現在、ドイツ競馬のトップジョッキーとして活躍し、2024年にはドイツのリーディングジョッキーに輝いたトール・ハマーハンセン騎手(以下ハマーハンセンに略)が、2026年1月4日から2月27日までの約2ヶ月間、短期騎手免許取得にて来日することが明らかになりました。
ハマーハンセン騎手といえば、2025年のワールドオールスタージョッキーズ(以下WASJに略)で初来日し、総合優勝を果たすなど日本の競馬ファンに対し多大なインパクトを与えた若手ジョッキーで、JRA短期騎手免許の取得は今回が初めてとなります。
近年、日本ではライアン・ムーア騎手やクリスチャン・デムーロ騎手といった世界的名手の来日が増えていますが、ハマーハンセン騎手の特徴は、その多くとは異なります。
それは、豪快な追い比べでファンを魅了するタイプではなく、レースの流れをしっかりと読み切り、馬の力を余すことなく引き出すタイプといった点です。ただ、日本での知名度はそこまで高くないと感じます。
そこで今回は、ハマーハンセン騎手について紹介します。
少しでもハマーハンセン騎手の実力を知ることで馬券購入の参考になれば幸いです。ぜひ最後までご高覧ください。
トール・ハマーハンセン騎手とは?
ハマーハンセン騎手は、1999年10月17日にドイツのケルンで生まれ、現在26歳の若手ジョッキーです。
元ジョッキーだった父のレナート・ハマーハンセン氏の影響を受けて、幼い頃から競馬に親しんできたハマーハンセン騎手。
父は現役時代に1000勝以上を挙げた名ジョッキーだったことから、ハマーハンセン騎手自身も「競馬の世界に進むことは自然な選択だった」と語っている通り、自然とジョッキーの道を歩み始めました。
その後、2016年に見習騎手としてデビューすると、すぐにフランスの名門厩舎アンドレ・ファーブルの下で経験を積み、イギリスに拠点を移すと、リチャード・ハノン厩舎でも騎乗機会を得て活躍しました。
特にイギリスでは、世界的名手ウィリアム・ビュイックらの助言を受けながら多くのスキルを習得したとされています。
こうしたフランス・イギリスでの騎乗経験が、ハマーハンセン騎手の騎乗技術を幅広く高め、結果としてヨーロッパ各国で通用する実力につながったと言えるでしょう。
また、若手ながら多様なレース条件に対応できる柔軟な騎乗スタイルも評価されており、特にクラシックディスタンスや中距離戦での折り合い重視のレース運びは、競馬ファンからも高い評価を得ています。
なお、今回の短期騎手免許期間は、2026年1月4日から2月27日までの約2ヶ月間で身元引受調教師は、栗東の池添学調教師、契約馬主が吉田和美氏となっています。
ちなみにハマーハンセン騎手の身長は175cmと、騎手の中では非常に高身長です。
日本人騎手の中でも身長が高いといわれる武豊騎手が170cm、もっとも身長が高い松本大輝騎手が176cmなので、日本人の騎手と比較してもかなりの高身長であることが分かります。
これまでの実績や主な勝鞍は?
フランス・イギリスといったヨーロッパでも屈指の競馬大国で経験を積んだハマーハンセン騎手は、2023年に本拠地を母国ドイツに戻し、そこからめざましい活躍を見せました。
中でも高い評価を受けたのが、2024年にドイツを代表するG1競走であるバイエルン大賞(独G1)をアシステントで勝利したことです。
2,400メートルで行われる伝統のレースでは序盤から折り合いに専念し、勝負どころでも他馬の動きに惑わされず、馬自身の反応を信じて待つ選択をしました。早仕掛けが敗因になりやすいドイツ競馬において、待てる勇気を示した騎乗は高く評価されています。
また、同年のドイツ三冠レースの最終戦・ドイチェスダービー(独G1)をパラディウムで制覇と、ドイツ競馬において数少ないトップクラスのG1タイトルを2つ獲得しました。
こうして、当時25歳だった若武者は、ドイツ国内での伝統的なG1レースでの勝利を重ねたことで、総合力の高さを証明した結果、多くの馬主や調教師といった関係者からの信頼が厚くなり、重賞や一線級の馬を任される存在となっていきます。
さらにこの年は、年間74勝を挙げて、ドイツリーディングジョッキーにも輝きました。
ただ、年間74勝でリーディングジョッキーといった点において、日本の競馬に比べると、勝利数が少ないのではないかと思った方もいるはずです。
ドイツ競馬は、日本をはじめとする他の競馬大国に比べても開催数が非常に少なく、現在ではG1レースも少数に限られています。
そのため、一戦一戦の質が高くなり、騎手には精密な判断力と我慢強さが求められている中、ハマーハンセン騎手は、その舞台で着実に結果を残してきました。
これらの実績を通じて、大舞台でも騎乗の質が落ちない騎手という評価を確立したハマーハンセン騎手。派手さよりも再現性の高さ。これが彼の最大の強みだと感じますね。
日本での実績は?
2025年8月に札幌競馬場で開催されたWASJにおいて、ハマーハンセン騎手はシリーズ初出場で初優勝という快挙を成し遂げました。
WASJとは、競馬ファンならご存知の方も多いと思いますが、毎年世界各地のトップジョッキーたちが日本に集結し、その実力を競い合うシリーズ戦で、4レースの合計ポイントにて優勝者が決まります。
もちろん、武豊騎手などをはじめとする日本のトップジョッキーも参戦するだけに日本のコース形態や馬場状況、日本の環境など、すべてにおいて初経験となるジョッキーが良績を残すことは容易ではありません。
このような状況下において、ハマーハンセン騎手は、2025年8月23日の第1戦で9番人気だったテラステラに騎乗し、4着に入線すると、続く第2戦では、同じく9番人気だったパトリックハンサムを勝利に導き、JRA初勝利を挙げました。
そして、翌日の第3戦では、1番人気に支持されたベルギューンで勝利を積み重ねると、最終第4戦では、13番人気だったルクスドヌーヴに騎乗し10着でしたが、総合的に73ポイントを獲得し、圧巻の内容で初出場初優勝を飾ったのです。
特に日本で初勝利を挙げた第2戦では、馬場状態と展開を的確に読み切る冷静な騎乗が光り、レース後も「馬の特性を最大限引き出すことができました」と語っているようにハマーハンセン騎手の対応力と順応力が、シリーズを通じてファン・関係者ともに高い評価を受けました。
また、チーム戦においてもハマーハンセン騎手の活躍によって、WAS選抜がJRA選抜に勝利するという結果を生み出したことで日本での存在感を一気に高めたと思います。
わずか4戦で日本の競馬ファンに多大なインパクトを与えたハマーハンセン騎手。今回の短期騎手免許取得による騎乗でどれだけ多くの勝利を手にするのか非常に楽しみです。
さらに1月4日の京都金杯(G3)では、2025年のダービー卿チャレンジトロフィー(G3)を制した実績馬トロヴァトーレ、1月18日の日経新春杯(G2)には、久々の出走となりますが、2023年のクラシック戦線で活躍した重賞馬サトノグランツに騎乗することが決まっていますので、この点も注目していきたいですね。
2026年のシンザン記念を勝利!
2026年のシンザン記念は、短期免許で来日してわずか2週間というタイミングで騎乗したハマーハンセン騎手が、9番人気のサンダーストラックを勝利へ導く結果となりました。
来日直後とは思えない完成度の高い騎乗で、レース後にはSNSを中心に大きな反響が広がりました。
内枠から無理にポジションを主張することなく、流れに逆らわず先行策を選択。
馬群の中でも冷静さを失わず、進路の確保やペース配分に一切の無駄がない立ち回りは、初めての京都競馬場とは思えない内容でした。
「反応が早い」「さばきがうますぎる」といった声が多く上がったのも納得でしょう。
特に印象的だったのは、スタート直後の判断力と、道中で馬のリズムを徹底して守った点です。
内枠・先行有利の馬場傾向を正確に読み取り、直線でも焦らず粘り込ませた騎乗は、人気以上の価値があるものといえます。
また、ブリンカー着用によって馬の集中力が高まっていた点も見逃せません。
馬の状態と特性を的確に把握し、それをレースで最大限に引き出したことが、今回の勝利につながった印象です。
この一戦をきっかけに、短期免許期間中も重賞戦線での活躍が続いていく可能性は十分にあるでしょう。
2026年のシンザン記念は、ハマーハンセン騎手が持つ高い適応力と勝負どころでの強さを、改めて印象づけるレースとなりました。
ハマーハンセン騎手のまとめ
今回は、ドイツのトップジョッキーとして活躍するハマーハンセン騎手について紹介しました。
ハマーハンセン騎手は、一度見ただけでは分かりにくいかも知れませんが、見続けるほど良さが伝わってくる。そんなタイプのジョッキーだと改めて感じます。
また、中距離の芝コースで差し脚質を持った気性難のある人気馬などにハマーハンセン騎手が騎乗する場合、軸馬にすることは最適だと思いました。
これは、もしかすると、“買いのサイン”になるかも知れませんので、覚えておいて損はないのではないでしょうか。

