度で突破し収得賞金を積み重ね、あっという間にオープンクラスに昇級しました。

現役時代に稼いだ収得賞金は7億円を超えていますが、出走数は14戦と少なく、1レースあたりの収得賞金効率が非常に高いことが特徴です。もし出走数が多ければ、その金額はさらに高額になっていたことが容易に想像できるほどの名馬と言えるでしょう。

ステイゴールド

白い怪物と言われたゴールドシップの父であり、その他にもオルフェーブルやドリームジャーニーなど数々の名馬を輩出し、種牡馬として大成功をおさめたステイゴールド。

そんなステイゴールドですが、現役時代はデビューから初勝利まで6戦を要しており、収得賞金を思うように稼ぐことができず、3歳時のクラシック戦線では収得賞金が不足していることにより、主要レースに出走することすら困難なほどでした。

しかし、典型的な晩成型の馬であったため、その後は安定した活躍をみせ、香港ヴァーズ(G1)を制して引退を迎えます。

ディープボンド

プボくんの愛称で多くのファンを持つディープボンドは、G1未勝利ながらも多くの収得賞金を獲得している珍しい経歴を持っている馬です。

その理由としては、何度か重賞で勝ち負けの好走をしているだけでなく、高額な獲得賞金レースである天皇賞(春)で2着が3回、有馬記念でも2着に入線しており、G1レースで何度も2着入りしている安定性があったことが挙げられます。

2024年の引退までに獲得した収得賞金は6億円を超えました。

2024年終了時点でG1級競走未勝利馬における歴代獲得賞金ナンバーワンで、G1未勝利の馬としては異例の高額収得賞金を獲得している名馬です。

収得賞金と獲得賞金のまとめ

ここまで、収得賞金について、獲得賞金との違いや獲得条件、計算方法をよくある質問とあわせて解説してきました。

春競馬が始まると、馬主たちは愛馬をクラシックの舞台へ送り出すため、収得賞金を稼ごうと、戦々恐々とする時期になります。

もし競馬中継などで、「クラシックに向けて賞金を加算したいところでしょう」などのコメントが聞かれたら、それは間違いなく今回解説した収得賞金のことです。

あ、収得賞金のことを言ってるな?」とわかるようになれば、より競馬を深く楽しめる証でしょう。その時はこの記事を読んだことを思い出してくれると幸いです!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次