JRAは2026年4月24日、アルゼンチン競馬で活躍するブラジル人のフランシスコ・ゴンサルベス騎手(以下ゴンサルベス騎手)に2026年5月2日〜6月28日まで短期騎手免許を交付することを発表しました。
近年、日本の競馬では世界各国の名手たちが短期免許で来日していますが、今回来日となったゴンサルベス騎手の存在は少し特殊です。
なぜなら、ゴンサルベス騎手は、欧州のブランド型ジョッキーではなく、南米競馬という過酷な実戦環境で鍛え抜かれた勝負師ともいえる騎手だからです。
これまでアルゼンチンを主戦場に年間400勝以上を積み重ね、リーディング争いの常連として活躍。2024年には479勝を挙げ、圧倒的な成績でリーディングトップに立ちました。
そして、2025年のワールドオールスタージョッキーズで初来日。その際、日本の競馬ファンの熱気や競馬文化に強く惹かれ、また日本で乗りたいと感じたことが、今回の短期免許取得につながったと語っています。
そこで今回は、日本競馬での騎乗といった念願を叶えたゴンサルベス騎手について紹介します。今後の競馬予想の参考にもなる内容かと思いますので、ぜひ最後までご高覧ください。
ゴンサルベス騎手とは?南米競馬で活躍する注目ジョッキー
ゴンサルベス騎手は、1990年4月8日にブラジルで生まれ、現在36歳、南米を代表するトップジョッキーの1人です。
JRAの公式発表によると身長157cm、体重51kg。日本人騎手で例えると、武藤雅騎手や川又賢治騎手らと同等の体格といえばイメージしやすいでしょうか。
そんなゴンサルベス騎手は、幼い頃から馬と近い環境で育ち、早くから競馬の世界に憧れを抱いていたといいます。
決して、派手な競馬人生のスタートではありませんでしたが、馬に乗ることへの情熱は非常に強く、幼い頃にはすでに騎手として生きる決意を固めていました。
その後、2006年に母国ブラジルで騎手免許を取得。
騎手としてのキャリアをスタートさせると、2013年にはさらなる大舞台を求め、南米屈指の競馬大国アルゼンチンでの騎手免許を取得し、主戦場をアルゼンチン競馬に移します。
これが、ゴンサルベス騎手のキャリアを大きく変えました。
アルゼンチン競馬は、レース数や騎乗数とも非常に多く、騎手にはタフさと安定感の両方が求められます。毎週のように多くのレースで騎乗をこなしながら結果を出し続けなければ、生き残れない厳しい世界です。
その中でゴンサルベス騎手は、徐々に頭角を現していきました。
そして、ゴンサルベス騎手の特徴は、とにかく勝ちに行く判断が早いことです。
スタート直後のポジション取りや馬群の捌き、最終コーナーでの進路選択など、どれも非常に思い切りが良く、それでいて無理がありません。
また、ジョアン・モレイラ騎手を尊敬する存在として挙げており、自身もモレイラ騎手と同じように日本で成功したいという強い思いを持っていたそうです。
ただし、単なるモレイラ二世ではありません。ゴンサルベス騎手には、南米競馬独特の泥臭さと勝負勘が備わっています。
さらに上位人気馬をきっちりと勝たせるだけでなく、展開ひとつで着順が大きく変わる混戦を拾い切る技術こそがゴンサルベス騎手の真の実力でもあります。
そして何より、多くの関係者が口を揃えるのは、その人柄です。
今回の来日時には、自ら「ゴンちゃんと呼んでください」と笑顔で話しており、日本の競馬ファンに対し親しみを見せました。
競馬を心から楽しみ、ファンとの距離も大切にする人柄だからこそ、ゴンサルベス騎手は南米で長く愛されてきたのだと感じます。
なお、今回の身元引受調教師は、美浦の和田勇介調教師で契約馬主は中村祐子氏となっています。

ゴンサルベス騎手の成績や主な勝ち鞍
年間400勝超えを積み重ね「南米の怪物」との異名を持つ、ゴンサルベス騎手の凄さは、まず数字に表れています。
2024年シーズンは2,083戦479勝。さらにアルゼンチンリーディングジョッキーにも輝き、翌2025年でも1,274戦274勝でアルゼンチンリーディング2位の結果を残しました。
しかも勝率に換算すると、約22%〜23%です。これは、2026年JRAの日本人騎手の勝率と比べると、上位陣で約15〜18%前後ですので、その数字がいかに凄いことかを物語っているといえます。
そして、これは単純に多く騎乗しているだけでは到達できない数字です。
年間2,000回以上騎乗しながら、勝率を維持するには、体力や集中力、馬質への対応力など、そのすべてが必要となります。
また、G1戦線でも確かな結果を残しています。
それは、2024年以降、主なG1勝ち鞍として、ラスアメリカス大賞(アルゼンチン)やサンパウロ大賞(ブラジル)など南米を代表するビッグレースで勝利していることです。
特にアルゼンチンのG1レースでは、ハイペースかつ激しい位置争いになるケースが多く、騎手には一瞬の判断力が求められます。
ゴンサルベス騎手は、そうしたレースで迷わない強さを持っており、最終コーナーで空いたスペースに躊躇なく飛び込み、勝負どころでは一気に動くなど、南米競馬特有の攻める騎乗を武器に数多くの勝利を積み重ねてきました。
さらに2026年にはドバイでも騎乗を経験するといった、世界レベルの競馬に挑戦し続けている点もゴンサルベス騎手の向上心を物語っているといえます。
ゴンサルベス騎手の日本での実績と騎乗予定
ゴンサルベス騎手が初めて日本競馬に触れたのは、2025年のワールドオールスタージョッキーズでした。
例年通り、札幌競馬場で行われたこのシリーズで、ゴンサルベス騎手は初来日ながらも総合4位という好成績を記録。特に印象的だったのは、その適応力です。
南米競馬と日本の競馬では、ペースや馬場、コーナーワーク、追い方などすべてが異なります。
それにもかかわらず、ゴンサルベス騎手は短期間で日本競馬のリズムを掴んだことで総合4位という結果を残したのです。
そして、今回の短期免許で初騎乗となった2026年5月2日の新潟2Rダート1800メートル3歳未勝利では、ミアルーチェに騎乗して、いきなり初騎乗初勝利をマーク。
さらにゴンサルベス騎手はレース後、日本競馬について「馬のレベルが非常に高い」と語っており、日本の競馬文化への敬意も隠しませんでした。
また、短期免許期間中の目標について問われると「20勝したい」と明言。この言葉からも、単なる経験目的の来日ではなく、本気で結果を求めていることが伝わってきます。
なお、直近では、5月17日に東京競馬場で行われるヴィクトリアマイルにて、マピュースに騎乗予定となっていますが、現在下位人気が予想されているだけに日本のG1レース初騎乗となるゴンサルベス騎手がどのような騎乗を見せてくれるのか今から非常に楽しみですね。
まとめ:ゴンサルベス騎手はJRA短期免許で注目したい南米の名手
今回は、ゴンサルベス騎手について紹介しました。
ゴンサルベス騎手は、華やかな欧州型ジョッキーとは少しタイプが違います。
それは南米競馬といった中で数多くのレースに乗り、勝負し続けた積み重ねによって、トップジョッキーにまで上り詰めた魅力にあります。
年間400勝を超える騎乗生活、南米競馬で鍛えられた勝負勘、そして、日本競馬への純粋な憧れ。それらすべてが重なり、今回のJRA参戦へとつながりました。
これから、6月中旬まで春のG1シリーズが続く中、ゴンサルベス騎手が、どれだけの活躍を魅せてくれるのか、来日3週目となる今週もゴンサルベス騎手から目が離せません。

