競馬のレース名には「○○ステークス」「○○特別」「○○賞」「○○カップ」など、さまざまな呼び方があります。
普段から耳にする言葉ですが、それぞれの意味や使い分けを正確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。
特に「ステークス」と「特別」の違いは初心者だけでなく、長年競馬を楽しんでいるファンでも混同しやすい部分です。
実はこの2つの呼び方には明確なルールがあり、レースのクラスや条件によって使い分けられています。
さらに「賞」や「カップ」も加えると、それぞれが持つ由来や背景に違いがあります。
本記事では「ステークス 特別 違い」を中心に、賞やカップとの関係も整理しながらわかりやすく解説していきます。
ステークスと特別の違いとは?
競馬ファンなら誰もが目にする「ステークス」と「特別」というレース名。
どちらも一見すると同じように思えますが、実は明確な違いが存在します。
特にJRAではクラス分けに応じて使い分けられており、レース条件を理解する上で欠かせないポイントとなっています。
ここではまず「ステークス」の本来の意味について確認してみましょう。
本来のステークスの意味
「ステークス」とは英語の「stakes=賭け金」が由来です。
競馬の黎明期には、馬主が出し合った賞金を勝者が総取りする方式でレースが行われていました。
この出し合ったお金を「ステークスマネー」と呼び、現在の日本では「特別登録料」という形でその名残が残っています。
JRAでは、この特別登録料の総額を「付加賞」として扱い、レースで3着以内に入った馬主へ7:2:1の割合で分配します。
つまり「ステークス」と名が付くレースは、単なる条件戦とは異なり、登録の段階から特別な位置付けを持つ競走ということです。
こうした背景から、ステークスレースは重賞や上級条件戦に多く見られ、格の高さを象徴する呼称として定着しているのです。
現代JRAでの使い分け
現在のJRAでは、レース名に「ステークス」が付くか「特別」となるかは、主にクラスによって区別されています。
具体的には3勝クラス以上(旧1m600万下やオープン特別を含む)では「○○ステークス」と呼ばれ、2勝クラス以下は「○○特別」や「○○賞」という名称が使われます。
例えば、安達太良ステークスは3勝クラスのレースですが、同じ福島競馬場で行われる2勝クラスの条件戦は「立川特別」と呼ばれるように、クラスごとに名称が使い分けられています。
このルールは2010年代前半まで例外が存在しましたが、現在ではほぼ統一され、レース名からクラスを判別できる仕組みになっています。
したがって「ステークス」と書かれていれば上級条件、逆に「特別」となっていれば2勝クラス以下と見分けることが可能です。
競馬を楽しむ上で、レースの格や条件を素早く把握できる便利な目印といえるでしょう。
賞金の違い
「ステークス」と「特別」では、同じクラスに属するレースであっても賞金に差が設けられていることがあります。
これは出走する際に馬主が支払う「特別登録料」が関係しており、その金額が賞金に上乗せされる仕組みになっているからです。
たとえば、2018年11月に東京競馬場で行われた3歳以上1,000万下の一般条件戦と、同じ1,000万クラスの「宝ケ池特別」を比べると、1着賞金は前者が1,050万円、後者は1,500万円と大きな差がありました。
JRAでは、特別登録料の総額を「付加賞」として扱い、1〜3着の馬主に7:2:1の割合で分配しています。
このため「特別」や「ステークス」と名の付くレースは、一般戦よりも賞金額が高く設定され、出走馬にとっても馬主にとっても魅力的な舞台となります。
単なる名称の違いにとどまらず、実際の賞金体系にも影響している点が、競馬ファンにとって注目すべきポイントといえるでしょう。
一般競走・特別・重賞の関係性
競馬のレース体系は大きく「一般競走」「特別競走」「重賞競走」の3つに分けられています。
この区分を理解しておくと、ステークスや特別といった名称の意味がさらに明確になります。
まずは最も基本となる「一般競走」から整理してみましょう。
一般競走とは?
一般競走とは、競馬番組の中で最も基本的な位置付けを持つレースを指します。
新馬戦や未勝利戦、そして1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスといった条件戦がこれに含まれます。
新聞やネットでは「平場」と呼ばれることもあり、レース名に特別な冠が付かないのが特徴です。
たとえば3歳未勝利戦や3勝クラスのダート1,800m戦などは「○○特別」「○○ステークス」とは呼ばれず、単に条件名と距離だけで表記されます。
そのため、一般競走は賞金や注目度の面で特別競走より下に位置付けられますが、出走馬にとってはクラスを上げるための重要なステップです。
競馬ファンにとっても、ここでの勝ち上がりが後の大舞台につながるため、見逃せない戦いといえるでしょう。

特別競走とは?
特別競走とは、一般競走よりも格上に設定されたレースの総称です。
条件戦の中でも賞金が高めに設定され、レースごとに名称が付けられているのが特徴です。
たとえば「八王子特別」「松島特別」といったレース名は、条件自体は2勝クラスや3勝クラスでも、一般戦より注目度が高く扱われます。
JRAの現行ルールでは、2勝クラス以下の特別戦は「○○特別」、3勝クラス以上は「○○ステークス」と区別されています。
これによりレース名を見れば、おおよそのクラスを把握できるようになっています。
また特別競走は馬主が特別登録料を支払って出走するため、一般戦に比べて賞金額が上積みされているのも大きな特徴です。
そのため、特別競走は馬にとっても関係者にとっても、より大きな目標として位置付けられているのです。

重賞競走との違い
重賞競走は、特別競走の中でも最も格が高いレース群を指します。
G1・G2・G3に区分され、競馬ファンにとっては年間のハイライトとなる存在です。
多くの重賞レースは「○○ステークス」という名称で行われており、ステークスという呼称が持つ「格上レース」という意味合いを象徴しています。
たとえば日本ダービーや天皇賞は「記念」や「賞」の名前を持ちますが、スプリングステークスやスワンステークスのように、重賞名に「ステークス」が使われるケースも多くあります。
また、重賞競走は獲得賞金が桁違いに高く、クラシックやG1に直結する重要な前哨戦も多いため、注目度と価値が一般競走や条件付きの特別競走とは大きく異なります。
つまり特別競走の中でも、さらに選ばれた舞台が重賞であり、馬や騎手の実力が全国レベルで問われる場といえるでしょう。

ステークス・特別・賞・カップの違い
競馬のレース名には「ステークス」や「特別」だけでなく、「賞」や「カップ」といった言葉も登場します。
それぞれの言葉には歴史的な背景や意味があり、名前からレースの格や性質をある程度理解することが可能です。
ここではまず「カップ」について、その由来や使われ方を解説していきます。
カップとは?
「カップ」という名称は、勝者に贈られる杯状のトロフィーに由来しています。
日本の競馬でも「ジャパンカップ」が代表的な存在で、世界の強豪馬が集まる舞台として広く知られています。
このようにカップと名の付くレースは、記念性や国際性の強い競走に使われる傾向があります。
海外に目を向けると「メルボルンカップ」や「ブリーダーズカップ」など、国際的に格式の高いレースが数多く存在します。
日本でも「ジャパンカップダート」(現・チャンピオンズカップ)のように、国際交流を意識した舞台に付けられることが多いです。
つまり「カップ」という呼称は、単にトロフィーの形状を示すだけでなく、レース自体の規模や由緒を強調する意味合いを持っているのです。
賞とは?
「賞」という名称は、勝者に贈られる記念品の形状が杯以外である場合に用いられることが多いです。
たとえば盾や旗などを贈るレースで「○○賞」と呼ばれるのが一般的です。
実際に「赤松賞」や「青葉賞」のように、JRAでは幅広いクラスの競走でこの呼称が用いられています。
「賞」は「カップ」や「ステークス」と異なり、レースのクラスや条件に必ずしも直結していません。
2歳戦やトライアル、あるいは特定の時期やイベントを記念したレース名に多く見られるため、初心者にはやや混乱しやすい部分です。
しかしその自由度の高さゆえに、レース名に地域性や記念の意味を込めやすいという特徴もあります。
つまり「賞」は、競馬の文化的側面を映し出す柔軟な呼称として使われているといえるでしょう。
違いを表で整理
以下の表では「ステークス」「特別」「カップ」「賞」それぞれの意味や使われ方を一覧にしています。
一目で比較できるため、初心者でもすぐに理解しやすいはずです。
区分 | 由来・意味 | 主な使い方 | 例 |
---|---|---|---|
ステークス | 賭け金・特別登録料 | 3勝クラス以上、重賞レースに付けられる | スプリングS、晩秋S |
特別 | 格上の条件戦を示す | 2勝クラス以下の特別戦 | 八王子特別、立川特別 |
カップ | 優勝杯(トロフィー)が由来 | 記念性・国際性の強い大レース | ジャパンカップ、メルボルンC |
賞 | 盾や旗などの記念品 | クラスを問わず幅広く使われる | 赤松賞、青葉賞 |
このように整理すると、それぞれの呼称が持つニュアンスや使い分けの基準がより分かりやすくなります。
特に「ステークス」と「特別」はクラスに直結するため、観戦や予想に役立つ知識として覚えておくと便利です。
まとめ|ステークスと特別の違いを理解して競馬を楽しもう
競馬のレース名に使われる「ステークス」と「特別」には、それぞれ明確なルールがあります。
現在のJRAでは、3勝クラス以上はステークス、2勝クラス以下は特別と呼ばれ、名称を見ただけでクラスが判断できる仕組みになっています。
また、賞やカップといった呼称もそれぞれ由来があり、記念品や国際性を強調する意味合いを持っています。
一見すると単なる名前の違いですが、実際には賞金額やレースの格付けとも深く結びついています。
レース名の意味を理解することで、競馬の世界をより奥深く味わえるはずです。
次に競馬を観戦するときは、ぜひ「ステークス」と「特別」の違いを意識してみてください。