競馬にはさまざまな距離のレースが存在しますが、その中には「芝3,000m以上」で行われる長距離戦もあります。
とはいえ、普段よく目にするのは芝1,000m〜2,000m台のレースが中心で、芝3,000mを超えるようなレースはあまり見かけないと感じていませんか?
その感覚は正しく、実は中央競馬における芝3,000m以上のレースは、年間でも10レースに満たないほど希少です。
まさに“レアなレース”と言えるでしょう。
そこで本記事では、そんな貴重な芝3,000m以上のレースを一覧にまとめました。
ステイヤー(長距離適性馬)を見極める上でも重要となる長距離戦。どんなレースがあるのか、ぜひチェックしてみてください!
中央競馬で開催される芝3,000m以上のG1レース

中央競馬で開催される芝3,000m以上のG1レースは下記の2競走があります。
- 菊花賞
- 天皇賞(春)
ここからは、古くから開催されているふたつの長距離G1について解説します。
菊花賞
グレード | G1 |
---|---|
創設 | 1938年 |
開催競馬場 | 京都競馬場 |
コース | 芝3,000m |
出走条件 | 3歳牡・牝 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 2億円 |
菊花賞は10月に開催される3歳馬限定のクラシックレースです。
イギリスのクラシックレース「セントレジャー」をモデルにした長距離レースで、「もっとも強い馬が勝つ」と言われています。
菊花賞に出走する馬は皐月賞や日本ダービーで結果を残した馬だけではなく、夏に条件戦で力を付けた「上がり馬」の参戦も多々見られ、春のクラシックとは異なる顔ぶれが揃います。
ただし、この時点で3,000m以上の距離を経験している馬はいません。
そのため、どんなに強い馬でも長距離適性が足りなければ敗れることも珍しくありません。
また、好走騎手の多くがベテラン勢が多いことから、騎手の力量も問われる舞台となっています。
なお、菊花賞を好走した馬は同年開催される有馬記念や、翌年以降の天皇賞(春)に駒を進めることが多く、ステイヤーとしての道を歩むようになります。
天皇賞(春)
グレード | G1 |
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創設 | 1938年 |
開催競馬場 | 京都競馬場 |
コース | 芝3,200m |
出走条件 | 4歳以上 |
負担重量 | 定量 |
1着賞金 | 3億円 |
天皇賞(春)は上半期に開催される古馬の長距離G1です。
中央競馬で開催される平場のG1競走の中で最長のレースとなっており、古馬最強のステイヤーを決める一戦に指定されています。
その歴史は古く、1938年に創設され、翌1939年には芝3,200mの距離で定着しました。
古馬最強馬を決める一戦として、かつてはスーパークリークやメジロマックイーン、ライスシャワーといったステイヤーホースが多数参戦していました。
しかし、近年は長距離レースの減少に伴い、長距離馬の育成がかつてほど重要視されなくなりました。
そのため、最近ではスローからの瞬発力勝負を重視する傾向が目立っており、また、長距離適性を疑問視する陣営が有力馬の出走を控えるケースも目立っています。
それでも、天皇賞(春)は長距離レース特有の騎手の駆け引きや戦略が重要であり、競馬の醍醐味を味わえる舞台であることには変わりありません。
中央競馬で開催される芝3,000m以上のG2・G3レース

中央競馬で開催される芝3,000m以上の重賞競走は2025年時点で5競走存在しています。
ここからは、先ほど紹介したG1レースを除いたG2・G3の芝3,000m以上のレースを3競走解説します。
対象となるレースは下記の通りです。
- 阪神大賞典
- ステイヤーズステークス
- ダイヤモンドステークス
阪神大賞典
グレード | G2 |
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創設 | 1953年 |
開催競馬場 | 阪神競馬場 |
コース | 芝3,000m |
出走条件 | 4歳以上 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 6,700万円 |
阪神大賞典は阪神競馬場で開催される芝3,000mのレースです。
出走資格は「4歳以上」なので古馬の長距離レースと言っても過言ではありません。勝ち馬には天皇賞(春)の優先出走権が与えられるため、天皇賞(春)を最大目標とする馬が多数参戦しますよ。
そんな阪神大賞典の創設は1953年と古く、長くステイヤーレースとして開催されました。
歴史をたどると、ナリタブライアンとマヤノトップガンのマッチレースやオルフェーヴルの逸走など、G2にもかかわらず、現代でも取り上げられるような数多くの名レースも開催され、多くのファンに親しまれています。
近年は大阪杯がG1に昇格したことで、そこから天皇賞(春)に向かう馬も増えたことでかつてほど有力馬の参戦は見られなくなりましたが、それでも生粋のステイヤーホースの始動戦として定着していますよ。
ステイヤーズステークス
グレード | G2 |
---|---|
創設 | 1967年 |
開催競馬場 | 中山競馬場 |
コース | 芝3,600m |
出走条件 | 3歳以上 |
負担重量 | 別定 |
1着賞金 | 6,200万円 |
ステイヤーズステークスは中山競馬場で開催される長距離重賞です。
中央競馬で開催される平場競走の中で最長のコースとなっており、舞台となる中山芝3,600mもステイヤーズステークス専用のコースとなっています。
中山の内回りコースをちょうど2周回るコースとなっており、長距離レースらしくスタミナが問われますが、基本的に冬の開幕初週に開催されることが多いため、意外と時計勝負になりやすいです。
また、下半期のG1シーズン真っ只中に開催されるため、一流ホースの参戦はほとんどありません。
条件戦上がりの馬や重賞でくすぶっている馬の参戦が目立つ上、G2に指定されているものの、相応のメンツが参戦することも少ないことから、毎年混戦模様になりやすいレースです。
ダイヤモンドステークス
グレード | G3 |
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創設 | 1951年 |
開催競馬場 | 東京競馬場 |
コース | 芝3,400m |
出走条件 | 4歳以上 |
負担重量 | ハンデ |
1着賞金 | 4,300万円 |
ダイヤモンドステークスは2月に東京競馬場で開催される古馬の長距離レースです。
もともと中山競馬で開催されましたが、現在の形になったのは1997年からです。舞台となる東京芝3,400mは現在もダイヤモンドステークスでしか使用されず、一年に一度だけ使用されるコースとして定着しています。
舞台となる東京芝3,400mは天皇賞(春)の舞台である芝3,200mよりも長く、現在では12月に開催されるステイヤーズステークスに次いで距離の長い競走です。
また、開催時期が2月なので4月下旬から5月上旬に開催される天皇賞(春)へつながる一戦としても有名です。
実際に2024年の勝ち馬であるテーオーロイヤルはこのレースを勝利したのち、阪神大賞典-天皇賞(春)を3連勝し、ステイヤーとしての地位を高めました。
荒れるハンデ戦ということで一筋縄にはいきませんが、長距離馬を見定める上で役割のあるレースです。
中央競馬で開催される芝3,000m以上のレース【非重賞】

中央競馬では重賞競走に指定されていないものの、芝3,000m以上で開催されるレースがいくつかあります。
ここからは、下記3つのレースについて解説します。
- 万葉ステークス
- 古都ステークス
- 松籟ステークス
万葉ステークス
グレード | OP |
---|---|
開催競馬場 | 京都競馬場 |
コース | 芝3,000m |
出走条件 | 4歳以上 |
負担重量 | ハンデ |
1着賞金 | 2,400万円 |
万葉ステークスは京都競馬場で開催される長距離レースです。
レース名の万葉とは万葉集が由来となっており、京都競馬場らしいレースですが、近年は京都や阪神が改修工事でレースが行われておらず、代わりに中京で開催されていたのでライトファンからしたら中京のイメージが強いかもしれません。
毎年1月上旬に開催されており、金杯に並ぶ名物競走として有名です。
重賞では力が及ばないステイヤーが多数参戦しますが、ハンデ戦ということで順当に決まりづらく、高配当にも期待できるレースです。
なお、ここで結果を残した馬はダイヤモンドステークスや阪神大賞典、さらには天皇賞(春)にもつながるため、ステップアップという意味でも存在意義がありますよ。
古都ステークス
グレード | 3勝クラス |
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開催競馬場 | 京都競馬場 |
コース | 芝3,000m |
出走条件 | 3歳以上 |
負担重量 | 定量 |
1着賞金 | 1,840万円 |
古都ステークスは京都競馬場で開催される長距離のクラス戦です。
レース名の古都とはかつて日本に首都があった京都を指しており、京都競馬場にふさわしいレースです。
そんな古都ステークスはもともと芝の2,200~2,400mで開催されており、よくある中距離レースでしたが、2021年に芝3,000mに距離延長しました。
これまで芝3,000mの競走は年間6レースしか開催されていなかったので、長距離レースの拡張を図っての措置だと思いますが、ステイヤーレースファンにとっては思わぬ朗報だったといえるでしょう。
なお、長距離になった年の勝ち馬は小柄な馬として有名なメロディーレーンです。そして、2023年の勝ち馬ワープスピードはのちにオーストラリアの長距離G1であるメルボルンカップで2着入りしているので、クラス戦ながらも有名馬が多数活躍しているレースとして定着しています。
松籟ステークス
グレード | 3勝クラス |
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開催競馬場 | 阪神競馬場 |
コース | 芝3,000m |
出走条件 | 4歳以上 |
負担重量 | ハンデ |
1着賞金 | 1,840万円 |
松籟ステークスは阪神競馬場で開催される長距離のクラス戦です。
レース名の松籟とは(しょうらい)と呼び、かつては京都の芝2,400mで開催されていましたが、2021年に阪神芝3,200mとして距離を伸ばし、2023年以降は3,000mのレースとして定着しています。
一つ上の見出しで触れた古都ステークス同様、いきなり距離を伸ばしたレースですが、これまで芝3,000m以上のレースが希少だったため、比較的多くの人に受け入れられています。
なお、2025年のみ松籟ステークスは阪神競馬場リニューアルオープン記念という名称で開催されました。
そのため、2025年度は松籟ステークスの開催はありません。
海外の有名な長距離レース

芝3,000mを超える長距離レースは日本だけではなく世界中で開催されています。
ここからは、世界の長距離G1をいくつか紹介します。
メルボルンカップ
グレード | G1 |
---|---|
創設 | 1861年 |
開催国 | オーストラリア |
開催競馬場 | フレミントン競馬場 |
コース | 芝3,200m |
出走条件 | 3歳以上 |
負担重量 | ハンデ |
1着賞金 | 440万オーストラリアドル(約4億4,000万円) |
メルボルンカップはオーストラリアで開催される長距離G1です。
オーストラリアの大都市であるメルボルン郊外にあるフレミントン競馬場で開催されるレースで、創設はなんと1861年、実に150年以上の歴史があるレースです。
オーストラリアの競馬の中でも特に知名度が高く、オーストラリア国民にとって国民的な行事となっています。
なお、G1レースですが負担重量はハンデに指定されており、一筋縄にはいきません。
ちなみに、日本馬は2006年にデルタブルースが優勝し、2024年にはワープスピードが2着入りしていました。
グッドウッドカップ
グレード | G1 |
---|---|
創設 | 1812年 |
開催国 | イギリス |
開催競馬場 | グッドウッド競馬場 |
コース | 芝3,219m |
出走条件 | 3歳以上牡・牝 |
負担重量 | 定量 |
1着賞金 | 28万3,550ポンド(約5,498万円) |
グッドウッドカップはイギリスのグッドウッド競馬場で開催される長距離G1です。
創設は1812年と古く、先に取り上げたメルボルンカップよりも歴史のあるレースです。
創設当初は4,800mという、現在では考えられない距離で開催されていましたが、幾度の距離改正を経て、1991年に現在の距離に定着しました。
もともとはG2でしたが2017年にG1に昇格し、現在に至ります。
同じ長距離戦であるアスコットゴールドカップやドンカスターカップと並んで、イギリスの長距離三冠にも指定されています。
なお、2024年時点で日本馬の参戦はこれまでありません。
ロワイヤルオーク賞
グレード | G1 |
---|---|
創設 | 1861年 |
開催国 | フランス |
開催競馬場 | サンクルー競馬場 |
コース | 芝3,100m |
出走条件 | 3歳以上 |
負担重量 | 定量 |
1着賞金 | 35万ユーロ(約5,673万円) |
ロワイヤルオーク賞はフランスで開催される長距離重賞です。
2023年までは凱旋門賞が開催されるパリのロンシャン競馬場で開催されていましたが、2024年以降はサンクルー競馬場で開催されることが決まりました。
創設は1861年で、グッドウッドカップと並んで欧州の歴史あるレースとして定着しています。
日本人には馴染みの薄いレースですが、1985年のダービー馬であるシリウスシンボリが欧州遠征の際、このレースに挑んでおり、3着に入線しています。
芝3,000m以上のレースのまとめ

今回は芝3,000m以上のレースについて取り上げました。
2025年時点でも中央競馬で開催される芝3,000m以上のレースは8つのみとなっており、短距離や中距離レースと比較するともう少し数があっても良い感じはします。
しかしながら、稀に開催されるからこそ長距離レースの価値は上がりますし、長距離戦ならではの駆け引きや戦略は、感染する競馬ファンにとって見ごたえがあるとなっています。
今後も芝3,000m以上のレースを通して競馬の魅力に触れていきたいです。