競馬ファンの間で時折耳にする「奇跡の血量」という言葉。
血統に詳しい人ほど、このフレーズにロマンを感じるかもしれません。特に名馬たちの血統表を眺めていると、「3×4」や「18.75%」といった数字が現れることがあります。
それこそが、奇跡の血量と呼ばれるインブリードの一種であり、競走馬の才能や気性に影響を与える重要な要素なのです。
本記事では、奇跡の血量の定義や成り立ち、その血統を持つ名馬たち、そして馬券戦略への応用まで、初心者にもわかりやすく解説していきます。
奇跡の血量とは?

競馬における奇跡の血量とは、血統表においてある祖先が3代目と4代目にそれぞれ一度ずつ登場する、いわゆる3×4のインブリード配合を指します。
これは遺伝的に18.75%の血が集まっていることを意味し、競走能力や特徴が程よく伝わるとされています。
ここではその具体的な数値や、なぜこの配合が「奇跡」と称されるのかを詳しく見ていきましょう。
奇跡の血量が18.75%と呼ばれる理由
血統表において、1代目は両親、2代目は祖父母、3代目は曾祖父母、4代目は高祖父母にあたります。
3代目と4代目に同じ祖先が登場するということは、その馬にとってその血統が3代目から12.5%、4代目から6.25%伝わっていることになり、合計で18.75%の血を受け継いでいる計算になります。
この血量が「奇跡」と呼ばれる理由は、濃すぎず薄すぎず、能力を引き継ぐのに理想的な数値とされるためです。
なぜ、3×4のインブリードが奇跡の血量と呼ばれるのか?
3×4という配合は、血統の中で特定の名馬の能力や特徴を受け継ぎながらも、過度な遺伝的リスクを避けられるという絶妙なバランスが評価されています。
たとえば、2×3などの濃いインブリードでは気性難や体質の弱さといった弊害が出やすいとされますが、3×4の配合ではそうしたリスクが比較的少なく、それでいてスピードや勝負根性といった資質をうまく引き出せることから奇跡の血量として注目されているのです。
インブリードとアウトブリードの違い

競走馬の血統配合は、大きく分けて「インブリード」と「アウトブリード」の2種類に分類されます。
特定の祖先を複数回登場させることで能力を強調するのがインブリード、一方で異なる血統を掛け合わせて多様性やバランスを重視するのがアウトブリードです。
ここではインブリードとアウトブリード、それぞれの特徴や考え方を整理し、血統戦略の違いをわかりやすく解説します。
インブリードとは?
インブリードとは、血統表に同じ祖先が複数回登場する配合のことを指します。
具体的には父系と母系のそれぞれの系統に同一の名馬が含まれているケースがこれに該当します。

上記の血統表は名馬イクイノックスの血統表です。
父方と母の4代前に「Halo」が、確認できました。イクイノックスはHaloの4×4のインブリード持ちとなります。
インブリードは特定の能力や資質を強調する効果があり、スピードや勝負根性などを固定化しやすいとされています。
ただし、血の濃度が濃くなるほど、気性の荒さや故障リスクの増加など、弊害が出る可能性もあるため、慎重な血統設計が求められます。
アウトブリードとは?
アウトブリードとは、近い世代に共通の祖先を持たない血統配合のことで、血統表からは父方と母方に同じ馬の名前が重ならない馬がアウトブリードとなります。

こちらは名馬ステイゴールドの4代血統ですが、同一馬名がないため、アウトブリードです。
アウトブリードの特徴としては、遺伝的な多様性が確保されやすく、体質がしっかりしていたり、性格が素直だったりする傾向があるとされます。
近年の配合ではアウトブリードが主流になる傾向も見られ、特に初期繁殖牝馬や異系統の種牡馬との組み合わせで重宝されています。
ただし、能力の伝達が分散しやすく、突出した個性が出にくい点には注意が必要です。
父方か母方のみ複数の場名がある場合もアウトブリードとなる
競走馬の血統には、アウトブリードと呼ばれる馬の中にも、父方もしくは母方の血統表に複数の場名があるケースもあります。

こちらは無敗の三冠馬コントレイルの5代血統ですが、血統表を見てみると、母方の4代目前と5代目前に「Fappiano」という馬が確認できました。
血統表に同じ名前の馬が複数いるのでインブリードに見えますが、インブリードは「父方と母方の血統に同一名の馬がいる」ことが条件です。
父方もしくは母方のどちらか片側に同一名馬が複数いた場合、競馬においてはアウトブリードに分類されます。
ちなみに、グランアレグリアやラッキーライラックといった名馬もこのようなアウトブリードです。
インブリードとアウトブリードのメリットとデメリット
インブリードとアウトブリードにはそれぞれメリットとデメリットがあります。
詳細を表にまとめました。
カテゴリー | インブリードの特徴 | アウトブリードの特徴 |
---|---|---|
遺伝の集中度 | 高く、特定の能力を固定しやすい | 分散しており、遺伝的な多様性を保てる |
気性 | 荒くなりやすい | 素直で扱いやすい傾向がある |
体質 | 故障リスクは高め | 丈夫な馬が多い |
成長スピード | 早熟な馬が多め | ゆっくり成長するタイプも多い |
突出した才能の出現 | 両親の特徴を引き継ぎやすい | 時折大化けする馬も出てくる |
血統戦略の難易度 | リスク管理が重要 | 比較的設計 |
奇跡の血量を持つ名馬たち

血統配合の中でも「3×4」のインブリードを持つ馬は多く存在しますが、その中でも特に優れた実績を残した競走馬たちは「奇跡の血量の持ち主」として注目を集めます。
名馬と呼ばれる彼ら彼女らは、単に遺伝的な偶然ではなく、代々の配合戦略や血統の積み重ねによって生まれてきた存在です。
ここでは、奇跡の血量を持ち、実際にG1などで華々しい成績を残した代表的な馬たちを紹介します。
オルフェーヴル

生年月日 | 2008年5月14日 |
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性別 | 牡 |
父 | ステイゴールド |
母 | オリエンタルアート |
母父 | メジロマックイーン |
生産牧場 | 白老ファーム |
戦績 | 21戦12勝 |
主な勝ち鞍 | 皐月賞(G1) 2011年 日本ダービー(G1) 2011年 菊花賞(G1) 2011年 有馬記念(G1) 2011・2013年 宝塚記念(G1) 2012年 スプリングステークス(G2) 2011年 神戸新聞杯(G2) 2011年 フォワ賞(G2) 2012・2013年 産経大阪杯(G2) 2013年 |
獲得賞金 | 15億7,621万3,000円 |
登録抹消日 | 2013年12月23日 |
オルフェーヴルは史上7頭目のクラシック三冠馬で、ノーザンテーストの3×4の奇跡の血量持ちです。
気性難の馬としても有名で、小柄な馬体から想像できないパワフルな走りで最終的には6つのG1レースを手にしました。
クラシック三冠だけではなく、逸走した阪神大賞典や2年連続凱旋門賞で2着、引退後の有馬記念における8馬身差の衝撃など、数多くの名レースの立会者となった歴史的名馬です。
引退後は種牡馬入りを果たし、ラッキーライラックやウシュバテソーロなど、芝・ダート問わず活躍馬を輩出しています。
ブエナビスタ

生年月日 | 2006年3月14日 |
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性別 | 牝 |
父 | スペシャルウィーク |
母 | ビワハイジ |
母父 | Caerleon |
生産牧場 | ノーザンファーム |
戦績 | 23戦9勝 |
主な勝ち鞍 | 阪神JF(Jpn1) 2008年 桜花賞(Jpn1) 2009年 オークス(Jpn1) 2009年 ヴィクトリアマイル(G1) 2010年 天皇賞(秋)(G1) 2010年 ジャパンカップ(G1) 2011年 京都記念(G2) 2010年 チューリップ賞(Jpn3) 2009年 |
獲得賞金 | 14億7,886万9,700円 |
登録抹消日 | 2012年1月5日 |
ブエナビスタは2006生まれで、Nijinskyの3×4を持つ奇跡の血量持ちです。
二冠牝馬として長く活躍し、古馬になってからは当時珍しかったぶっつけG1や牡馬混合G1に積極的に参戦し、結果を残しました。
引退レースの有馬記念では7着に敗れてしまいましたが、最終的には6つのG1レースを勝利し、牡馬にも通用する牝馬として、第一線を駆け抜けました。
エルコンドルパサー

生年月日 | 1995年3月17日 |
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性別 | 牡 |
父 | Kingmambo |
母 | サドラーズギャル |
母父 | Sadler’s Wells |
生産牧場 | Takashi Watanabe |
戦績 | 11戦8勝 |
主な勝ち鞍 | NHKマイルカップ(G1) 1998年 ジャパンカップ(G1) 1998年 サンクルー大賞(G1) 1999年 NZT4歳ステークス(G2) 1998年 フォワ賞(G2) 1999年 共同通信杯4歳ステークス(重賞) 1998年 |
獲得賞金 | 4億5,300万800円 |
登録抹消日 | 1999年11月28日 |
エルコンドルパサーはスペシャルウィークやキングヘイロー、グラスワンダーなど、花の98世代の一角で、血統的にはノーザンダンサーの4×3の血量持ちです。
4歳(現在の3歳)の時に挑んだジャパンカップにおいては同期のスペシャルウィークや年上のオークス馬であるエアグルーヴにも先着しました。
古馬になってからは凱旋門賞を最大目標に調整し、凱旋門賞では逃げ粘りの競馬でモンジューの2着に入線し、日本調教馬としての強さを欧州に証明しています。
腸捻転のため、わずか7歳で亡くなりましたが、これまでの競走馬にはないローテーションをクリアし、生涯すべてのレースで連対していることから、世代最強馬として取り上げる人も数多くいる名馬です。
デアリングタクト

生年月日 | 2017年4月15日 |
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性別 | 牝 |
父 | エピファネイア |
母 | デアリングバード |
母父 | キングカメハメハ |
生産牧場 | 長谷川牧場 |
戦績 | 13戦5勝 |
主な勝ち鞍 | 桜花賞(G1) 2020年 オークス(G1) 2020年 秋華賞(G1) 2020年 |
獲得賞金 | 6億4,413万2,400円 |
登録抹消日 | 2023年10月12日 |
デアリングタクトは史上6頭目となる牝馬三冠を成し遂げた馬で、中央競馬史上初となる無敗で牝馬三冠レースを勝利した馬です。
サンデーサイレンスの4×3の奇跡の血量持ちの馬で、サンデーサイレンスらしいスピード能力にたけた競馬で、クラシック路線を圧倒しました。
古馬になってからは繋靭帯炎のため、復活を果たせませんでしたが、同期のコントレイルや先輩三冠馬のアーモンドアイとの三つ巴の戦いなど、数多くのドラマを生んだ名牝です。
アドマイヤマーズ

生年月日 | 2016年3月16日 |
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性別 | 牡 |
父 | ダイワメジャー |
母 | ヴィアメディチ |
母父 | Medicean |
生産牧場 | ノーザンファーム |
戦績 | 13戦6勝 |
主な勝ち鞍 | 朝日杯FS(G1) 2018年 NHKマイルカップ(G1) 2019年 香港マイル(G1) 2019年 デイリー杯2歳ステークス(G2) 2018年 |
獲得賞金 | 5億5,700万1,500円 |
登録抹消日 | 2020年12月23日 |
アドマイヤマーズはダイワメジャー産駒の馬で、4歳までの間に3つのマイルG1を勝利しました。
種牡馬入りしてからは、桜花賞を勝利したエンブロイダリーを輩出し、種牡馬としても成功しつつあります。
現在も種牡馬として活躍しているアドマイヤマーズの血統背景を見てみると、父方の3代目と母方の5代目の欄ふたつにHaloがいました。
Haloの3×5×5という変わったインブリードですが、この場合の血統濃度は18.75%なので、アドマイヤマーズはHaloの奇跡の血量持ちとなります。
奇跡の血量持ちは4×3だけではなく、アドマイヤマーズのように5×3×3でも誕生する可能性があるのです。
血統表で奇跡の血量を見る方法

競馬ファンや予想家にとって、血統表は馬の素質や適性を知るうえで欠かせない情報源です。
特に「奇跡の血量」を見抜くためには、3代目や4代目の祖先に注目することが重要です。
ここでは、誰でも使える血統表サイトやツールを紹介するとともに、奇跡の血量のチェックポイントを具体的に解説します。
血統表が見られるサイトやツールを使用
奇跡の血量を確認するには、血統表を簡単に閲覧できるツールやサイトを活用するのが便利です。
中でも代表的なのが競馬サイトのnetkeiba.comや競馬ソフトのJRA-VAN、TARGET frontier JVなどで確認することができます。
特にnetkeiba.comでは、各馬の5代血統表が無料で確認でき、インブリードの該当馬名も太字で表示されるため、初心者にもわかりやすい設計です。
TARGETは競馬データ分析専用ソフトで多くの競馬ファンが使用していますが、有料ソフトなので誰でも気軽に手を出せるものではありません。
しかしながら、より詳細な血統情報やインブリード表記も自動で確認できるので、普段からTARGETを使用しているユーザーなら使いやすいかもしれません。
血統表だけなら、netkeiba.comでも確認できるので、競馬初心者の方はnetkeiba.comで充分でしょう。
こうしたツールを活用することで、血統の知識がなくても奇跡の血量を効率的に調べることが可能です。
3代目血統と4代目血統に注目する
奇跡の血量である「3×4」のインブリードを見つけるには、血統表の3代目と4代目をしっかりと確認することがポイントです。
具体的には、血統表の上から3列目と4列目に同じ名前の馬が父方と母方の両系統に一度ずつ登場していれば、3×4の構成となります。
見逃しやすいですが、奇跡の血量はこのようにして探し出せるため、じっくりと血統表を観察することが重要です。
なお、netkeiba.comの血統表の場合は表の下部に【5代めまでに生じたクロス】という項目があり、その下に同一名馬の名前と血量の濃度、クロスがまとめられています。
表
血統表を探さなくても一目で確認できるので、そこに18.75%の血統が確認できれば、その馬は奇跡の血量もちということになります。
馬券戦略に役立つ奇跡の血量の使い方

奇跡の血量は血統マニアだけが楽しむ要素ではなく、馬券戦略にも活かせる要素のひとつです。
特定の資質を受け継ぎやすい配合であることから、競走スタイルや適性を予測する手がかりにもなります。
ここでは、奇跡の血量を馬券にどう活かせるか、その考え方と注意点を解説します。
奇跡の血量持ちが能力が高い可能性がある
3×4のインブリードを持つ馬は、祖先の持つ能力や特徴を程よく受け継ぐことが多く、完成度の高い競走馬に育つ傾向があります。
過去の名馬にもこの血量構成を持つ馬は多く、配合の設計意図が結果に結びついた例ともいえます。
そのため、新馬戦やクラシック前哨戦などでこの配合を持つ馬を見つけたら、能力の裏付けとして一つの注目ポイントになります。
血統表に目を通すだけで、馬券における下支えとしての根拠を持てるのは大きな強みです。
奇跡の血量持ちは対象馬の特徴を引き継ぎやすい
3×4の配合は、遺伝的に特定の馬の資質を強く伝えやすくなります。
つまり、どの祖先の血が重なっているかによって、馬の性格やレーススタイルが似てくる傾向があります。
たとえば、サンデーサイレンスのようなスピード型の名馬が重複していれば短距離でのキレ味が期待できますし、スタミナ型なら長距離適性が見込まれるかもしれません。
血統表を確認する際には、どの馬が3×4で重なっているのかにも注目することで、予想に深みが増します。
奇跡の血量持ちが必ず走るとは限らない
「奇跡の血量」という言葉に過剰な期待を抱くのは禁物です。
なぜなら、たとえ3×4のインブリードを持っていても、全ての馬が名馬になれるわけではないからです。
実際には、競走馬全体の中に同様の配合を持つ馬は多く、その中で成功するのはほんの一握りです。
また、インブリードによる気性難や体質の弱さが表に出てしまうケースもあるため、その意味でもリスクはあります。
馬券を組み立てる際は、血統だけでなく調教、レース内容、騎手など総合的に判断する視点が重要です。
【番外】濃いインブリード持ちとアウトブリードの名馬

「奇跡の血量」とされる3×4は、バランスの取れたインブリードですが、競馬の世界ではそれより濃いインブリードや、逆に共通祖先を持たないアウトブリードでも名馬が誕生しています。
ここでは、あえて3×4から外れた代表的な例として、濃いインブリード配合で成功した馬と、アウトブリードで頂点に立った名馬を紹介します。
【濃いインブリード】エネイブル
生年月日 | 2014年2月12日 |
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性別 | 牝 |
父 | Nathaniel |
母 | Concentric |
母父 | Sadler’s Wells |
生産牧場 | Juddmonte Farms Ltd.(イギリス) |
戦績 | 19戦15勝 |
主な勝ち鞍 | オークスステークス(G1) 2017年 アイリッシュオークス(G1) 2017年 キングジョージ6世&QES(G1) 2017年・2019~2020年 凱旋門賞(G1) 2017・2018年 ブリーダーズカップターフ(G1) 2018年 エクリプスステークス(G1) 2019年 セプテンバーステークス(G3) 2018・2020年 |
獲得賞金 | 約14億7,000万円 |
引退発表日 | 2020年10月12日 |
欧州最強牝馬として名高いエネイブルは、サドラーズウェルズの3×2、血統濃度37.5%というかなり濃いインブリードを持つ配合で注目されました。
濃いインブリードはリスクも高いものの、成功すれば強烈な遺伝的影響を発揮します。
エネイブルはこの配合から生まれた驚異的な持久力と勝負根性で、キングジョージ連覇や凱旋門賞連覇など、歴史に残る活躍を見せました。血統の凝縮が生んだ奇跡のような存在です。
【アウトブリード】ディープインパクト

生年月日 | 2002年3月25日 |
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性別 | 牡 |
父 | サンデーサイレンス |
母 | ウインドインハーヘア |
母父 | Alzao |
生産牧場 | ノーザンファーム |
戦績 | 14戦12勝 |
主な勝ち鞍 | 皐月賞(G1) 2005年 日本ダービー(G1) 2005年 菊花賞(G1) 2005年 天皇賞(春)(G1) 2006年 宝塚記念(G1) 2006年 ジャパンカップ(G1) 2006年 有馬記念(G1) 2006年 弥生賞(G2) 2005年 神戸新聞杯(G2) 2005年 阪神大賞典(G2) 2006年 |
獲得賞金 | 14億5,455万1,000円 |
登録抹消日 | 2006年12月25日 |
ディープインパクトは、5代血統表に同一の祖先が一切登場しない完全なアウトブリード構成を持つ名馬です。
その結果として、心肺機能の強さ、柔軟な筋肉、折り合いのうまさといったバランスの取れた身体能力が形成されました。
アウトブリードは個性が出にくいとされますが、ディープはすべての面で高い次元を実現した異次元の馬でした。
この配合からもわかるように、必ずしもインブリードが必要というわけではなく、多様な血統からも名馬は生まれるのです。
奇跡の血量のまとめ

奇跡の血量とは、3×4のインブリードによって18.75%の血が特定の祖先から流れている配合のことを指し、能力の継承と安定性のバランスが取れた理想的な血統構成として知られています。
名馬の多くがこの血量を持っており、配合設計の妙を感じさせます。
とはいえ、奇跡の血量を持つすべての馬が活躍できるわけではなく、過信せず、馬体・調教・レース内容とあわせて総合的に判断することが大切です。
血統の知識は、競馬をより深く楽しむための一つの視点として活用しましょう。