競馬で馬券を買っていて、なぜか思うように勝ち続けられないと感じたことはありませんか。
その理由としてよく挙げられるのが「テラ銭」や「控除率」という言葉です。ただ、名前は聞いたことがあっても、実際にどのような仕組みでお金が差し引かれているのかを正しく理解している人は多くありません。
さらに、競馬では「税金」が話題になることもありますが、テラ銭と税金は性質がまったく異なるものです。
本記事では、競馬におけるテラ銭の仕組み、馬券種ごとの控除率の考え方、税金がかかるケースについて、初心者にも分かりやすく整理して解説していきます。
競馬のテラ銭とは?仕組みを簡単に解説
競馬のテラ銭は、馬券を購入した時点ですでに組み込まれている仕組みです。
多くの人が何となく不利だと感じていても、具体的にどのようなお金なのかは意外と知られていません。
まずはテラ銭という言葉の意味や語源、そして馬券の売上がどのように分配されているのかを整理していきます。
仕組みを理解することで、競馬の見え方が少し変わってくるはずです。
テラ銭(寺銭)の意味と語源
テラ銭とは、競馬をはじめとした公営ギャンブルにおいて、主催者側が収益として差し引く取り分のことを指します。
馬券を購入した時点で自動的に控除される仕組みであり、的中・不的中に関係なく、すべての購入者に共通して発生します。
この言葉の語源は「寺が取る銭」にあります。
昔、寺が富くじや賭博の胴元を務めていた時代に、運営側が受け取る取り分を寺銭と呼んだことが由来です。
現代の競馬では寺が関わっているわけではありませんが、テラ銭という言葉はそのまま使われ、現在では競馬場や主催団体が運営費や事業費として差し引く控除分を意味する言葉として定着しています。
馬券の売上はどう分配されているのか
競馬の馬券は、売れた金額がそのまま的中者に配当されるわけではありません。
たとえば、あるレースで馬券が100億円分売れた場合、その全額が払い戻しに回るのではなく、あらかじめ一定割合が主催者側の取り分として差し引かれます。
一般的なイメージでは、およそ75億円前後が配当原資となり、残りの約25億円がテラ銭にあたります。
的中者に全額が戻らない理由は、競馬が単なる賭け事ではなく、競馬場の運営費やレース開催にかかるコスト、さらに国庫納付金などを含んだ仕組みで成り立っているためです。
これらの費用をまかなうため、馬券の売上から一定額が最初に差し引かれています。
つまりテラ銭は、後から引かれるものではなく、馬券を購入した時点で最初から組み込まれている仕組みです。
どの馬券が的中しても、この控除があること自体はすべての購入者に共通しており、競馬の前提条件として理解しておく必要があります。
控除率と還元率の違い
競馬を理解するうえで重要なのが「控除率」と「還元率」の違いです。
控除率とは、馬券の売上から主催者側が差し引く割合のことで、いわゆるテラ銭の比率を指します。
一方、還元率は、売上のうちどれだけの金額が的中者への払戻に回されるかを示す割合です。
この2つは表裏一体の関係にあり、控除率が高くなれば還元率は低くなり、控除率が低ければ還元率は高くなります。
競馬では馬券種や主催者によって多少の違いはありますが、全体の平均としては、およそ75%前後が払戻に回る仕組みと考えると分かりやすいでしょう。
つまり、馬券を購入した時点で、売上の約4分の1は運営や事業に充てられ、残りの約75%を的中者同士で分け合う構造になっています。

馬券種別の控除率一覧と特徴
競馬の控除率は、すべての馬券で同じではありません。
2014年以降は、馬券種ごとに払戻率(還元率)が設定されており、難易度が高い馬券ほど控除率が高くなる傾向があります。
まずは、馬券種別の払戻率を一覧で確認してみましょう。
| 投票法 | 払戻率(還元率) | 控除率 |
|---|---|---|
| 単勝 | 80.00% | 20.00% |
| 複勝 | 80.00% | 20.00% |
| 枠連 | 77.50% | 22.50% |
| 馬連 | 77.50% | 22.50% |
| ワイド | 77.50% | 22.50% |
| 馬単 | 75.00% | 25.00% |
| 3連複 | 75.00% | 25.00% |
| 3連単 | 72.50% | 27.50% |
| WIN5 | 70.00% | 30.00% |
競馬のテラ銭と税金は別物なので注意
競馬の話題では、テラ銭と税金が同じもののように語られることがありますが、この2つは仕組みも扱いもまったく異なります。
テラ銭は馬券を購入した時点で自動的に差し引かれるものですが、税金はすべての人に必ずかかるわけではありません。
違いを正しく理解しておかないと、無用な誤解や不安を抱いてしまうこともあります。
ここではまず、テラ銭と税金の基本的な違いを整理していきます。
テラ銭は自動で引かれる「手数料」
テラ銭は、馬券を購入した時点で自動的に差し引かれるもので、いわば競馬に参加するための手数料のような存在です。
購入者が何か特別な手続きをする必要はなく、馬券代金の中にあらかじめ組み込まれています。
この控除は、的中したかどうかに関係なく一律で適用されるため、あとから申告したり精算したりする必要はありません。
馬券を買った時点で完結している仕組みといえます。
また、テラ銭は購入金額や購入者の立場によって差が出るものではなく、誰が買っても同じ条件で引かれます。
そのため、個人差が出るのはテラ銭ではなく、その後の予想や買い方による結果だという点を理解しておくことが大切です。
税金がかかるのは「一時所得」
競馬で税金がかかるのは、テラ銭ではなく、払戻によって利益が出た場合です。
原則として、競馬の払戻金は「一時所得」に区分され、的中した馬券の払戻金が課税対象になります。
一時所得には特別控除があり、年間の一時所得が50万円を超えた場合に課税の対象となります。
つまり、競馬の払戻金も他の一時所得と合算したうえで、50万円を超えるかどうかが判断基準になります。
注意点として、外れ馬券の購入金額は原則として経費として認められません。
そのため、的中した払戻金から外れ馬券分を差し引いて計算できるわけではなく、この点が誤解されやすいポイントです。

JRAのテラ銭はどこに使われているのか
競馬のテラ銭は、単に主催者の利益として消えているわけではありません。
JRAでは、法律に基づいて馬券売上の一部や事業利益を国に納める仕組みが整えられています。
そのお金は、競馬だけでなく社会全体を支える目的で活用されています。
ここでは、テラ銭がどのような形で社会に還元されているのかを見ていきましょう。
国庫納付金として社会に還元されている
JRAのテラ銭は、主催者の利益として留まるのではなく、日本中央競馬会法に基づいて国へ還元される仕組みになっています。
具体的には、馬券(勝馬投票券)の売上の一部と、事業によって得た利益の半分が「国庫納付金」として国に納められます。この制度によって、競馬は公営事業として社会的な役割を担っています。
国に納められた国庫納付金は、畜産振興や社会福祉など幅広い分野に活用されています。
競走馬の生産を支える畜産関連事業だけでなく、研究支援や地域社会への貢献にも充てられており、競馬の売上が日本の基盤を支える一部となっている点が特徴です。
馬券購入が間接的な社会貢献になる理由
馬券の購入は、単にレースを楽しむ行為にとどまらず、間接的に社会を支える役割も担っています。
日本中央競馬会では、国庫納付金とは別に、事業利益の一部を活用してさまざまな社会貢献活動を行っています。
代表的な取り組みのひとつが、畜産研究への支援です。
家畜の飼養管理や生産性向上、食の安全につながる研究が支えられており、競走馬に限らず日本の畜産全体の発展に寄与しています。
また、次世代を担う人材育成も重要な目的のひとつです。
大学や研究機関、高校などで行われる教育・研究プロジェクトを支援し、将来の畜産や農業を支える人材の育成につなげています。
さらに、家畜疾病対策や災害支援にも活用されています。
鳥インフルエンザなどの感染症対策や、自然災害で被害を受けた畜産現場への支援を通じて、安定した生産体制を守る役割も果たしています。
このように、馬券を購入する行為は、知らず知らずのうちに日本の畜産や社会基盤を支える力となっています。
テラ銭を理解した上で競馬とどう向き合うか
テラ銭の仕組みを知ると、競馬が単なる運任せの勝負ではないことが見えてきます。
控除がある前提で成り立っているからこそ、馬券の買い方や考え方も変わってきます。
重要なのは、テラ銭を嘆くことではなく、仕組みを理解したうえでどう向き合うかです。
ここでは、立場別に競馬との付き合い方を整理していきます。
初心者は控除率が低い馬券から始める
競馬を始めたばかりの段階では、まず控除率が比較的低い馬券から取り組むのが無難です。
単勝や複勝は、他の馬券種に比べて還元率が高く、仕組みもシンプルなため、競馬の流れや予想の基本を学ぶのに向いています。
この段階では、高配当を狙うよりも、本命サイドを中心に買う意識が重要です。
的中と不的中の理由を振り返りやすく、予想力の土台を作りやすくなります。
最初から利益を求めすぎず、勉強期間として割り切って馬券を購入することで、無理なく競馬に慣れていくことができるでしょう。
中級者以上は「控除率+オッズ」を見る
ある程度競馬に慣れてきた中級者以上の段階では、控除率や還元率だけで馬券種を選ぶ考え方から一歩進む必要があります。
還元率が高いから有利、低いから不利と単純に判断してしまうと、実際の馬券戦略とズレが生じることがあります。
重要になるのが、オッズの歪みを意識する視点です。
投票が特定の馬や組み合わせに集中すると、実力や確率に対してオッズが不自然に低くなる一方、見落とされている選択肢に妙味が生まれます。
控除率とオッズの両方を踏まえたうえで、自分が得意とする馬券種や買い方を見つけることが、安定した競馬との付き合い方につながります。

まとめ|競馬のテラ銭と税金を正しく理解しよう
競馬におけるテラ銭は、馬券の売上から最初に差し引かれる仕組みであり、競馬という公営事業が成り立つために避けられないものです。
一方で、テラ銭と税金はまったく別の制度であり、税金は払戻によって一定以上の利益が出た場合にのみ関係してきます。
この2つを混同しないことが大切です。
また、控除率があるから必ず負けるわけではなく、勝敗は買い方や考え方によって左右されます。
競馬の仕組みを正しく理解することで、無駄な誤解や無理な勝負を避け、より冷静に馬券と向き合えるようになるでしょう。

