競馬の牝馬とは?強い牝馬の特徴や牡馬との違い、有名な牝馬も紹介

競馬において「牝馬(ひんば)」という言葉は頻繁に登場しますが、その意味や役割を正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、牝馬とは何かという基本的な定義から始まり、牡馬との違い、牝馬限定レース、有名な強い牝馬の活躍までをわかりやすく解説します。

牝馬の魅力を知れば、レースの見方がより一層深まること間違いないでしょう!

目次

牝馬とは?競馬における定義と特徴

競馬では、出走馬の性別がレース結果に大きく影響することもあります。

その中でも「牝馬」は、身体的特徴や性格、競争の傾向など、牡馬とは異なる一面を持つ存在です。

ここでは、牝馬の基本的な定義から、牡馬や騙馬との違い、牝馬特有の性質までを詳しく見ていきましょう。

牝馬は雌馬(メスウマ)を指す

牝馬(ひんば)とは、メスの馬を指します。

競馬では、牝馬は牡馬と並んで重要な存在であり、現役時代の成績はもちろん、引退後の繁殖牝馬としての価値も注目されます。

華やかな血統や走りの美しさなど、牝馬ならではの魅力が多くのファンを惹きつけています。

牝馬の反対は牡馬

牝馬の反対は「牡馬(ぼば)」で、オスの馬を指します。

競馬では、牡馬の方が筋肉量が多く、パワー型のレースに強いとされる傾向があります。

また、去勢された牡馬は「騙馬(せんば)」と呼ばれ、性格が穏やかになりやすく、レース中の安定感が増すため、長く活躍する馬も少なくありません。

性別ごとの特徴を知ることで、レースの見方もより深くなります。

牝馬は身体が軽く瞬発性があるのが特徴

牝馬は牡馬に比べて筋肉量が少なく、体重も軽いため、軽やかな動きが特徴です。

そのため、芝の短距離や中距離レースなどで鋭い瞬発力を発揮する場面が多く見られます。

スピードの持続力よりも、一瞬の切れ味で勝負するタイプが多いのも牝馬の傾向です。

パワー型の牡馬とは異なる武器で勝負できるのが、牝馬ならではの魅力といえるでしょう。

気性が繊細な馬が多いのも牝馬の特徴

牝馬には繊細な性格の馬が多く、調教や環境の変化に敏感に反応することがあります。

調子を崩した牝馬は立て直しが難しいとされ、「崩れた牝馬は立て直しがきかない」と言われるほどなのです。

しかしながら、メンタルとフィジカルが噛み合ったときの走りは圧巻で、この点も牝馬独自の魅力とも言えるでしょう。

牝馬はレースで不利?牡馬との違いと勝負の傾向

競馬では「牝馬は牡馬より不利」と言われることがありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

確かに体格や筋力面で牡馬に劣る部分もありますが、牝馬には軽さや柔らかさといった独自の強みがあります。

さらに、斤量面での優遇措置や近年の牝馬の活躍により、その差は年々縮まってきています。

ここでは、牝馬が持つ特徴や現代競馬における立ち位置について詳しく見ていきましょう。

牝馬は軽快さと柔らかさに定評がある

牝馬は体のしなやかさや柔軟性に優れ、軽快な動きが持ち味です。

筋力や馬体重では牡馬に劣ることもありますが、そのぶん柔らかく伸びるような走りで勝負できます。

特に芝の中距離では、その特性が活かされる場面が多く、抜群の切れ味で差し切る牝馬も珍しくありません。

パワーではなくスピードとバランスで勝負するスタイルが、牝馬の大きな武器となっています。

斤量の優遇と混合戦での牝馬の台頭

競馬では、牡馬と牝馬が一緒に出走する「混合戦」で、牝馬が斤量面で優遇されることがあります。

たとえば定量戦や別定競走では牝馬が牡馬より2kg軽い斤量で出走できるルールになっており、この差がレース結果に大きな影響を与えることも少なくありません。

ハンデ戦においても、牝馬であることも考慮したうえで出走馬の負担重量が設定されます。

加えて、牝馬の能力が全体的に底上げされてきたことにより、牡馬を圧倒する場面も多くなっています。

かつては「不利」とされた牝馬も、今や堂々と混合戦で勝利を掴む時代になったのです。

混合戦でも勝利する牝馬が増えてきている

中央競馬界において、かつて混合戦では牡馬が圧倒していました。

しかし、1990年代のヒシアマゾンやホクトベガ、エアグルーヴが活躍したことを皮切りに、2000年代はウオッカやダイワスカーレットといった牝馬が牡馬混合G1を複数勝利し、牝馬のレベルが上がったのです。

極めつけは2010年代で、この年はジェンティルドンナやアーモンドアイ、グランアレグリア、リスグラシューなどの名牝が数多くのG1を優勝し、牡馬に劣らぬ活躍を見せました。

牝馬はレース展開や馬場状態によって爆発的な末脚を見せることがあり、斤量の軽さも武器になります。

現代はもはや「競馬=牡馬優勢」という時代ではなく、牝馬が主役となるシーンが確実に増えてきているのです。

牝馬限定レースとは?その目的と魅力

競馬には「牝馬限定」と名のつくレースが存在し、文字通り牝馬だけが出走できる競走があります。

こうしたレースには、牝馬に対する公平な競走の場を提供するという意味が込められています。

また、牝馬たちが自分たちのステージでどのような走りを見せるかは、今後のキャリアや血統にも大きく影響します。

このパートでは、牝馬限定戦の概要や、代表的なレースの魅力についてまとめました。

牝馬限定戦とは、牝馬だけが出走できるレース

牝馬限定戦とは、その名の通り牝馬だけが出走を許される競走です。

これは、体格やパワーで優位に立ちやすい牡馬と一緒に走ると不利になる可能性があるため、牝馬同士で実力を競える環境を整える目的で設けられています。

若い牝馬が牝馬限定競走を通して賞金とキャリアを重ね、次の大きなステップに進んだりするための重要な舞台とも言えるでしょう。

成績はそのまま繁殖牝馬としての評価にも直結するため、見応えも十分ですよ。

代表的な牝馬限定競走一覧

日本の競馬には、牝馬限定の競走がいくつもあります。

例えば、3歳牝馬によるスピード勝負の「桜花賞」、スタミナが試される「オークス」、そして秋に行われる「秋華賞」は、いずれも牝馬三冠路線を構成する重要なレースです。

これら3つをすべて勝利すると「牝馬三冠」の栄誉が与えられ、歴史に名を刻むことになります。

また、古馬牝馬が集う「エリザベス女王杯」も注目度の高いレースで、若駒とは異なる力強さや経験を持った牝馬たちが激突します。

これ以外にも、G2やG3にも牝馬限定競走はありますし、未勝利戦や新馬戦でも牝馬限定で開催されるレースも存在しているのです。

随所で牝馬限定競走が開催されているため、興味のある方はレース番組もチェックしてみてください。

歴代の「強い牝馬」たち:有名牝馬とその実績

かつては牡馬の活躍が目立っていた競馬界ですが、近年では牝馬が主役となる場面も増えてきました。

G1レースで牡馬を退け、記録を打ち立てた名牝たちの存在は、多くの競馬ファンに感動を与えています。

ここでは、当編集部の独断で選出した歴代の有名牝馬5頭とその華々しい実績を振り返ります。

ジェンティルドンナ

生年月日2009年2月20日
性別
ディープインパクト
ドナブリーニ
母父Bertolini
生産牧場ノーザンファーム
戦績19戦10勝
主な勝ち鞍桜花賞(G1) 2012年
オークス(G1) 2012年
秋華賞(G1) 2012年
ジャパンカップ(G1) 2012・2013年
ドバイシーマクラシック(G1) 2014年
有馬記念(G1) 2014年
ローズステークス(G2) 2012年
シンザン記念(G3) 2012年
獲得賞金17億2,603万400円
登録抹消日2014年12月28日

ディープインパクト産駒最強クラスの馬といってもいいのがジェンティルドンナです。

史上4頭目となる三冠牝馬で、牡馬混合レースにおいてもジャパンカップを連覇、引退レースとなった有馬記念でも牡馬を差し置いて優勝し、最終的にはG1レースを7勝、ディープインパクト産駒でもっとも獲得したG1ホルダーの多い馬となりました。

ジャパンカップでは一つ年上の三冠馬であるオルフェーヴルにタックルを仕掛けながら勝利しており、勝負根性も据わっています。

引退後、繁殖牝馬入りしてからもモーリスとの交配で生誕したジェラルディーナがエリザベス女王杯を優勝し、母子ともにG1馬となりました。

アーモンドアイ

生年月日2015年3月10日
性別
ロードカナロア
フサイチパンドラ
母父サンデーサイレンス
生産牧場ノーザンファーム
戦績15戦11勝
主な勝ち鞍桜花賞(G1) 2018年
オークス(G1) 2018年
秋華賞(G1) 2018年
ジャパンカップ(G1) 2018・2020年
ドバイターフ(G1) 2019年
天皇賞(秋)(G1) 2019・2020年
ヴィクトリアマイル(G1) 2020年
シンザン記念(G3) 2018年
獲得賞金19億1,526万3,900円
登録抹消日2020年12月19日

ロードカナロアの初年度産駒であるアーモンドアイは母にエリザベス女王杯を制したフサイチパンドラを持つ超良血馬です。

両親から受け継いだ素質はクラシックで早くも開花し、牝馬三冠制覇のみならず、同年ジャパンカップではワールドレコード2分20秒6という信じられない時計で優勝し、2018年の年度代表馬となりました。

古馬のなってからもG1に特化したプランで勝利を重ね、最終的にはG1レースを9勝しています。

芝レースにおける最多G1ホルダーであると同時に、常識では考えられなかったぶっつけG1や外厩の実力も引き出した馬で、アーモンドアイの功績は日本競馬界に多大な影響を残しました。

ブエナビスタ

生年月日2006年3月14日
性別
スペシャルウィーク
ヒワハイジ
母父Caerlron
生産牧場ノーザンファーム
戦績23戦9勝
主な勝ち鞍阪神JF(Jpn1) 2008年
桜花賞(Jpn1) 2009年
オークス(Jpn1) 2009年
ヴィクトリアマイル(G1) 2010年
天皇賞(秋)(G1) 2010年
ジャパンカップ(G1) 2011年
京都記念(G2) 2010年
チューリップ賞(Jpn3) 2009年
獲得賞金14億7,886万9,700円
登録抹消日2012年1月5日

2000年代末から2010年代初めに活躍していたのがブエナビスタです。

3歳時は桜花賞とオークスを優勝し、古馬になってからは牡馬混合重賞を使い続けて、常に堅実な走りを見せていました。

特に、一つ年下の2010年クラシック世代はヴィクトワールピサやエイシンフラッシュ、ローズキングダムにルーラーシップなど、バラエティ豊かな面子が揃った中、一つ年上の牝馬として、常にしのぎを削って結果を残しています。

また、4歳時と5歳時はどちらもヴィクトリアマイル⇒宝塚記念⇒天皇賞(秋)⇒ジャパンカップ⇒有馬記念というローテーションを2年連続で行い、常に大舞台の最前線にブエナビスタはいたのです。

引退レースとなった2011年の有馬記念では、三冠馬オルフェーヴルに引導を渡すように敗退し、そのままターフを去りました。

グアンアレグリア

生年月日2016年1月24日
性別
ディープインパクト
タピッツフライ
母父Tapit
生産牧場ノーザンファーム
戦績15戦9勝
主な勝ち鞍桜花賞(G1) 2019年
安田記念(G1) 2020年
スプリンターズステークス(G1) 2020年
マイルチャンピオンシップ(G1) 2020・2021年
ヴィクトリアマイル(G1) 2021年
阪神カップ(G2) 2019年
サウジアラビアロイヤルカップ(G3) 2018年
獲得賞金10億7,381万3,000円
登録抹消日2021年12月22日

短距離からマイルで大活躍した馬がグランアレグリアです。

クラシック緒戦である桜花賞を勝利のち、オークスではなくNHKマイルカップを選択しましたが、5着に敗れ、その後は脚に溜まった濃の完治のため、暮れの阪神カップまで休養を挟みます。

復帰戦となった阪神カップでは久々を感じさせないパフォーマンスで圧勝し、その後は本格的に短距離からマイルを中心に使われました。

最終的に手にしたG1は6勝で、いずれも短距離からマイルレースです。史上初となる古馬のマイルG1完全制覇を成し遂げ、同時にディープインパクト産駒で唯一短距離G1を制した馬となりました。

痛烈な追込競馬は圧巻で、タイキシャトルやモーリスと並んで、最強マイラーとして並ぶ存在となっています。

クリフジ

生年月日1940年3月12日
性別
トウルヌソル
賢藤
母父チャペルブラムプトン
生産牧場下総御料牧場
戦績11戦11勝
主な勝ち鞍東京優駿競走(ダービー) 1943年
阪神優駿牝馬(オークス) 1943年
京都農商省賞典4歳呼馬(菊花賞) 19434年
獲得賞金7万3,200円
登録抹消日不明

ある意味史上最強馬として一部の人に取り上げられているのがクリフジです。

クリフジ戦前の牝馬で、通算成績11戦11勝、主な勝ち鞍はオークス、ダービー、菊花賞という異色すぎる変則三冠馬です。

ダービーにおいては出遅れながらも大差勝ちを成し遂げ、同時に史上2頭目となる牝馬のダービー馬となりました。牝馬のダービー制覇は2007年のウオッカが成し遂げるまで、実に64年も現れなかったのです。

現在の競馬スケジュールはダービーとオークスの間隔が開いていないため、今後クリフジのような偉業を成し遂げる馬は現れないでしょう。

繁殖牝馬としての牝馬:現役引退後の役割

牝馬は現役を引退した後、繁殖牝馬として新たな役割を担います。

特にG1で活躍した名牝たちは、次世代のスターホースを生み出す存在として注目され、その血統背景が競馬ファンのロマンをかき立てます。

アーモンドアイやブエナビスタなど、名牝の産駒がデビューするたびに大きな話題となり、親子二代での活躍にも期待が寄せられます。

現役時代だけでなく、母としての活躍もまた、牝馬の魅力のひとつです。

まとめ:牝馬は競馬の主役にもなれる存在

一昔前までは「競馬=牡馬が主役」と思われがちでしたが、今では牝馬が堂々と主役になる時代です。

繊細ながらも力強く、美しい走りで多くのファンを魅了する牝馬は、競馬の世界に欠かせない存在。

性別だけにとらわれず、一頭一頭の個性と実力に注目することで、より深く競馬を楽しむことができるでしょう。

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