JRAでは2024年から、夏の暑熱対策として気温が特に高くなる昼間のレースを休止する「競走時間帯の拡大」を実施してきました。
午前中に5レースを行い、約3時間の休止時間を挟んで夕方から競走を再開する、通常とは大きく異なる開催方式です。
ところが、この方式は2026年をもって終了し、2027年からは新潟・中京で第1レースを15時ごろに設定する1日7レース制へ変更されます。
わずか3年で変更されるため、「暑熱対策に効果がなかったのか」「売上や来場者数に問題があったのか」と疑問に思う人もいるでしょう。
結論からいうと、暑熱対策そのものが終了するのではなく、昼休みを設ける方式から、暑い時間帯に競馬を行わない方式へ強化されます。
この記事では、3年間実施された暑熱対策の内容と終了する理由、2027年から夏競馬がどのように変わるのかを初心者向けに解説します。
JRAが実施した夏競馬の暑熱対策とは

JRAが導入した「競走時間帯の拡大」は、気温が高くなる昼間を避けて競走を行う暑熱対策です。
午前と夕方にレースを分けることから、競馬ファンの間では「昼休み」や「2部制」とも呼ばれました。
まずは、どのような方式だったのかを確認しましょう。
昼間に約3時間の休止時間を設ける方式
通常の中央競馬は朝から夕方まで、おおむね30分間隔で12レースを行います。
競走時間帯の拡大では、第1~5レースを午前中に行ったあと、気温が特に高くなる正午前後から午後3時ごろまで競走を休止しました。
その後、第6レースから競走を再開し、最終レースは午後6時台に設定されました。
レースの間隔を空けることで、競走馬が炎天下のパドックや返し馬、レースに臨む機会を減らすことが主な目的です。
騎手や厩舎関係者、競馬場で働くスタッフ、来場者の熱中症リスクを抑える意味もありました。
2024年から2026年まで段階的に拡大
競走時間帯の拡大は、最初から新潟と中京の両方で行われたわけではありません。
2024年に新潟で試験的に導入され、翌年以降に対象競馬場と実施期間が広げられました。
| 年度 | 実施内容 | 対象期間 |
|---|---|---|
| 2024年 | 新潟のみで実施 | 2週間 |
| 2025年 | 新潟・中京で実施 | 4週間 |
| 2026年 | 新潟・中京で実施 | 6週間 |
| 2027年 | 15時ごろ開始の7レース制へ変更 | 6週間 |
2024年は新潟だけの2週間でしたが、2025年は新潟と中京の4週間に拡大されました。
2026年には7月25日から8月30日までの6週間に延長され、夏競馬の中心的な暑熱対策となっています。
3年間は同じ条件で続けられたのではなく、対象範囲を広げながら効果や課題を検証する期間だったと考えられます。
夏競馬の昼休みが3年で終了する理由

JRAは、昼間にレースを休止する方式を終了する個別の理由までは詳しく発表していません。
公式には、2027年から「さらなる暑熱対策」として1日7レース制を導入すると説明しています。
従来の実施内容と新しい開催方式を比較すると、次のような理由が考えられます。
午前中のレースでも暑さを避け切れなかった
従来の暑熱対策では、昼間のレースを休止する一方、午前9時40分ごろから正午前までに5レースを行っていました。
しかし、真夏の新潟や中京では、午前中から気温が高くなる日も少なくありません。
競走馬は発走時刻になって初めて屋外へ出るわけではなく、レース前には装鞍、パドック、返し馬などを行います。
第1レースに出走する馬や関係者は、発走時刻よりも早い時間から準備しなければなりません。
昼間の競走を止めることで危険性は下げられても、午前中に5レースを行う以上、暑熱リスクを完全には避けられませんでした。
2027年からは第1レース自体を15時ごろに設定し、午前中の競走も取りやめることで、暑い時間帯のレースをさらに減らします。
朝から夜まで開催が続き拘束時間が長かった
2026年の競走時間帯の拡大では、第1レースが午前9時40~50分ごろ、最終レースが午後6時20~30分ごろに設定されていました。
開催時間だけでも約9時間に及び、騎手や厩舎関係者、競馬場スタッフはさらに早い時間から準備する必要があります。
昼間に約3時間の休止時間が設けられていても、関係者全員が完全に休めるわけではありません。
午後の出走馬の管理、馬場の整備、警備、放送や馬券発売など、競馬場内の業務は休止時間中も続きます。
朝から夜まで12レースを行うよりも、夕方から7レースに集約した方が、人馬の活動時間や競馬場全体の負担を抑えやすくなります。
ただし、JRAは拘束時間の長さを変更理由として明言していないため、開催方式から考えられる背景のひとつとして捉える必要があります。
休止時間中も競走馬は競馬場で待機していた
昼間にレースを行わなくても、夕方の競走に出走する馬は競馬場や出張馬房で待機します。
冷房やミスト、散水などの対策が行われていても、競走馬が暑さの影響から完全に離れられるわけではありません。
競馬場への輸送や到着後の馬体確認、装鞍などを含めれば、実際には発走よりもかなり早い時間から活動しています。
特に競走馬は自分で体調を伝えられないため、熱中症や脱水症状を防ぐには、暑い場所で過ごす時間そのものを減らすことが重要です。
昼間の発走を休止するだけでなく、暑い時間帯に競馬場で活動する馬の頭数を減らすことが、新しい7レース制の大きな目的と考えられます。
約3時間の空白がある番組は運営が複雑だった
午前に5レース、夕方に7レースを行う方式では、途中に約3時間の空白が生じます。
通常開催とは異なるため、テレビやラジオの中継、競馬場スタッフの配置、警備、交通機関、馬券の発売時間なども調整しなければなりません。
来場者にとっても、朝から観戦する場合は競馬場で過ごす時間が非常に長くなります。
重賞が通常の11レースではなく8レースなどに設定される日もあり、レース番号やWIN5の対象競走が分かりにくくなる問題もありました。
1日7レースに統一すれば、長い休止時間を設ける必要がなくなり、夕方から連続してレースを進められます。
運営面の複雑さが正式な終了理由として示されたわけではありませんが、新方式の方が開催全体を整理しやすいと考えられます。
減らした120レースを春や秋へ移せるようになった
新潟と中京を1日12レースから7レースへ変更すると、1場につき1日5レースが減少します。
2027年の対象は、新潟12日間と中京12日間の合計24日間です。
単純計算では、5レース×24日間で合計120レースが夏の新潟・中京から削減されます。
これまでは年間の競走数を維持するため、暑い時期でも1日12レースを行わなければならない事情がありました。
2027年は春・秋に平日の月曜日を含む開催を新設し、函館競馬の開催日数も12日間から14日間へ拡大します。
夏に減らした競走を比較的涼しい時期や北海道へ移し、年間の競走数を維持できる日程が整ったことも、従来方式を終了できた大きな理由です。
3年間の試行で必要な検証が進んだ
競走時間帯の拡大は、2024年の新潟2週間から始まり、2025年は新潟・中京の4週間、2026年は6週間へと段階的に広げられました。
この流れを見ると、最初から恒久的な完成形として導入された制度ではなく、効果や課題を確認する試験的な役割もあったと考えられます。
3年間の実施によって、気温や競走馬への影響だけでなく、馬券売上、来場者の動き、放送、警備、照明、交通機関などに関するデータも蓄積されたはずです。
その検証結果を踏まえ、昼間に休止時間を設ける方式よりも、暑い時間帯の競走数を直接減らす方式が選ばれたのでしょう。
ただし、JRAは3年間の具体的な検証結果をすべて公表しているわけではないため、売上や運営上の事情を断定することはできません。
2027年の夏競馬はどのように変わる?

2027年は昼間に長い休止時間を設ける方式ではなく、最初から夕方に競馬を始める方式へ変更されます。
対象となるのは、真夏に行われる第2回新潟競馬と第2回中京競馬です。
北海道で行われる札幌・函館まで、すべて7レースになるわけではありません。
新潟・中京は15時ごろから7レースを実施
2027年7月24日から8月29日までの新潟・中京では、第1レースが15時ごろに設定されます。
1日の競走数は7レースとなり、午前中から昼過ぎにかけて競走は行われません。
2026年までは午前に5レースを行っていましたが、2027年はその午前開催もなくなるのが大きな違いです。
「午前5レース+昼休み+夕方7レース」から、「夕方から7レースだけ」に変更されると覚えると分かりやすいでしょう。
レース番号やWIN5の対象競走に注意
1日7レースになると、重賞やメインレースが何レースに設定されるのかが気になるところです。
通常の中央競馬では11レースがメインとなることが多いものの、7レース制では同じ番号を使えません。
WIN5の対象競走、重賞の発走時刻、最終レースの時刻なども、通常開催とは異なる可能性があります。
具体的な競馬番組や発走時刻は改めて発表されるため、馬券を購入する際はJRA公式の出馬表を確認しましょう。
3年間の暑熱対策は失敗だったのか

開催方式がわずか3年で変更されると、「従来の暑熱対策は失敗だったのではないか」と感じる人もいるでしょう。
しかし、昼間に競走を行わないことで、最も気温が高くなる時間帯のレースを避けられた点には大きな意味があります。
2024年に新潟で試験的に始めた方式を、2025年と2026年に拡大したことからも、一定の効果が認められていたと考えられます。
一方で、午前中のレース、長時間の待機、特殊な番組編成といった課題も残りました。
そのため、従来方式を単純に失敗と評価するより、次の対策を検討するための段階だったと考える方が自然です。
3年間で暑熱対策を打ち切るのではなく、3年間の試行を経て、より人馬の安全を優先した開催方式へ発展させたといえます。
JRAの夏競馬の暑熱対策に関するよくある質問
最後に、夏競馬の昼休み終了と2027年の7レース制について、疑問に感じやすい点をまとめます。
2026年までの方式と混同しないよう、変更点を確認しておきましょう。
詳細な発走時刻については、JRAからの正式発表も併せて確認してください。
- JRAの暑熱対策は2026年で終了するのですか?
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暑熱対策そのものが終了するわけではありません。
昼間に約3時間の休止時間を設ける方式が終了し、2027年からは第1レースを15時ごろに設定する7レース制へ強化されます。
- 昼間にレースを行わない方式は何年間実施されましたか?
-
2024年から2026年までの3年間です。
2024年は新潟のみで2週間、2025年は新潟・中京で4週間、2026年は同じ2場で6週間実施されました。
- 2027年の夏競馬はすべて7レースになりますか?
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すべての競馬場が7レースになるわけではありません。
対象は7月24日から8月29日までの第2回新潟競馬と第2回中京競馬です。
札幌・函館を含むほかの開催まで、すべて7レースになるという発表ではありません。
- 夏に減った120レースはなくなるのですか?
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年間の競走数が120レース減るわけではありません。
春・秋の月曜日開催や函館競馬の開催日数拡大などによって、年間の競走数を確保する予定です。
- 昼休み方式が終了したのは失敗だったからですか?
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JRAは従来方式が失敗だったとは発表していません。
3年間の段階的な実施を経て、暑い時間帯の競走をさらに減らす7レース制へ移行したと考えるのが適切です。
まとめ
2024年から2026年まで実施された競走時間帯の拡大は、午前に5レースを行い、暑い昼間に約3時間の休止時間を設け、夕方から残り7レースを行う方式でした。
しかし、午前中の暑さ、朝から夜まで続く長時間開催、休止時間中の競走馬や関係者の待機など、昼休みだけでは解消できない課題も残りました。
2027年は新潟・中京の第1レースを15時ごろとし、1日7レースに縮小します。
減少する120レースは春や秋の追加開催などへ振り替え、年間の競走数を維持する予定です。
昼休み方式の終了は暑熱対策の打ち切りではなく、暑い時間帯に競馬を行わない、より踏み込んだ安全対策への変更です。

