競馬中継を見ていると、レース中の各馬の位置取りが画面上に分かりやすく表示されることがあります。
この表示に使われているのが、トラッキングシステムです。
トラッキングシステムによって、どの馬がどの位置を走っているのか、先頭からどれくらい離れているのかを視覚的に確認しやすくなりました。
この記事では、競馬のトラッキングシステムとは何か、いつから導入されたのか、レース観戦や予想にどう役立つのかを初心者向けに解説します。
競馬のトラッキングシステムとは?
まずは、トラッキングシステムの基本から整理しましょう。
競馬におけるトラッキングシステムは、レース中の馬の位置情報を可視化する仕組みです。
初心者にも分かりやすく、どのようなシステムなのかを解説します。
競走馬の位置情報を追跡するシステム
競馬のトラッキングシステムとは、レース中の競走馬の走行位置を追跡するシステムです。
JRAの説明では、競走馬のゼッケンにセンサーを装着し、衛星測位によって得られた位置情報を低遅延・高頻度で取得する仕組みとされています。
簡単にいえば、レース中に「どの馬がどこを走っているのか」を見える化する技術です。
これにより、テレビ中継や競馬場のターフビジョンで、各馬の位置取りやコース上の現在地をグラフィック表示できるようになります。
競馬初心者にとって、レース中の馬群を目で追うのは意外と難しいです。
特に多頭数のレースでは、応援している馬を見失ってしまうこともあるでしょう。
トラッキングシステムは、そのような分かりにくさを補ってくれる便利な仕組みです。
テレビ中継やターフビジョンで位置取りが分かりやすくなる
トラッキングシステムがあると、テレビ中継やターフビジョンで各馬の位置取りを確認しやすくなります。
たとえば、逃げている馬、先行している馬、中団で脚をためている馬、後方から追い込む馬の位置が見やすくなります。
通常の映像だけでは、馬群の内側にいる馬や後方にいる馬を見つけにくいことがあります。
しかし、トラッキング表示があれば、馬番や位置情報を頼りに現在地を把握しやすいです。
実況だけでは追い切れない情報を、画面上の表示で補える点も大きなメリットです。
競馬場で観戦している場合も、遠くの向正面や3コーナー付近では肉眼で細かい位置取りを確認しづらいことがあります。
そのような場面でも、ターフビジョンの表示を見ることでレース全体の流れを理解しやすくなるでしょう。
トラッキングシステムは競馬でいつから使われている?
トラッキングシステムは、近年の競馬中継を分かりやすくするために導入された仕組みです。
最初からすべてのレースで使われていたわけではなく、対象レースは段階的に広がっています。
ここでは、導入時期や対象競走の広がりを整理します。
JRAでは2023年からトラッキング入り映像が見られるようになった
JRAでは、2023年からトラッキングシステムが導入されています。
JRA公式YouTubeでは、2023年のマイラーズカップやNHKマイルカップなどで、トラッキンググラフィック入りのレース映像が公開されました。
当初は、すべてのレースで使われていたわけではありません。
2023年春の運用では、対象レースが各開催日の第11レースなどに限られていました。
そのため、最初はメインレースや重賞レースで見かける機会が多いシステムという印象を持った方もいるでしょう。
ただ、実際に映像で見ると、馬群の位置関係が分かりやすく、レース展開の理解にも役立ちます。
競馬中継の見やすさを高める技術として、少しずつ定着してきた仕組みといえるでしょう。
2026年6月から対象競走が拡大
トラッキングシステムは、2026年6月から対象競走が拡大されています。
JRAは2026年6月2日、2023年に導入したトラッキングシステムについて、2026年6月6日から対象競走を広げると発表しました。
対象は特別競走、新馬戦、障害競走で、各競馬場1日最大6競走とされています。
これまではメインレースを中心に見る機会が多かった人でも、今後は新馬戦や障害競走でもトラッキング表示に触れる機会が増えます。
特に新馬戦は、出走馬の過去成績がないため、レース中の位置取りや実戦での動きが重要です。
そのため、トラッキングシステムによって各馬の位置が分かりやすくなることは、観戦面でも予想の振り返り面でも役立つでしょう。
今後さらに対象が広がれば、競馬中継の見方もより分かりやすくなっていくかもしれません。
トラッキングシステムで分かること
トラッキングシステムを見ると、レース中の位置取りが以前より分かりやすくなります。
特に、馬群の中にいる馬や後方から追い込む馬の動きを確認しやすいです。
ここでは、具体的に何が分かるのかを紹介します。
各馬の現在位置が分かりやすい
トラッキングシステムで分かりやすくなるのは、各馬の現在位置です。
どの馬が先頭にいるのか、どの馬が中団にいるのか、どの馬が後方に控えているのかを確認しやすくなります。
通常のレース映像では、カメラが先頭集団を中心に映すことも多いです。
そのため、後方の馬や馬群の内側にいる馬は、映像だけでは見つけにくいことがあります。
しかし、トラッキング表示があると、全体の位置関係を把握しやすくなります。
応援している馬がどのあたりを走っているのかを確認しやすい点は、初心者にとって大きなメリットです。
レース展開を理解するうえでも、現在位置が分かることは重要なポイントになります。
逃げ・先行・差し・追い込みの位置取りが見やすい
競馬では、馬の脚質によってレース中の位置取りが変わります。
逃げ馬は先頭に立ち、先行馬は前の集団につけます。
差し馬は中団あたりで脚をため、追い込み馬は後方から直線勝負にかけることが多いです。
トラッキングシステムを見ると、この脚質ごとの位置取りが分かりやすくなります。
逃げ馬がどれくらいリードしているのか、先行馬が好位を取れているのか、差し馬が届く位置にいるのかを確認しやすいです。
また、追い込み馬が後方すぎる位置にいる場合は、直線だけで届くのかを考える材料になります。
脚質と位置取りを結びつけて見ることで、レース展開の理解が深まるでしょう。

コース上のどこを走っているか把握しやすい
トラッキングシステムでは、馬がコース上のどのあたりを走っているかも分かりやすくなります。
向正面、3コーナー、4コーナー、直線入口など、レース中の地点を把握しやすいのが特徴です。
競馬場によっては、コースが大きく、映像だけでは今どの地点を走っているのか分かりにくいことがあります。
特に初心者は、スタートからゴールまでの流れをつかむのに時間がかかるかもしれません。
トラッキング表示があれば、コース全体の中で現在どの位置にいるのかを視覚的に理解しやすくなります。
これは現地観戦でもテレビ観戦でも役立つポイントです。
コースの形や仕掛けどころを覚えるきっかけにもなるでしょう。
トラッキングシステムは競馬予想に使える?
トラッキングシステムは、レース観戦を分かりやすくするだけでなく、予想の振り返りにも役立ちます。
ただし、表示を見るだけで馬券が当たるわけではありません。
予想に使う場合は、レース内容の理解を深める補助材料として考えるのがおすすめです。
レース後の振り返りに役立つ
トラッキングシステムは、レース後の振り返りに役立ちます。
勝った馬がどの位置から動いたのか、負けた馬がどのあたりを走っていたのかを確認しやすいからです。
たとえば、直線で伸びなかった馬でも、道中で外を回されていたり、位置取りが後ろすぎたりした場合があります。
反対に、勝った馬がスムーズに好位を取れていたなら、展開が向いたと考えることもできます。
着順だけを見ると分からない内容も、位置取りを確認することで見えやすくなります。
次走で見直せる馬を探すときにも、レース中の位置取りは重要な材料です。
初心者の方は、まずレース後に「勝った馬はどこにいたのか」「負けた人気馬はどこを走っていたのか」を確認するとよいでしょう。
脚質や展開の理解が深まりやすい
トラッキングシステムを使うと、脚質や展開の理解が深まりやすくなります。
逃げ馬が楽に先頭を取れたのか、先行馬がスムーズに好位を確保できたのか、差し馬が届く位置にいたのかを確認しやすいです。
競馬では、同じ着順でも内容が大きく違うことがあります。
前残りの展開で後方から差してきた馬は、負けていても強い競馬をしている場合があります。
反対に、展開に恵まれて好走した馬は、次走で同じように走れるとは限りません。
トラッキング表示を見ることで、位置取りと結果の関係を考えやすくなります。
展開予想を勉強したい初心者にとっても、良い復習材料になるでしょう。
数字だけでは分からない不利も見つけやすい
競馬予想では、着順やタイムだけでは分からない不利を見ることも大切です。
トラッキングシステムを使うと、馬群に包まれていた馬や、外を回された馬を見つけやすくなります。
たとえば、人気馬が負けたとしても、道中で位置取りが悪くなっていた場合は、能力を出し切れなかった可能性があります。
また、後方から外を回して追い上げた馬は、着順以上に評価できることもあります。
もちろん、細かな進路の狭さや馬の手応えまでは、トラッキング表示だけで判断できません。
そのため、通常のレース映像と合わせて見ることが大切です。
位置情報と映像を組み合わせることで、次走に向けた評価をより深められます。
トラッキングシステムを見るときの注意点
トラッキングシステムは便利な仕組みですが、万能ではありません。
位置取りが分かりやすくなる一方で、馬の手応えや細かな不利まですべて判断できるわけではないからです。
ここでは、初心者が注意したいポイントを整理します。
位置取りだけで強さは判断できない
トラッキングシステムを見ると、各馬の位置取りが分かりやすくなります。
ただし、位置取りだけで馬の強さを判断するのは危険です。
前にいた馬が有利になることもありますが、ペースが速ければ前の馬が苦しくなることもあります。
後方にいた馬も、展開が向けば直線で一気に伸びる場合があります。
また、同じ中団にいたとしても、内で脚をためていた馬と外を回されていた馬では負担が違います。
位置情報は便利ですが、ペース、馬場、コース、脚質とセットで見ることが大切です。
トラッキングシステムは、あくまで予想材料のひとつとして使いましょう。
馬の手応えや細かい不利は映像も確認する
トラッキングシステムだけでは、馬の手応えまでは分かりにくいです。
騎手がどのタイミングで追い出したのか、馬がどれくらい余力を残していたのかは、通常の映像で確認する必要があります。
また、進路が狭くなった場面や、前が詰まった場面も、位置情報だけでは判断しきれません。
馬が首を上げて嫌がっていたのか、砂をかぶって走りづらそうだったのかも映像の方が分かりやすいです。
そのため、トラッキングシステムは映像を補助するものとして使うのがおすすめです。
位置取りをトラッキングで確認し、細かい内容をレース映像で見ると、より深い振り返りができます。
便利な技術ですが、表示だけで結論を出さないようにしましょう。
トラッキングシステムで競馬観戦はどう変わる?
トラッキングシステムによって、競馬観戦はより分かりやすくなっています。
特に、出走頭数が多いレースや馬群が密集するレースでは、初心者でも各馬の位置を追いやすいです。
ここでは、観戦面でのメリットを紹介します。
初心者でもレース展開を追いやすくなる
トラッキングシステムがあると、初心者でもレース展開を追いやすくなります。
どの馬がどこにいるのかが分かりやすくなるため、応援している馬を見失いにくくなります。
多頭数のレースでは、同じような勝負服や馬体の馬が並び、見慣れていないと判別が難しいことがあります。
そのような場面でも、画面上の位置表示があれば、現在の位置を確認しやすいです。
実況とトラッキング表示を合わせて見ることで、レース全体の流れも理解しやすくなります。
競馬を始めたばかりの方にとって、レースが分かりやすくなることは大きな魅力です。
観戦のハードルを下げる仕組みとしても、トラッキングシステムは役立つでしょう。
競馬場やテレビ中継で楽しみ方が広がる
トラッキングシステムは、競馬場でもテレビ中継でも楽しみ方を広げてくれます。
現地観戦では、遠くの位置にいる馬を肉眼だけで追うのが難しいことがあります。
そのようなときにターフビジョンで位置取りを確認できれば、レース全体を理解しやすくなります。
テレビ中継でも、先頭集団だけでなく、後方にいる有力馬の動きを意識しやすくなります。
レース後の振り返りにも使えるため、初心者だけでなく、競馬に慣れている人にも便利です。
今後、対象レースが広がっていけば、競馬中継の見方もさらに変わっていくでしょう。
トラッキングシステムは、競馬をより分かりやすく楽しむための新しい視点といえます。
競馬のトラッキングシステムまとめ
トラッキングシステムとは、競走馬の位置情報を追跡して可視化する仕組みです。
競走馬のゼッケンにセンサーを装着し、衛星測位によって各馬の走行位置を取得します。
JRAでは2023年からトラッキング入り映像が見られるようになり、2026年6月からは対象競走が拡大されています。
各馬の位置取りやコース上の現在地が分かりやすくなるため、初心者でもレース展開を追いやすいです。
予想では、レース後の振り返りや脚質の理解、次走で見直せる馬を探す材料として役立ちます。
ただし、位置情報だけで馬の強さを判断するのは危険です。
映像、ラップ、馬場状態、脚質などと合わせて見ることで、トラッキングシステムをより実戦的に活用できるでしょう。

