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競馬のパリミュチュエル方式とは?オッズの仕組みとブックメーカーとの違いを徹底解説

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日本の競馬(JRA・地方競馬)では「パリミュチュエル方式」と呼ばれるオッズ算出方法が採用されています。

この方式は、世界的にも公平で透明性が高い仕組みとして知られていますが、「どうやって配当が決まるの?」と疑問に思う人も多いでしょう。

この記事では、パリミュチュエル方式の意味と計算方法、そしてブックメーカー方式との違いを初心者にもわかりやすく解説します。

目次

パリミュチュエル方式とは?

競馬で使われる「パリミュチュエル方式」は、世界中の公営競技で採用されている賭けの仕組みです。

日本ではJRAをはじめすべての競馬で導入されており、ファンが安心して馬券を買える公平な方式として知られています。

ここでは、その成り立ちや基本的な考え方を見ていきましょう。

名前の由来と意味

「パリミュチュエル(Pari-mutuel)」は、フランス語で「相互賭け」や「共通の賭け」を意味します。

19世紀半ばのフランスで考案されたもので、参加者同士が出し合ったお金を的中者で分け合うという、公正で透明性の高い仕組みとして生まれました。

この方式は瞬く間にヨーロッパ各国へ広がり、現在では日本をはじめアメリカや香港など、世界中の公営競技で採用されています。

主催者がオッズを操作できない点が特徴で、ファンの投票結果そのものが配当を決める、公平な制度として知られています。

簡単に言うと「みんなで出し合って山分け」

パリミュチュエル方式は、参加者全員が出し合ったお金を一つにまと、的中した人たちで分け合う「山分け方式」です。

つまり、競馬ファン同士で賭け金をプールし、主催者はその中から運営費などを控除したうえで残りを的中者に分配します。

この仕組みにより、人気の馬に多くのお金が集まればオッズは下がり、逆に不人気の馬に投票が少なければオッズは上がるという自然なバランスが生まれます。

主催者が利益を操作できないため、公平で健全な賭けの仕組みとして広く信頼されているのです。

パリミュチュエル方式の仕組み

パリミュチュエル方式は、公平な分配を行うために明確な手順で構成されています。

主催者が勝敗を操作することは一切なく、すべては投票者の行動によってオッズと配当が決まります。

ここからは、実際にどのような流れで投票金が分配されるのか、その仕組みを3つのステップで見ていきましょう。

1. 投票金をプールする

パリミュチュエル方式では、まず同じ馬券種ごとにすべての投票金をまとめます。

単勝・複勝・馬連・3連単など、券種ごとに独立した「投票プール(共通の資金箱)」が作られる仕組みです。

たとえば単勝馬券なら「どの馬が1着になるか」という一点に集まった全投票金が一つのプールにまとめられます。

この段階ではまだオッズは確定しておらず、投票の集まり具合によって後に変動します。

2. 主催者が控除金を差し引く

集められた投票金のすべてが配当に使われるわけではありません。

パリミュチュエル方式では、主催者があらかじめ定めた割合を控除し、その分が運営費や税金、競馬場の維持管理費などに充てられます。

日本の中央競馬(JRA)の場合、控除率はおおよそ25%前後です。

たとえば1,000万円の投票金が集まった場合、約250万円が控除され、残りの750万円が的中者への配当原資となります。

3. 的中者で山分けする

控除後に残った配当原資は、的中した馬券を購入した人たちで山分けされます。

この段階で初めてオッズ(倍率)が確定し、どれだけの払戻金を受け取れるかが決まります。

人気馬に投票が集まっていれば的中者が多くなるため1人あたりの配当は少なくなり、逆に不人気馬が勝つと配当は高額になります。

この「人気と配当のバランス」が、パリミュチュエル方式の魅力であり、公平さを生み出す仕組みです。

パリミュチュエル方式の計算例

仕組みの流れを理解したところで、次は実際に数字を使って配当の計算方法を確認してみましょう。

ここでは単勝馬券を例に、どのようにしてオッズが決まり、どのように払戻金が算出されるのかを紹介します。

たとえば、あるレースで単勝馬券に合計1,000万円の投票が集まったとします。

このうち主催者の控除率を25%とすると、1,000万円 × 0.75 = 750万円が配当原資です。

次に、的中した人たちの合計投票額が150万円だった場合、残りの750万円をこの150万円で割るとオッズが算出されます。

750万円 ÷ 150万円 = 5.0倍

つまり、1,000円を賭けて的中した人は、1,000円 × 5.0=5,000円の払戻を受け取ることができます。

このようにパリミュチュエル方式では、人気馬に投票が集中すると配当は下がり、人気薄の馬はオッズが高くなるのです。

オッズが変動する理由

パリミュチュエル方式では、オッズがレースの発売期間中に常に変動しています。

多くの人が馬券を購入するたびに投票金額が変わるため、締切直前までオッズは上下を続けます。

オッズが変動する最大の理由は、投票の集まり具合によって配当原資が分配されるためです。

人気の高い馬に多くの票が集まると、的中者が増えるため1人あたりの配当が減り、オッズが下がります。

逆に、あまり人気のない馬に投票が少ない場合は、的中者が少なくなるためオッズが上がります。

最終的なオッズは投票締切直前の人気動向によって確定するため、購入時のオッズはあくまで「暫定値」となります。

ブックメーカー方式との違い

同じ「賭け」でも、日本の競馬で採用されているパリミュチュエル方式と、海外のブックメーカー方式は仕組みがまったく異なります。

どちらもオッズを使って配当を決めますが、その決まり方や主催者の立場、公平性の面で明確な違いがあります。

パリミュチュエル方式では、投票者同士の賭け金をまとめ、主催者が控除後に的中者へ分配します。

主催者は運営の仲介役に徹しており、勝敗による損益は発生しません。

一方のブックメーカー方式は、主催者自身がオッズを提示してファンと「直接勝負」する仕組みです。

そのため、ブックメーカー側がオッズを誤って設定すると損失を被ることもあります。

また、パリミュチュエル方式では投票締切時にオッズが確定するのに対し、ブックメーカー方式では賭けた瞬間のオッズが固定されます。

この違いにより、前者は公営競技向けの「公平性重視型」、後者は商業的な「リスク承知型」といえるでしょう。

比較表まとめ

比較項目パリミュチュエル方式ブックメーカー方式
仕組みファン同士の山分け主催者とファンの勝負形式
オッズ投票締切時に決定(変動制)購入時に決定(固定制)
リスクファン同士で共有主催者が負う
公平性高い(公営向き)主催者次第(民間)
採用国日本・フランス・香港などイギリス・オーストラリアなど

このように、パリミュチュエル方式は「ファンが作るオッズ」であり、ブックメーカー方式は「主催者が作るオッズ」です。

日本では公正・透明を重視するため、すべての公営競馬がパリミュチュエル方式を採用しています。

公営競馬で採用されている理由

日本の競馬では、中央競馬(JRA)も地方競馬もすべてパリミュチュエル方式を採用しています。

この仕組みは単に伝統的というだけでなく、公共事業としての信頼性を保つために欠かせない役割を果たしています。

公営競技において最も重視されるのは「公正・透明・公共性」です。

パリミュチュエル方式は、主催者がオッズを操作できず、すべての配当がファンの投票結果に基づいて決まるため、不正が起こりにくい構造になっています。

また、控除金の一部は自治体や福祉事業に還元され、社会的な貢献にもつながっています。

そのため、この方式は公営競馬に最もふさわしい「信頼性の高いシステム」として定着しているのです。

まとめ|パリミュチュエル方式は「公平な山分けシステム」

パリミュチュエル方式は、すべての投票金を一度まとめ、控除後に的中者で山分けする仕組みです。

主催者は運営費などを差し引くだけで、配当はすべてファンに還元されます。

このため、人気や投票状況に応じてオッズが自然に変動し、常に公平なバランスが保たれています。

ブックメーカー方式のように主催者がリスクを負うわけではなく、純粋にファン同士で成立する“公正な賭け”こそが、日本競馬の信頼を支える大きな要因です。

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