競馬ファンにとって、馬場状態の悪化は大きな悩みの種です。
特に「不良馬場」は、レース展開や馬の適性に大きな影響を与え、波乱を呼ぶこともたびたび確認できます。
不良馬場においては、普段なら来ない馬が激走することもあり、馬券検討の精度が試されます。
この記事では、「不良馬場で好走する馬の見分け方」について、血統・脚質・枠順・馬体重などの観点からわかりやすく解説します。
不良馬場とは?|定義と特徴を押さえよう

不良馬場とは、レース当日の降雨や前日からの水分の影響によって、馬場が極端にぬかるんだ状態を指します。
JRAでは、芝・ダートともに含水率などをもとに「良」「稍重」「重」「不良」の4段階で馬場状態を発表しています。
そのなかで「不良」は最も水分を含んでおり、良馬場とはまるで違ったコンディションとなります。
なお、不良馬場は芝とダートで好走傾向が異なります。
具体的には、芝の場合は非常に時計がかかり、パワーが求められます。
ダートの場合は基本的に高速馬場になりますが、コース全体が滑りやすくなるため、アクシデントが発生する可能性も高くなります。
不良馬場で好走しやすい血統とは

競馬ファンの中でも「不良馬場=血統が重要」と考える人は少なくありません。
馬場が悪化することで通常のスピード勝負ではなくなり、脚力や持久力が求められるためです。
父系や母系に「重馬場・不良馬場に強い傾向のある血統」があるかどうかは、好走の大きなヒントになります。
そこで、ここからはダートと芝ごとに好走する血統について解説します。
ダート不良馬場に強い血統
ダートの不良馬場では、筋肉量がありパワーに優れた血統が好走する傾向があります。
具体的にはヘニーヒューズやドレフォン、シニスターミニスターが代表的です。
また、芝でも活躍しているロードカナロアやドゥラメンテ、ルーラーシップといったミスタープロスペクター系の血を持つ馬は、泥を蹴り飛ばすような走りができるため、悪化した馬場でも走破力を発揮します。
気性面でも砂をかぶっても動じないタフさが求められます。
芝不良馬場に強い血統
芝の不良馬場では、欧州型のスタミナ血統が台頭します。
代表的なのはガリレオやフランケル、ハーンジャーなどが重たい馬場でもしっかり脚を使える系統です。
ガリレオやフランケルははサドラーズウェルズ系の種牡馬に該当しており、これらの馬は道悪の鬼として知られる馬を多く輩出しています。
サンデーサイレンス系はサドラーズウェルズ系ほど目立ちませんが、あっても、母系に欧州型パワー血統が入っていれば対応可能ですし、
ディープインパクト産駒の代表好競馬であるキズナの産駒も好走事例が目立っています。
不良馬場で有利な脚質とは?

不良馬場になると、上がり勝負になりづらくなります。
そのため、末脚に頼る差し・追い込みタイプよりも、前目で立ち回る馬が有利になる傾向があります。
馬場が悪くなるほど、ポジションの重要性が増すのです。
ここからは、不良馬場における有利な脚質について解説します。
逃げ・先行馬の好走率が上がる理由
逃げ・先行馬は、他馬に先んじて悪化した馬場をクリアできます。
なぜなら、泥や水しぶきをかぶることが少ないため、集中力を保ったままレースを進められるからです。
また、他の馬が滑ったり減速したりする中、自分のペースを守れることも大きなアドバンテージです。
特に小回りコースや直線が短いコースでは、前に行ける馬が粘り切る場面が増えます。
差し馬・追い込み馬が苦戦する要因
不良馬場における差しや追込馬に関しては、コースによって傾向が異なります。
まず、芝コースの場合は馬場が悪くなると、後ろから脚を伸ばすことが難しくなります。
なぜなら、加速する際に馬場の抵抗が強く、上がりの脚が鈍るからです。
また、直線で他馬の内を突かなければならない場面では、特に悪化した内ラチ沿いを通らされるリスクもあります。
ダートに関しては高速馬場傾向になりやすいため、スピードを上げることは可能です。
ただし、不良馬場は滑りやすいため、あまりにもペースを上げるとバランスを崩して転倒するリスクがあります。
また、前の馬のキックバックを受ける可能性もあるため、後ろからの競馬はリスクもいくつかあります。
芝・ダートともに不良馬場では、展開がハマらない限り、差し・追い込みは信頼しづらいと言えるでしょう。
不良馬場で注目すべき馬体重・馬格

馬体重や筋肉量も、馬場適性に大きく関係しています。
不良馬場では、力のある馬が浮上しやすく、軽量馬よりも馬格のある馬が粘り強さを見せます。
特にダートではこの傾向が顕著で、具体的には、馬体重500kg以上のパワー型の馬がしばしば激走します。
力強い脚さばきが求められるため、泥に沈まない筋力と体力が武器になります。
一方で軽い馬は、馬場に足を取られてスピードを保てず、バランスを崩す場面が多くなります。
大型馬はストライドでぐいぐいと押し切る競馬が可能なのです。
枠順も重要なファクターになる

馬場が荒れると、内外の差がはっきり出るレースが増えてきます。
特に開催の後半や雨が降り続いている状況では、内ラチ沿いが荒れやすく、外を回る馬が優位になります。
ここからは、芝・ダートごとの枠順のファクターについて解説します。
ダート:内枠が有利といえない理由
ダートコースでは、毎回整地されるため、使用頻度の高い内ラチの痛みはリセットされます。
そのため、ロスなく立ち回れる内ラチの方が有利に感じますが、不良馬場においては一概に言えません。
なぜなら、内ラチ沿いのダートコースは使用頻度が高いため、砂がたくさん盛られています。
内ラチは他と比較してもキックバックが激しいため、後ろの馬は泥をかぶってしまうのです。
ロスなく立ち回れる内枠が有利に思いますが、あくまでも逃げや先行馬など、キックバックの影響を受けない馬に限られます。
差しや追込馬は内よりも外目から一気を仕掛けたほうが出し切れる可能性があることは覚えておきたいです。
芝:開催時期やコース形態で傾向が変わる
芝コースでは、開催序盤は内が有利ですが、使い込まれるごとに内が荒れてきます。
不良馬場になると、外ラチ沿いの馬場が比較的きれいなため、外枠の差し馬が浮上するパターンも増えます。
ただし、開幕週や逃げ有利なコース形態では、逆に内の先行が止まらないこともあるため、馬場読みが重要です。

不良馬場で好走したG1・海外レースの実例

実際のレースで不良馬場が勝敗を大きく左右した例も数多くあります。
特にダートG1では、パワーや体力が試される一戦になり、意外な馬が激走することもあります。
ケンタッキーダービーでの不良馬場の影響
アメリカのクラシックレースであるケンタッキーダービーでも、不良馬場の年は波乱の展開になります。
たとえば2019年のカントリーハウスは2着入線しましたが、最先着したマキシマムセキュリティの斜行の影響のために、繰り上がりで優勝しました。
マキシマムセキュリティの斜行の理由は分かりませんが、水田のような馬場でコントロールを失った可能性があります。
カントリーハウスは日本のオッズで単勝14番人気、2着のコードオブオナーも11番人気だったので、三連単1,629万円の超特大万馬券となりました。
まとめ|不良馬場はチャンスの宝庫

不良馬場は、通常のレースと異なる結果が出やすい「穴馬券のチャンス」です。
血統・脚質・枠順・馬体重など、複数のファクターを組み合わせて予想を立てれば、人気薄の好走馬を見抜くことも可能です。
雨予報の日には、馬場の悪化を前提に予想を組み立ててみましょう。
それが、高配当を手にする近道になるかもしれません。
