競馬において、同じ競馬場・同じコースであっても「開幕週」と「開催最終週」では芝の状態が大きく異なります。
馬場の違いはレースの流れや決着パターンに直結するため、予想をする上で非常に重要な要素となります。
開幕週は芝がまだ傷んでおらず、クッション性が高くスピードが出やすい高速馬場になりやすいです。
一方で、開催最終週になると何週間もレースを繰り返すことで内側の芝が荒れ、パワーやスタミナが問われるタフな馬場へと変化します。
その結果、内枠・先行有利だったはずのレースが外差し有利に変わり、人気薄の台頭で波乱が起きやすくなるのです。
このように、開催週ごとの特徴を理解することで「どの馬が有利か」「どの券種で狙うべきか」が見えてきます。
今回は開幕週と開催最終週の芝レースの違いを徹底解説し、予想や馬券戦略にどう活かせるのかを紹介していきます。
開幕週の芝レースの特徴
開幕週の芝はまだ傷みがなく、馬場状態が最も良いタイミングです。
そのため、スピード能力や位置取りが結果に直結しやすく、内枠や先行馬が有利になる傾向が強まります。
また、最後の直線では瞬発力勝負になるケースが多く、血統や馬のタイプが顕著に表れるのも特徴です。
ここからは、開幕週ならではの具体的な傾向をさらに詳しく見ていきましょう。
芝がフレッシュでスピード決着になりやすい
開幕週の芝はまだ傷みがなく、緑が濃くてクッション性も高いため、馬にとって走りやすい状態です。
芝の根付きがしっかりしているので力をロスすることなく走ることができ、結果として速い時計が出やすいのが特徴です。
いわゆる「高速馬場」と呼ばれる状況になりやすく、1,600mや2,000mといった距離でもレコードに近い決着が見られることも珍しくありません。
そのため、開幕週はスピード能力そのものが試されやすい週といえます。

内枠・先行馬が有利になりやすい
芝の内側は最も状態が良い場所であり、開催が進むにつれて荒れていく部分でもあります。
開幕週はその内側がまだ綺麗に残っているため、内枠に入った馬が距離ロスなく走れるのは大きな利点です。
さらに、前に行く馬はきれいな馬場を通れる分だけ脚を余すことなく走れるので、先行馬がそのまま粘るケースも多く見られます。
直線の長いコースであっても、後方からの差し・追い込みが届きにくいのが開幕週の傾向です。

瞬発力タイプの血統や馬が活躍
開幕週の芝レースはゴール前での瞬発力勝負になるケースが増えます。
スピードの持続力よりも、直線で一瞬にしてトップスピードに乗れる馬が有利です。
血統的にはディープインパクト系やロードカナロア産駒など、切れ味を武器にするタイプが活躍しやすい傾向があります。
また、2歳戦や開幕週の重賞などでは、調教で鋭い動きを見せていた馬がそのまま結果につなげることも多く、瞬発力の裏付けを持つ馬を狙うのが有効です。

開催最終週の芝レースの特徴
開催最終週になると、何週間にもわたって使われた芝は内側を中心に荒れが目立ち、馬場状態はタフさを増します。
そのため、時計がかかるようになり、内ラチ沿いを走る馬が不利になっていくのが特徴です。
外を回った馬が優勢になる展開も多く、差し・追い込みが決まりやすいのも最終週ならではの傾向といえます。
ここからは、最終週の芝レースに特有の要素を掘り下げてみましょう。
芝が荒れてパワーが問われる馬場
最終週の芝は長期間の使用で傷みが進み、内側は芝が剥げて砂が見えるようになります。
その結果、スピードが出にくくなり、時計もかかる傾向が強まります。
開幕週のような瞬発力勝負ではなく、最後までバテずに走り切れるパワーとスタミナが求められる舞台になります。
特に雨が重なった場合は、馬場がさらに悪化し、力強さを持つ馬やパワー型血統が優位に立つシーンが目立ちます。

外差しが決まりやすくなる展開
荒れた内ラチ沿いを避けるため、多くの騎手が直線で外に持ち出します。
その結果、外から差してくる馬が勢いよく伸びやすく、差し・追い込みが決まりやすい馬場となります。
先行馬が直線で内に閉じ込められたり、荒れた部分を通らされると粘れずに失速することも多く見られます。
外枠の馬に有利な展開となり、人気薄の差し馬が馬券に絡むことで波乱を生むケースも珍しくありません。

持久力やスタミナ型の血統が好走
最終週はスピード一辺倒では通用せず、タフな条件に適応できる血統が好走する傾向にあります。
例えばステイゴールド系やハービンジャー産駒など、力のいる馬場で力を発揮するタイプが目立ちます。
また、洋芝に強い血統やダート適性を持つ馬が思わぬ激走を見せることもあります。
スピードだけでなく、最後まで伸び続けられる持久力やスタミナを持った血統背景に注目することが重要です。

予想に活かすポイント
開幕週と開催最終週では芝の状態や展開傾向が大きく異なります。
そのため「どんなタイプの馬が有利か」を見極めることで、予想の精度を大きく高めることができます。
ここからは、開催週ごとに注目すべきポイントを整理していきましょう。
開幕週はスピードと位置取りを重視
開幕週は馬場がきれいでスピードが出やすいため、まず「速い時計に対応できる馬かどうか」が重要です。
特に1,600m前後の距離では1分32秒台といった高速決着になることもあり、スピード性能そのものが勝敗を分けます。
また、内枠の先行馬が有利になるのも見逃せません。
枠順を確認する際は、内枠かどうか、スタートダッシュが決まるタイプかどうかに注目しましょう。
差し・追い込み馬ももちろん力を発揮できますが、基本的には位置取りが前の馬を優先するのがセオリーです。
血統的には瞬発力タイプが強い傾向があり、直線で一瞬の切れ味を見せられる馬が勝ち切りやすい状況になります。

最終週は差し馬と外枠に注目
開催最終週は内側の芝が荒れて伸びづらいため、差し馬や追い込み馬が外から豪快に伸びてくる展開が増えます。
そのため「直線で外に持ち出せるか」が大きなポイントになり、外枠の方が優位になるケースが多くなります。
また、時計がかかるタフな馬場になるため、先行馬にとっては厳しい状況です。
スピードで押し切るよりも、パワーとスタミナを生かして最後まで伸びる馬を狙うのが有効です。
血統的には持久力タイプが活躍しやすく、パワー型の馬や洋芝実績のある馬が浮上することも少なくありません。
最終週は波乱も多いため、人気馬の取り捨ても重要になり、あえて穴馬を拾う視点を持つと馬券の妙味が増します。

券種別の戦略
芝レースは開催週によって有利な馬のタイプが変わるため、狙うべき券種も異なります。
開幕週は堅めの決着が多い一方で、最終週は荒れるケースが増えるため、券種ごとの立ち回り方を変えることで回収率アップが狙えます。
ここからは開催週ごとの具体的な戦略を紹介します。
開幕週は堅め狙い(単勝・馬連・少点数の3連複)
開幕週は内枠の先行馬や人気馬が順当に走りやすい週です。
そのため大波乱は少なく、基本的には堅めの決着を想定した買い方が有効です。
最も狙いやすいのは単勝や複勝で、スピード能力に信頼がおける馬を中心に据えると的中率を高く維持できます。
また、馬連やワイドでは本命サイドを軸に相手を絞ることで、効率良く利益を積み重ねられるのが特徴です。
3連複や3連単も堅い決着になりやすいため、少点数で押さえておくのがおすすめです。
大きな配当を狙うよりも、まずは確実に当てにいく戦略が有効な週といえるでしょう。

最終週は波乱狙い(ワイド・3連複・3連単で穴馬を組み合わせる)
開催最終週は馬場の荒れにより、人気馬が思わぬ苦戦をするケースも多いです。
そのため、波乱を前提に買い方を工夫することで高配当を狙いやすくなります。
おすすめはワイドで穴馬を絡める買い方です。
外差し有利の展開では人気薄の追い込み馬が台頭することも多いため、少額でも幅広く拾っておくとリターンを得やすいです。
さらに3連複や3連単では、人気薄を1頭絡めたフォーメーションを組むのが有効です。
堅い決着は少なく、むしろ人気薄が馬券に絡むことを想定して馬券を構築した方が大きな回収につながります。
最終週はあえてリスクを取って波乱を狙うことで、他の週以上に利益を伸ばせるチャンスがあります。

開幕週と最終週の芝レースの違い:まとめ
開幕週と開催最終週の芝レースは、同じ競馬場・同じコースであっても求められる条件が大きく変わります。
開幕週は芝がフレッシュでスピードが出やすく、内枠や先行馬が有利です。
瞬発力タイプの血統が力を発揮しやすく、堅めの決着が増えるため、単勝や馬連などを中心に堅実な買い方を意識するのが効果的です。
一方、開催最終週は芝の荒れが進み、タフな馬場で外差しが決まりやすくなります。
持久力やパワーに優れたタイプが浮上しやすく、人気薄の台頭で波乱が起きるケースも少なくありません。
このため、ワイドや3連複・3連単で穴馬を絡めた買い方が妙味を生みます。
つまり、開幕週は「堅実狙い」・最終週は「波乱狙い」という意識を持つだけで、予想と馬券の精度は大きく変わります。
開催週ごとの特徴をしっかり押さえて、次のレース予想にぜひ活かしてみてください。