【競馬】鉄道や電車の名前が付けられたレース名

競馬の特別競走にはさまざまな由来のレースがありますが、その中でも鉄道会社が由来のレースは地域性を感じさせてくれます。

これらのレース名は地域の人々の生活や経済を支えてきた歴史がありました。

そこで、当記事では鉄道名が付けられたレースの概要やエピソードについて解説します。

鉄道レースに興味がある方はぜひ参考にしてください!

目次

鉄道の名前が付けられた9つのレース

中央競馬にはさまざまな鉄道由来のレースがあります。

毎年全重賞競走をチェックしている人からしたら馴染みのあるレースも必ずあるはずです。

ここからは中央競馬で開催されている鉄道由来のレースを9つ解説します。

京成杯

グレードG3
創設1961年
開催競馬場中山競馬場
コース芝2,000m
出走条件3歳
負担重量馬齢
1着賞金4,100万円
2025年の情報です。

京成杯は1月中旬に中山競馬場で開催される3歳馬限定の重賞競走です。

レース名の【京成】とは東京都と千葉県に路線が敷かれてある【京成本線】、東京都民や千葉県民に馴染みある鉄道ではないでしょうか。

レース名が示しているように、中山競馬場の近くには京成線が走っており、その中でも東中山駅はかつて中山競馬場にもっとも近い京成線の駅として多くの競馬ファンに利用されていました。

現在はJR船橋法典駅に最寄りの立場を譲りましたが、それでも中山競馬で重賞レースが開催される際は一部の電車が臨時停車するため、現在も競馬ファンの足として活躍しています。

レースの話に戻しますと、京成杯は中山芝2,000mで開催されるG3レースです。

G1の皐月賞と全く同じコースなので、京成杯で結果を残した馬は自ずと皐月賞の適性にも期待できます。

ただし、3月には同コースで行われる皐月賞の優先出走権が得られるG2弥生賞ディープインパクト記念が開催される上、12月にも同じ舞台で開催されるホープフルステークスが開催されます。

前者は皐月賞と結びつきが強く、後者はG1レースということで、ということでG3で1月開催の京成杯はいまいち目立たなかったのです。

ところが2023年の京成杯を制したソールオリエンスが皐月賞を制し、2024年は1着馬のダノンデサイルが日本ダービーを、2着のアーバンシックが菊花賞を制しました。

わずか2年でクラシックホースを3頭も輩出したことから、近年は出世レースとして注目されるようになったのです。

京成杯オータムハンデキャップ

グレードG3
創設1956年
開催競馬場中山競馬場
コース芝1,600m
出走条件3歳以上
負担重量ハンデ
1着賞金4,100万円
2025年の情報です。

京成杯オータムハンデキャップは中山競馬場で開催される芝1,600mのマイル重賞です。

レース名の【京成】は一つ上の京成杯の見出しでも触れましたが、東京都と千葉県を結ぶ大手私鉄鉄道【京成本線】から来ています。

レース名を見ても分かるように京成杯オータムハンデキャップは秋(オータム)に開催され、基本的には9月上旬、秋の中山競馬場開催初週に番組が編成されています。

同時にサマーマイルシリーズの最終戦にも指定されているのでサマーマイル王を目指す馬の参戦も少なくありません。

なお、京成杯オータムハンデキャップが開催される秋の中山は一年で唯一全面野芝で開催されます。

日本の芝コースは全面野芝と全面洋芝、野芝と洋芝をブレンドしたオーバーシードの3種類が存在していますが、全面野芝がもっとも時計がでます。

また、開催初週で芝の痛みがないことや、4月開催を終えて芝の張替えも行っている関係上、9月の中山は尋常じゃないくらい時計が出やすいです。

2024年12月時点で中山芝1,600mのコースレコードを保有しているトロワゼトワルは京成杯オータムハンデキャップにおいて1分30秒3の超高速時計で勝利を手にしました。

この時期の中山は時計勝負になることが多いため、スピードに定評のある馬が活躍傾向にありますよ。

京王杯スプリングカップ

グレードG2
創設1956年
開催競馬場東京競馬場
コース芝1,400m
出走条件4歳以上
負担重量別定
1着賞金5,900万円
2025年の情報です。

京王杯スプリングカップは5月中旬に開催される芝1,400mの短距離重賞競走です。

レース名の【京王】とは新宿と多摩地域を結ぶ【京王電鉄】のことで、東京競馬場の最寄り駅である府中競馬正門前駅も京王電鉄の駅です。

府中競馬正門前駅は京王線のすべての駅でもっとも利用者が少ない駅ですが、東京競馬場開催日は臨時電車が運行します。

中でも日本ダービーや天皇賞(秋)、ジャパンカップといったG1の中でも特に有力馬が多数参戦し、来場者が増える日はさらなる増発もされており、競馬場に特化した駅といえるでしょう。

レースに話を戻すと、京王杯スプリングカップは春(スプリング)に開催されるレースです。

創設は1956年で、実はひとつ上の見出しで紹介した京成杯オータムハンデキャップと同じ年に創設されました。

レース名を見てピンとくる方もいるかもしれませんが、京王杯スプリングカップは京成杯オータムハンデキャップと対を成すレースとして設けられているのです。

ただ、京成杯オータムハンデキャップがサマーマイル最終戦という役割を担っているのに対し、京王杯スプリングカップのは安田記念の優先出走権が与えられるため、G1レースの前哨戦としての意味合いが強く、役割自体はそれぞれ異なっているのが面白いですね。

なお、歴代の京王杯スプリングカップの勝ち馬で安田記念を制した馬には名マイラータイキシャトルがいますが、意外とマイラーの活躍馬は多くありません。

むしろ、レッドファルクスやダノンスマッシュ、タワーオブロンドンのようにスプリント路線で活躍する馬のほうが目立ってきており、近年は短距離馬の出世レースとしての傾向が強くなっています。

京王杯2歳ステークス

グレードG2
創設1965年
開催競馬場東京競馬場
コース芝1,400m
出走条件2歳
負担重量馬齢
1着賞金3,800万円
2025年の情報です。

京王杯2歳ステークスは11月上旬に開催される2歳馬限定短距離重賞です。

レース名の【京王】はひとつ上の見出しでも紹介しましたが、東京競馬場の最寄り駅である府中競馬正門前駅がある【京王電鉄】です。

12月に開催される阪神JFと朝日杯FSの前哨戦という位置づけがされており、早期デビューを果たして実績を重ねた馬が多数顔を揃えます。

特に、このレースで2着以内に入線することができれば、ほぼ間違いなく阪神JFや朝日杯FSのボーダーを突破することができるため、2歳G1を最大目標にしている陣営はメイチで仕上げてくるケースも珍しくありません。

その影響もあって、近年は過去の実績よりも当日の状態がかみ合って激走する穴馬も多々見られます。

2015年から2024年の過去10年の京王杯スプリングカップの平均配当を見ても分かるように、馬連配当が9,615円、三連複3万4,869円、三連単は27万2,856円と高配当が目立っています。

2024年度の中央競馬全レースの馬連平均配当が約5,200円、三連複約2万円、三連単が約12万4,000円なので平均以上に払い戻しに期待できるレースなのです。

そのため、穴党にとって予想し甲斐のあるレースといえるでしょう。

阪急杯

グレードG3
創設1957年
開催競馬場阪神競馬場
コース芝1,400m
出走条件4歳以上
負担重量別定
1着賞金4,300万円
2024年の情報です。

阪急杯は阪神競馬場で開催される芝の短距離重賞です。

レース名の【阪急】とは、京阪神(京都・大阪・神戸)を結ぶ【阪急電鉄】のことで、京都や神戸、宝塚や大阪北部在住の方の足となっている大手私鉄です。

なお、阪神競馬場の最寄である仁川駅も阪急の駅で、地下道を使えば雨の影響を受けることなく阪神競馬場の入り口まで向かうことができます。

それ以外にも、阪神競馬場開催時は臨時ダイヤが組まれ、大阪梅田までの臨時急行も運行されるため混雑緩和にも力を入れていますよ。

レースに話を戻すと、阪急杯は春の阪神開催初週に組み込まれていることが多いです。

年度最初の阪神で開催される重賞ということで、阪神競馬場の近くにお住まいの競馬ファンからしたら待ちに待った重賞かもしれません。

そんな阪急杯はもともと中距離のレースとして創設されましたが、歳を重ねるたびに距離短縮を繰り返し、2006年になってようやく芝1,400mに落ち着きました。

中距離から短距離への距離短縮という意味では次の見出しで紹介する京阪杯と通じるものがあります。

なお、阪急杯の勝ち馬には3月末に開催される高松宮記念の優先出走権が与えられます。

そのため、高松宮記念を目標にする短距離馬が多数参戦していますよ。

京阪杯

グレードG3
創設1956年
開催競馬場京都競馬場
コース芝1,200m
出走条件3歳以上
負担重量別定
1着賞金4,100万円
2025年の情報です。

京阪杯は京都競馬場で開催される短距離重賞です。

レース名の【京阪】とは京都と大阪を結ぶ【京阪電気鉄道】から来ており、大阪北部を流れる一級河川淀川の南側にお住いの大阪府民や京都府民の足として活躍しています。

なお、京都競馬場の最寄り駅である淀駅も京阪沿線の駅です。

通常淀駅は普通しか止まりませんが、競馬開催日は快速急行が停車し、大阪市内や京都市内への輸送に一役買っています。

なお、淀駅と京都競馬場まではゲートで直結しており、しかも屋根が付いているので雨の影響もなく競馬場まで脚を運ぶことができますよ。

そんな京阪杯はもともと中距離レースでしたが短距離整備拡張の対象となり、2005年から芝1,200mに大幅距離短縮され、現在では専ら短距離レースとして定着しています。

ひとつ上の見出しで取り上げた阪急杯同様、関西の鉄道レースは距離短縮の対象になりやすいかもしれません。

開催時期は基本的に11月末、東京競馬場で開催されるG1レースのジャパンカップの裏開催という扱いで行われます。

重賞レースは基本的に11レースに行われますが、京阪杯とジャパンカップは12レースに設けられていることが多く、しかもジャパンカップのあとに開催されるため、ジャパンカップで敗れた競馬ファンの受け皿としての役割を担っているのです。

しかも、配当面で見ても2015年から2024年のジャパンカップの三連単平均配当が1万7,548円とそこまで妙味は大きくないのに対して京阪杯の三連単平均配当は26万5,229円もありました。

高配当主義者からしたらジャパンカップよりも期待値の高いレースなのです。

名鉄杯

グレードオープン
創設2002年
開催競馬場中京競馬場
コースダート1,800m
出走条件3歳以上
負担重量別定
1着賞金2,200万円
2024年の情報です。

名鉄杯は中京競馬場で開催されるダートのオープン競走です。

レース名の【名鉄】とは愛知県や岐阜県に敷かれた大手私鉄の【名古屋鉄道】の略称です。

中京競馬場の最寄り駅である中京競馬場前駅も名鉄の駅で、愛知県豊橋市から名古屋市を挟んで岐阜県岐阜市までつなぐ名古屋本線上にあります。

他の私鉄同様、名古屋本線も中京競馬場開催時の土日は日中急行が臨時停車していますよ。

そんな名鉄杯は中央競馬場の鉄道レースの中では唯一の非重賞レースです。

その影響もあってか、毎年開催コースが変化しており、データ予想派を泣かせています。

ただ、名鉄杯はオープン競走にもかかわらず、ターフビジョンや中継画面上ではオリジナルのCG映像を流しており、しかも、専用のファンファーレまで存在しています。

専用ファンファーレがあるレースは名鉄杯を除けばG1レースの宝塚記念しかありません。

さらに、名鉄杯開催日は中央競馬とコラボして専用のグッズまで販売しているので下手な重賞レースよりも知名度が高いのも実情です。

京浜盃

グレードJpn2
創設1978年
開催競馬場大井競馬場
コースダート1,700m
出走条件3歳
負担重量定量
1着賞金3,000万円
2024年の情報です。

京浜盃は大井競馬場で開催される3歳馬限定の地方競馬の交流重賞です。

レース名の【京浜】とは東京都南部と神奈川県を結ぶ大手私鉄の【京浜急行電鉄】、略して京浜急行から取られています。

大井競馬場の近くにある立会川駅も京浜急行の駅ですが、現在は東京モノレールの大井競馬場前駅が大井競馬場からもっとも近い駅として機能しています。

レースの話に戻すと、京浜盃はかつて南関東SⅡ競走として開催されており、毎年羽田盃や東京ダービーを目指す馬が参戦していました。

2024年には地方ダート競走の大幅整備に伴いダート三冠競走が誕生すると、京浜盃はJpn2に格上げされ、上位2頭にはJpn1に昇格した羽田盃の優先出走権が与えられるようになりました。

ダート競走の整備に伴い、開催時期や条件が大きく変化したレースも少なくない中、京浜盃は格上げを除けば昨今変わらず大舞台の前哨戦としての地位を保っています。

京成盃グランドマイラーズ

グレードSⅠ
創設1997年
開催競馬場船橋競馬場
コースダート1,600m
出走条件4歳以上・南関東所属馬
負担重量定量
1着賞金3,100万円
2025年の情報です。

京成盃グランドマイラーズは船橋競馬場で開催される南関東のダート重賞です。

レース名の【京成】は京成杯や京成杯オータムハンデキャップと同じく大手私鉄の京成本線から来ており、船橋競馬場の最寄りにある船橋競馬場駅も京成本線の駅です。

そんな京成盃グランドマイラーズの創設は1997年と比較的浅く、長く南関東SⅡのマイルレースとして定着していました。

そして、勝ち馬の多くが地元船橋所属で地の利がある馬の好走が目立っています。

ちなみに2024年12月時点で現役馬として活躍しているカジノフォンテンやスマイルウィもかつて京成盃グランドマイラーズを勝利していました。

そんな京成盃グランドマイラーズは2025年からSⅠ昇格が発表され、2着以内に入線した馬にはJpn1競走のかしわ記念の優先出走権が付与されるようになりました。

かしわ記念も京成盃グランドマイラーズと同じコースが舞台なので、今後は京成盃グランドマイラーズからかしわ記念に駒を進める馬が増えることでしょう。

競馬のレースに鉄道名が付く条件

鉄道名が付けられた競馬のレースは意外と多く存在していました。

その多くが共通の条件をもってレース名となっています。

どのような条件を以てレース名になっているのか紹介します。

競馬場の近くに駅があるかどうか

最大の特徴、そして唯一の条件が競馬場の近くに駅があるかどうかです。

鉄道レースが開催される競馬場と近くの駅を見てみましょう。

レース名開催競馬場最寄り駅沿線
京成杯中山競馬場東中山駅京成本線
京成杯オータムハンデキャップ中山競馬場東中山駅京成本線
京王杯スプリングカップ東京競馬場府中競馬正門前駅京王電鉄
京王杯2歳ステークス東京競馬場府中競馬正門前駅京王電鉄
阪急杯阪神競馬場仁川駅阪急電鉄
京阪杯京都競馬場淀駅京阪電気鉄道
京浜盃大井競馬場立会川駅京浜急行電鉄
京成盃グランドマイラーズ船橋競馬場船橋競馬場駅京成本線

表を見てみると、すべての競馬場の沿線上に駅があるのが分かります。

競馬場の近くの駅を運行している鉄道会社がレースのスポンサーになることで、鉄道会社の名前がレースに使用されるのです。

最寄り駅でも必ずレース名になるわけではない

ほとんどの競馬場は電車でアクセスすることが可能です。

ただし、すべての競馬場が必ずしも最寄り駅の鉄道名をレースに使用しているわけではありません。

例えば、札幌競馬場や福島競馬場はJR、函館競馬場は函館市電、小倉競馬場は北九州モノレールでアクセスするのが最短です。

しかし、この4つの競馬場では最寄り駅の鉄道会社のレース名は使用されていません。

なぜなら、スポンサーとして鉄道会社からJRAに寄贈を受けていないからです。

今後、寄贈賞を受ける日が来るようでしたらレース名に鉄道社名が付くでしょう。

鉄道や電車の名前が付けられたレース名のまとめ

今回は鉄道の名前が付けられたレースについてまとめました。

競馬場のアクセスに欠かせない電車は意外と競馬とかかわりが深く、特に競馬場開催日は臨時列車も運行されているので競馬ファンの足として大活躍しています。

また、鉄道由来のレースは地域や歴史とも結びつきが強いです。

それぞれの鉄道レースの背景を知ることで、より一層競馬が楽しくなるでしょう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次