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馬の腸捻転とは?突然死を招く重度の疝痛と予防・対処法をわかりやすく解説

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競走馬の訃報で「腸捻転」という言葉を目にしたことはないでしょうか。

腸捻転は、馬にとって命に直結する極めて危険な疾患です。実際に重賞2勝を挙げたダンビュライトが腸捻転で急死したことは、多くの競馬ファンに衝撃を与えました。

この記事では、馬の腸捻転の原因や症状、治療法、そして予防のポイントまでをわかりやすく解説します。

目次

馬の腸捻転とは何か

腸捻転とは、小腸や大結腸がねじれてしまう疾患です。

医学的には「変位疝(へんいせん)」の一種に分類され、疝痛の中でも最も重篤なタイプとされています。

腸がねじれると血流が遮断され、短時間で腸組織が壊死してしまいます。

そのまま放置すると腸破裂や敗血症を引き起こし、数時間以内に命を落とす可能性もあります。

馬は消化器の構造上、疝痛を起こしやすい動物です。

胃が小さく、腸が長く複雑に折り重なっているため、ガスの貯留や内容物の停滞が起きやすい特徴があります。

腸捻転の主な症状

腸捻転は、通常の腹痛とは比較にならないほど激しい痛みを伴います。

代表的な症状は以下の通りです。

・のたうち回る、転げ回る
・前掻きを繰り返す
・頸部から腹部にかけて大量の発汗
・腹部の著しい膨大
・横臥と起立を繰り返す
・起立困難

痛みが強いほど、馬は激しく動き回ります。

夜間に発症した場合、朝になると敷料が大きく乱れていたり、腰や顔に擦過傷が見つかることもあります。

さらに、目の形が三角形にゆがむ、口遊びをしなくなるなど、表情の変化も重要なサインです。

普段から馬の様子を観察している人ほど、異常に気づきやすくなります。

疝痛の種類と腸捻転の位置づけ

疝痛は100近い疾患を含む広い概念です。

過食疝、痙攣疝、便秘疝、風気疝、寄生疝などさまざまな種類があります。

その中でも腸捻転は「変位疝」に分類されます。

軽度の変位であれば自然に整復する場合もありますが、小腸の捻転や重度の結腸捻転では血行障害が起こり、外科手術が必要になります。

実際に結腸が720度も捻転した例では、著しい腫脹と暗赤色への変色が確認されています。

この段階まで進行すると、時間との戦いになります。

原因として考えられていること

腸捻転の明確な単一原因はありませんが、いくつかの要因が関係すると考えられています。

・急激な飼料変更
・濃厚飼料の多給
・水分不足
・運動不足
・腸の異常運動
・強いストレス
・寄生虫

特に飼養管理の乱れは大きなリスク要因です。

休養中の運動不足や便秘が続くと、腸内にガスや内容物が溜まり、変位や捻転につながる可能性が高まります。

また、歯の不具合によって十分に咀嚼できない場合も、消化不良を引き起こす原因になります。

治療方法と予後

腸捻転の治療は、原則として開腹手術になります。

ねじれた腸を元に戻し、壊死している部分があれば切除します。

問題は、手術までのスピードです。

発見が早く、血流障害が軽度であれば救命率は高まります。

しかし、発症から時間が経過している場合は予後が厳しくなります。

腸の壊死や全身性ショックが進行すると、手術が成功しても回復が難しいケースがあります。

つまり「早期発見こそ最大の治療」と言えます。

看護と初期対応のポイント

疝痛が疑われる場合、すぐに獣医師へ連絡することが最優先です。

軽度で歩行可能な場合は、10〜30分程度の曳き運動が推奨されることもあります。

腸蠕動を刺激し、転倒による悪化を防ぐ効果があります。

また、馬房には十分な敷き藁を入れ、体温低下を防ぎます。

腹部をゆっくりと摩擦するマッサージが疼痛軽減につながる場合もあります。

ただし、自己判断で様子を見ることは危険です。

腸捻転は数時間で致命的になる疾患であることを忘れてはいけません。

予防のためにできること

腸捻転を完全に防ぐことは難しいですが、発生リスクを下げることは可能です。

・急激な飼料変更を避ける
・濃厚飼料を与えすぎない
・新鮮な水を常に確保する
・適度な運動を継続する
・歯の定期検査を行う
・糞の状態を毎日確認する
・駆虫プログラムを実施する

特に便の変化は重要なサインです。

小さく硬い糞が続く場合は、早めの対処が必要です。

日常管理の積み重ねが、命を守ることにつながります。

ダンビュライトの突然の訃報

ダンビュライトは、2018年のアメリカJCC、2019年の京都記念を制した実力馬です。

牡馬三冠に皆勤出走し、長く重賞戦線で活躍しました。

そのダンビュライトが12歳で腸捻転により急死したという報せは、多くのファンに衝撃を与えました。

腸捻転がいかに突然で、予測が難しい疾患であるかを物語る出来事でした。

まとめ

馬の腸捻転は、激しい痛みと急速な悪化を伴う危険な疾患です。

数時間で命を落とす可能性があるため、早期発見と迅速な治療が何より重要になります。

普段から馬の食欲、糞の状態、表情や行動を観察することが最大の予防策です。

小さな異変に気づくことが、生存率を大きく左右します。

競走馬も乗馬も、日々の丁寧な管理が命を守ります。

腸捻転という言葉を知ることが、まずは大切な一歩です。

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