皆さんは、競馬において馬券を購入する際、必ずオッズを確認するかと思います。
オッズとは、購入した馬券が的中した場合の配当を概算倍率で表示したものをいいますよね。
さらに詳しく説明しますと、ある競走馬(枠)を何人の人が、どれだけ買うかによって配当金が増減しますので、オッズは投票締め切り時間まで刻々と変化していきます。
これはコンピュータで自動的に計算され、変化するたびに競馬場なら大型ターフビジョン、場外馬券売り場でしたら、テレビを通してオッズ表示板に映し出されますし、昨今では競馬情報アプリなどを利用してスマホでも確認できます。
そこで、パドック解説者の方などが「このレースは、オッズが割れていますね」「ここは、オッズが集中しています」などといった解説を耳にしたことがあると思いますが、いまいち理解し難い方も多いといいます。
そこで今回は『オッズが割れる』意味について、解説していきます。
さらに、オッズが割れるの対義語やどういった条件になれば、オッズが割れるのかなども合わせて紹介していきますので、ぜひ最後までお楽しみください。
オッズが割れるの意味と対義語は?
まず、始めに競馬で『オッズが割れる』という意味は、出走馬の人気・実力などが拮抗していて、オッズの開きがそれほど大きくないことを指します。
たとえば、1番人気馬のオッズが4~5倍だと仮定しますと、10倍以下のオッズが付いた競走馬が5~6頭いた場合や出走馬のオッズが1番人気と最低人気との開きがあまりなかった時などに、このレースはオッズが割れていると表現されますね。
そして、反対に『オッズが集中する』といったケースもあります。
これは、その名の通り、特定の競走馬に対して、馬券を購入する方が非常に多くなった場合、このようなことが発生するパターンのことをいいます。
また、馬券販売数が少ない地方競馬などでは、特定の競走馬に対し、たとえば馬主が応援のために高額投資することでオッズが極端に下がることがあります。
このことからオッズが集中するといわれますが、これはオッズが通常では考えられない異常数値となるため『異常オッズ』と呼ばれています。
もっとも分かりやすい例としては、2005年の菊花賞(G1)が挙げられます。
これは、ご存じの通りディープインパクトが三冠を達成したレースです。この時の単勝オッズは、元返しとなる100円でした。これはまさしく異常オッズとなりました。
こちらがその時のオッズ表です。
昨今では、なかなか目にすることがないオッズですよね。そして、シックスセンスやローゼンクロイツといった重賞でも活躍をみせることとなる競走馬の単勝オッズが20倍もあることにビックリです。
ちなみに、これまでの日本競馬の歴史上、G1レースで単勝元返しとなった異常すぎるオッズは、先ほどのディープインパクトの菊花賞を含め6回ありました。
1951年の皐月賞(G1)を制したトキノミノル、1957年の桜花賞(G1)を勝ったミスオンワード、同年の天皇賞・秋(G1)と有馬記念(G1)のハクチカラ、そして、1965年の天皇賞・秋を制したシンザンです。
100円購入して100円が返ってくるとなれば、一見、何の意味もない馬券にみえますが、この異常すぎるオッズが生みだした単勝元返しには、競馬のロマンがぎっしりと詰め込まれていますよね。
今でもディープインパクトの単勝馬券は、多くの方が手元に持っていると聞きますし、まさにロマンだと思います。
さらにオッズが集中する、異常オッズの場合と似たケースでいえば『抜けた1番人気』などと表現される場合もあります。
これもその名の通り、1番人気に支持された競走馬が2番人気馬に対して、オッズ的に大きく差を付けた場合に用いられる言葉ですね。
たとえば、このようなレースの場合のオッズです。
これは、2020年の天皇賞・秋の最終オッズですが、1番人気で勝利したアーモンドアイの単勝オッズが1.4倍で2番人気に支持されたクロノジェネシスが4.4倍とアーモンドアイが抜けた存在ですよね。
ただし、2番人気のクロノジェネシスとの差が3倍です。よって、異常オッズになるほどではありませんが、これが異常オッズなのか、はたまた抜けた1番人気のオッズなのか。その辺りの線引きは難しいところです。
どういったときにオッズが割れるというのか
次にどういった場合にオッズが割れているというのでしょうか。
これは、前述した通り、上位人気馬が均衡している場合ですが、実のところ厳密な定義はありません。
たとえば、こちらの表をご覧ください。
これは、2024年桜花賞の上位10頭の最終オッズです。
この出馬表をみて、オッズが割れていると表現する人もいれば、これは上位5頭の人気が均衡しているためオッズが割れているわけではないという方もいると思います。
さらにこちらは、どうでしょうか?
こちらは、2024年フェブラリーステークス(G1)の上位10頭の最終オッズです。
こちらも同じく、オッズが割れているという方もいれば、1番人気のオメガギネスから3番人気のドゥラエレーデまでの上位3頭が抜けていると表現する方もいると思います。
要するにオッズが割れているとの表現は、人それぞれの観点によって違ってきますので、一概にはいえませんが、オッズが割れるとの意味合いは理解していただけたのではないでしょうか。
オッズが割れやすい条件とは?
次にオッズが割れやすい条件について説明します。
これは、実力が均衡することが多いローカル開催の重賞レースや極端に強い競走馬が不在のケースが特に多いです。
例として、夏競馬はよく荒れるレースが多いことで有名ですよね。その中でも2023年のアイビスサマーダッシュ(G3)は、このような最終オッズ形態でした。
1番人気に支持されたファイアダンサーが3.9倍と2番人気のシンシティが5.9倍だったことを考えると、決して抜けた1番人気ではありません。
さらに6番人気までが10倍を切っており、7番人気のヴァガボンドまでが、1番人気との差が約10倍圏内といった大混戦のレースでした。
このように抜けた1番人気馬が不在で、どの競走馬が勝ってもおかしくないレースとなれば、このようにオッズが割れる表現を使っても問題ないでしょう。
次にこちらも同じく、オッズが割れた状態だといえるレースだと思います。これは2023年の函館記念(G3)の上位10頭までの最終オッズです。
このレースのオッズは、8番人気のユニコーンライオンで単勝20倍を切っており、表にはありませんが、最低人気の16番人気のロングランでも単勝オッズが60倍ほどでした。
よって、1番人気馬のローシャムパークの4.1倍からみても大混戦のオッズといえますので、オッズが割れているといっても問題ないかと思います。
こうして見ると、オッズが割れる傾向は夏競馬に多くみられる可能性が高いです。
これは、多くの有力馬たちが夏の休養に入ることにより、実力が均衡している競走馬たちが挙ってレースに出走してくるからだと考えられます。
そのため、夏競馬は毎年荒れる傾向があり、オッズが割れやすくなっています。これが、夏競馬の難しさを物語っている所以ですね。
オッズが割れる まとめ
今回は、オッズが割れるについて紹介しました。
この『オッズが割れる』との定義がないだけに厳密には、どのオッズが割れているとの説明はつけ難いですが、オッズに対する表現の仕方は理解いただけたと思います。
さらに割れやすい条件なども合わせて解説しましたので、ぜひ馬券を購入する際の参考にしていただければ、嬉しい限りです。