年末を彩るビッグレース「有馬記念」は、ただの競馬のG1ではありません。
最大の特徴は、ファン投票によって出走馬が決まる特別なレースであること。
毎年11月頃になると、競馬ファンが“推し馬”に票を投じ、人気ランキングが大きな話題になります。
「今年こそあの馬に走ってほしい」
「最後の勇姿をもう一度見たい」
そんな想いが票数に反映され、レース当日の枠順やメンバー構成を左右していきます。
投票の時点からすでにレースは始まっており、ファンが参加することで完成する“唯一のグランプリ”――それが有馬記念です。
当記事では、有馬記念のファン投票の仕組みや投票の流れ、楽しみ方まで初心者にもわかりやすく解説します。
競馬のファン投票とは?仕組みと目的をわかりやすく紹介
競馬のファン投票は、ただの人気ランキングではなく、出走馬の選考に直結する特別な仕組みです。
とくに有馬記念は「ファンが選ぶグランプリ」と呼ばれ、応援したい馬に投票することでレースの舞台に立たせることができます。
まずは、ファン投票がどのように行われ、どんな目的で導入されたのか、その基本から見ていきましょう。
ファンが好きな競走馬に投票し、人気順位を決めるイベント
競馬のファン投票とは、ファンが好きな競走馬へ一票を投じて人気順位を決めるイベントです。
毎年秋〜冬にかけて実施され、有馬記念の出走選考に反映されるため注目度は非常に高いです。
投票対象は現役のJRA所属馬で、最大10頭まで選んで投票するのが一般的です。
「今年もっとも応援したい馬はどれか」
「最後に大舞台に立ってほしい馬はどれか」
そういったファンの想いがランキングに反映され、出走メンバーの構成まで左右します。
結果発表は中間・最終と段階的に行われるため、順位変動を見守るワクワク感も魅力です。
単なる人気投票ではなく、ファン参加型でレースをつくり上げる仕組みと言えるでしょう。
投票結果が有馬記念の出走馬選考に反映される“参加型レース”
有馬記念は、ファン投票の結果が出走馬の選考に直接影響する数少ないG1レースです。
投票上位の馬には優先出走権が与えられ、例年10頭前後がこの枠で本番への出走を確実にします。
つまり、ファンの一票がレースの舞台づくりに関わる“参加型レース”として成立しているのが特徴です。
どの馬が走るかは、記者や関係者ではなくファン自身の意志によって決まるところに特別な価値があります。
応援したい馬を舞台に立たせることができるため、ファンにとって投票の瞬間から有馬記念は始まっています。
推し馬の順位が発表されるたびにSNSが盛り上がり、人気争いも含めて楽しめるのがこのレースの醍醐味です。
グランプリレース誕生の背景
有馬記念のファン投票制度は、もともと「中山グランプリ」という名称で1956年に創設されたのが始まりです。
当時のJRA理事長・有馬頼寧氏が、東京優駿(日本ダービー)に匹敵する大レースを中山競馬場で開催したいと提案し、プロ野球のオールスターを参考に“ファン投票方式”を導入しました。
ファンが主役となってレースの出走馬を選ぶという方式は世界的にも珍しく、画期的な試みでした。
翌年、有馬氏が亡くなったことを受け、その功績をたたえてレース名は「有馬記念」へと改称されました。
こうして、有馬記念はファンの声を反映する“競馬の祭典”として長く親しまれる存在となりました。
宝塚記念との違い・共通点
有馬記念と宝塚記念は、ともにファン投票で出走馬が決まる“グランプリレース”として知られています。
ただし開催時期が異なり、宝塚記念は6月下旬の阪神競馬場、有馬記念は12月下旬の中山競馬場で行われます。
前者は「春(夏)のグランプリ」、後者は「冬のグランプリ」と呼ばれ、1年を通じて競馬ファンの注目を集めます。
どちらも投票上位馬に優先出走権が与えられる仕組みで、ファンが推し馬に投票することでレースの舞台が形成されていきます。
もし両レースを勝てば“春秋グランプリ制覇”として大きな称号となり、競走馬の評価にも強く影響します。
有馬記念と宝塚記念は異なる季節に行われますが、どちらもファンの想いがレースを完成させる特別な存在です。

有馬記念のファン投票の流れ|投票開始からレース当日まで
有馬記念のファン投票は、レース当日にいきなり盛り上がるわけではなく、投票開始の時点からすでに熱戦が幕を開けています。
投票期間・中間発表・最終発表を経て出走馬が絞られていく流れは、ファンがレースづくりに参加している感覚を味わえるのが魅力です。
ここからは、投票開始から当日レースまでの具体的な流れを順番に見ていきます。
投票期間
有馬記念のファン投票は、例年11月中旬から12月上旬にかけて受け付けが行われます。
JRAの公式サイトや専用投票ページが公開され、スマートフォンやパソコンから誰でも簡単に投票できます。
基本的には現役のJRA所属馬を対象に、最大10頭まで選択し、応援コメントを添えて送信する仕組みです。
投票受付の締切日を過ぎると参加できないため、期間を事前に把握して早めに行動するのがおすすめです。
投票は無料で誰でも参加可能なので、競馬初心者でも気軽に楽しむことができます。
中間発表 → SNSで盛り上がる注目時期
投票期間の途中には、中間発表が行われるのが有馬記念ファン投票の特徴です。
上位争いや順位変動が発表されることでファンの注目が一気に高まり、SNSでは推し馬の順位を応援する投稿が広がります。
「あともう少しでトップ10入り」「推し馬が順位を上げた」といった声が飛び交い、ファン同士の一体感が生まれる時期です。
中間発表の後も投票は継続できるため、このタイミングで追加投票を呼びかけるファンも少なくありません。
推し馬が苦戦している場合は、仲間同士で拡散し合うことで順位が変動することもあり、応援合戦が最高潮に達します。
この盛り上がりの延長線上にレース本番があることで、有馬記念は特別な存在になっています。
最終発表 → 上位10頭に優先出走権。ただし辞退・繰り上がりもある
投票期間が終了すると最終結果が発表され、得票数の多かった馬が上位から順位付けされます。
このうち例年10頭前後が「優先出走権」を獲得し、有馬記念の舞台に立つことがほぼ確定します。
つまり、ファンの一票がレースの出走馬を直接決める仕組みがここで反映されます。
ただし、得票順位が高くても必ずしも出走するとは限りません。
仕上がり状況が整わない場合や別のレースを目標にしている場合など、陣営判断で回避するケースがあるためです。
その結果、11位〜15位あたりの馬が繰り上がって出走権を得ることもあり、過去には思わぬ伏兵が馬券に絡むドラマも生まれました。
最終発表はレース本番への熱気を一気に高める重要なタイミングと言えるでしょう。
レース当日へ|2025年はどんな“推し対決”が生まれる?
最終発表を経て出走馬が確定すると、いよいよ迎えるのがレース当日です。
ファン投票で選ばれた馬が同じ舞台に集結し、1年の締めくくりにふさわしい“夢の対決”が実現します。
人気馬同士の激突、近走好調馬の挑戦、そして「ラストラン」を迎える馬の雄姿など、さまざまな思いが交錯するのが有馬記念の魅力です。
2025年もファンの投票結果によって、どの組み合わせが実現するのかに注目が集まります。
春・秋のG1覇者、新星3歳馬、長距離実績馬、リピーターなど、多様なスターが揃う可能性があり、予想段階から熱気が最高潮となるでしょう。
投票したファンの想いが詰まった“推し対決”こそ、有馬記念が競馬ファンに特別視され続ける理由のひとつです。
得票=出走確定ではない?見落としがちなポイント
ファン投票は盛り上がりの中心ですが、得票数が多い馬でも必ず出走するとは限りません。
過去には投票1位ながら回避した例もあり、レース直前まで出走メンバーが入れ替わることもあります。
ここでは「得票=出走確定ではない理由」と「繰り上がり出走で生まれる意外なドラマ」について詳しく解説します。
陣営判断により回避されるケース
得票数が高くても、有馬記念を回避する判断がとられることは珍しくありません。
馬の仕上がりがレース当日までに整わないケースや、疲労が抜けきらないケースでは無理に使わず調整を優先することがあります。
また、秋の大目標をすでに走り終えて一息入れたい場合や、翌春の海外遠征・別路線のG1を見据えてローテーションを組みたいケースもあります。
ファン投票は「走ってほしい」というファンの想いを反映する仕組みですが、最終決定権はあくまでも陣営にあります。
馬の状態を第一に考えたうえで出走回避となることもあり、これが得票数と出走が必ず一致しない最大の理由と言えるでしょう。
繰り上がり出走が波乱演出に繋がった過去の例
有馬記念では、出走予定だった上位人気馬が回避し、繰り上がりで出走した馬が大きな波乱を呼ぶことがあります。
過去にはファン投票順位が10位圏外だった馬が繰り上がって大激走し、馬券に絡んで大きな話題になった年もありました。
人気薄の出走は「本来走る予定ではなかった馬が輝く舞台」として記憶に残りやすく、ドラマ性の高い展開を生みます。
特に大舞台の有馬記念は距離適性や展開がハマった時の破壊力が大きく、伏兵の台頭はレース全体の魅力をさらに引き上げます。
投票結果だけでレースを語れないところに、ファン投票方式ならではの奥深さと面白さがあると言えるでしょう。
投票だけでなく調整過程やローテーションの読みが馬券の鍵になる
ファン投票の順位は注目すべき材料ですが、馬券を考える際にはそれだけで判断するのは危険です。
出走に至るまでの調整過程やローテーションの意図を読み取ることで、本当に有馬記念に向いている馬かどうかが見えてきます。
「ファン投票で人気=好走」とは必ずしも限らず、むしろ状態が整っている馬やこの舞台を最大目標にしている馬が上位に来やすいのが特徴です。
秋のG1を使って疲労が残っている馬、海外遠征明けで調整がタイトな馬、次走以降のローテを優先して仕上げが中途半端な馬などは注意が必要です。
投票ランキングの熱気と、陣営側の戦略の両方を踏まえて見極めることで、より精度の高い予想につながります。
有馬記念ファン投票の参加方法
有馬記念のファン投票は、競馬に詳しくない人でも簡単に参加できるのが特徴です。
スマホやパソコンから数分で投票できるため、毎年「初めて投票した」というファンも多く見られます。
ここからは、投票の対象馬や手順、抽選特典まで、参加方法をわかりやすく解説していきます。
投票対象馬とルール
有馬記念のファン投票では、投票対象となるのは「現役のJRA所属馬」です。
中央競馬で現役登録されている競走馬の中から、最大10頭まで選んで投票できる仕組みになっています。
芝・ダート・短距離・中距離・長距離と分野は問われず、どの路線の馬にも票が入るのがファン投票ならではの面白さです。
選び方に正解はなく「走ってほしい」「最後に勇姿を見たい」「推しだから」など、理由は自由です。
むしろ感情を込めて選ぶことが許されているのがこの投票の魅力で、好きな馬だけを10頭並べてもまったく問題ありません。
その年に活躍した馬だけでなく、ケガや長期休養で走れなかった馬に票が集まるケースもあり、ファンの想いが結果に表れやすいのが特徴です。
スマホ・PCからのやり方
スマホやパソコンからの投票は非常に簡単で、数分あれば完了します。
まずJRA公式サイトまたはファン投票専用ページにアクセスし、投票フォームを開きます。
対象馬の一覧が表示されるので、その中から走ってほしい馬を最大10頭まで選択します。
馬名を選んだあと、確認画面で内容をチェックし、そのまま送信すれば投票完了です。
操作は直感的で、競馬初心者でも迷わず進められるようになっているのが特徴です。
投票後は完了画面が表示されるため、手続きできたか不安になる心配もありません。
特典・プレゼント抽選|カレンダーや記念グッズが当たる
有馬記念のファン投票には、投票者向けの特典やプレゼント抽選が毎年用意されています。
もっとも代表的なのは翌年のJRAオリジナルカレンダーで、当選すれば競馬ファンにとって嬉しい記念品となります。
そのほかにも限定グッズやデザインTシャツ、QUOカードなど、年によりさまざまな賞品がラインナップされます。
抽選は投票完了者を対象に実施され、追加の手続きは基本的に不要です。
無料で参加でき、投票そのものが楽しめるうえに当選すればお土産まで付いてくるため、初めての人でもワクワク感を味わえます。
当選発表は発送をもって代えるケースが多く、忘れた頃に突然届いて嬉しいサプライズになることもあります。
ファン投票を10倍楽しむコツ|応援・SNS・予想の視点
ファン投票は投票して終わりではなく、投票期間中の情報・SNSの盛り上がり・予想の視点まで追いかけることで楽しさが大きく広がります。
推し馬の順位変動を見守ったり、同じ馬を応援する仲間と交流したり、馬券検討に役立てたりと楽しみ方はさまざまです。
ここでは、ファン投票をより奥深く味わうための“楽しむコツ”を紹介していきます。
推し馬の順位を追いかける楽しさ
ファン投票の醍醐味のひとつが、中間発表で推し馬の順位を追いかける楽しさです。
初回の発表でどの位置にランクインしているのかを確認する瞬間は、競馬ファンにとって特別なイベントとも言えます。
順位が上がっていれば喜びもひとしおで、SNS上で仲間と盛り上がれるのも魅力です。
逆に、思ったより順位が伸びていない場合には「あと少し投票を増やそう」「広めていこう」と応援の機運が高まっていきます。
中間発表は複数回行われるため、推移を見ることで票の勢い・話題性・ファン層の厚さを感じ取れるのも面白さのポイントです。
ランキングの変動を見守りながら、レース本番を迎えるまでの過程を楽しめるのがファン投票の魅力と言えるでしょう。
SNSでの発信で盛り上がる“推し文化”とコミュニティ性
ファン投票の時期になると、SNSでは推し馬を応援する投稿やハッシュタグが急増し、独自の盛り上がりを見せます。
自分の投票結果を公開したり、推し馬の思い出や魅力を語ったりすることで、同じ馬を応援しているファン同士のコミュニティが自然に形成されていきます。
一体感が生まれるこの空気感こそ、ファン投票の楽しさを象徴する文化といえるでしょう。
また、推し馬の順位を上げるために協力し合う流れも生まれ、情報共有や投票呼びかけが盛んに行われます。
とくに人気馬同士の接戦がある年はSNSでの盛り上がりが加速し、年末の競馬ムードを一気に高める存在となります。
投票そのものだけでなく、ファン同士が言葉を交わす“応援の場”としてSNSが重要な役割を果たしています。
投票動向は馬券のヒントにも|人気・話題性・リピーター需要
ファン投票の順位は、馬券を考えるうえでも参考になる材料のひとつです。
票が多く集まる馬は「今もっとも注目されている」「話題性が高い」「リピーターが多い」などの背景があり、人気の高まりを反映している場合があります。
単純に得票数が高い=強いとは言えませんが、ファンの期待値がどこに向いているのかを読み解くことで予想の方向性が見えてきます。
また、同じ馬が複数年にわたって上位にランクインする場合は「中山適性」「有馬記念との相性」「季節ローテのハマりやすさ」などの傾向を掴めるケースもあります。
投票動向と調整過程・距離適性・展開予想を組み合わせることで、有馬記念の予想精度はさらに高まります。
ファン投票は応援でありエンタメですが、馬券検討のヒントにもなる存在です。
まとめ|有馬記念は「投票から始まるレース」
有馬記念は、ただ年末に行われるG1レースではなく、ファン投票によって出走馬が選ばれる“参加型のグランプリ”です。
投票期間の盛り上がり、中間発表のドキドキ、最終発表の歓喜や悔しさ、そしてレース当日の興奮まで、長い物語をファンとともに歩むことができるのが最大の魅力です。
推し馬を舞台に立たせたいという想いが票となり、組み合わせや展開にドラマを生み出します。
投票からすでにレースは始まっており、応援する時間そのものが有馬記念の価値といえるでしょう。

