競馬では「早生まれが有利」とよく言われます。
同じ2歳や3歳の馬でも、生まれた時期によって成長の早さや体の完成度が大きく異なるからです。
競走馬の世界では、すべての馬が1月1日を共通の誕生日とみなされるため、1月生まれの馬と5月生まれの馬では実際に4か月以上の差が生じます。
そのため、春のクラシックシーズンを迎える頃には早生まれの馬が心身ともにリードしていることが多いのです。
この記事では、早生まれが有利といわれる理由や、遅生まれの馬との違いをわかりやすく解説します。
競馬でいう早生まれとは?
競馬では、人間とは異なりすべての馬が1月1日を誕生日とみなされます。
そのため、1月や2月に生まれた馬は「早生まれ」、4月や5月に生まれた馬は「遅生まれ」と呼ばれます。
実際の年齢差はわずか数か月ですが、成長期の馬にとってこの差は非常に大きく、体格や筋肉量、精神面の成熟度にまで影響します。
特に2歳戦や3歳クラシックを目指す段階では、この“わずかな月齢差”が結果を左右することも珍しくありません。
早生まれが有利といわれる理由
競馬で早生まれが有利といわれるのは、成長の早さと経験値の差がレース結果に直結するためです。
デビューが早くなれば、若駒戦で一足先に経験を積むことができ、体の完成度も高くなります。
とくに2歳戦や3歳春のクラシックは「完成度の高さ」が重要で、心身ともに成熟している早生まれの馬がリードを保ちやすい傾向があります。
ここからは、その具体的な理由を3つの観点から見ていきましょう。
身体の成長が早くレースに使いやすい
早生まれの馬は生まれてからの月齢が進んでいるため、同世代の中でも体格や筋力の発達が早い傾向にあります。
その結果、調教を始める時期も早くなり、デビュー戦を迎えるのも自然と早まります。
競走馬にとって2歳夏から秋にかけての時期は非常に重要で、このタイミングでしっかりした走りができるかどうかが将来を左右します。
実際、2歳新馬戦で勝ち上がる馬の多くは早生まれで、デビュー直後からスピードやスタミナを発揮できるのは、成長が進んでいる証拠といえるでしょう。
厩舎サイドにとっても、体ができている早生まれの馬は仕上げやすく、ローテーションを組みやすいというメリットがあります。
クラシック出走時に完成度が高い
早生まれの馬は、3歳春のクラシックシーズンを迎えるころには心身ともに完成度が高いケースが多いです。
桜花賞や皐月賞は4月に行われるため、実際には生まれてから約2年2〜3か月の馬が出走します。
しかし遅生まれの馬は1年10か月ほどしか経っておらず、成長の段階に差が出てしまいます。
このわずかな期間の違いが、筋力や体のバランス、精神的な落ち着きなどに影響し、レースでの安定感に差を生むのです。
特に厳しい流れになるクラシックでは、完成度が高い馬ほどレース運びに余裕があり、結果的に上位に食い込む傾向が見られます。
早熟血統や調教方針ともマッチしやすい
早生まれの馬は、もともと成長スピードが速いため、早期から仕上がりやすい「早熟血統」との相性が良いです。
たとえばダイワメジャー産駒やモーリス産駒のように、2歳秋から本格化するタイプは早生まれの利点を最大限に生かせます。
また、厩舎の方針としても、早期デビューを目指す陣営にとっては管理しやすく、ローテーションも立てやすいです。
このように、血統・育成・管理の三要素が噛み合いやすいため、早生まれの馬は自然と勝ち上がりが早くなり、クラシック戦線に乗りやすい傾向があります。
遅生まれでも活躍する馬もいる
早生まれが有利といわれる一方で、遅生まれでも才能と育成次第で大きく飛躍する馬も少なくありません。
成長スピードがゆるやかな分、体を壊しにくく、長期的に見れば安定したパフォーマンスを発揮できるタイプも多いです。
たとえばオルフェーヴル(5月14日生)は遅生まれながらもクラシック三冠を達成し、成長力と精神面の強さで世代を圧倒しました。
ハーツクライ産駒など晩成型の血統も同様で、2歳〜3歳春こそ苦戦しても、古馬になってからの伸びが大きい傾向があります。
このように、早生まれ・遅生まれのどちらにもメリットがあり、馬のタイプや厩舎の方針に応じた育成が成功のカギといえるでしょう。
早生まれと言われる理由:まとめ
競馬において早生まれの馬が有利とされるのは、成長の早さと完成度の高さがレース結果に直結するためです。
同じ3歳でも、早く生まれた馬は体格や筋力、精神面の成熟度で一歩先を行きやすく、特にクラシックシーズンではその差が顕著に表れます。
とはいえ、遅生まれの馬にも晩成型として長く活躍するケースが多く、単純に生まれ月だけで優劣を決めることはできません。
重要なのは、馬の成長曲線や個性を見極め、それぞれのタイミングに合わせたローテーションを組むことです。
早生まれ・遅生まれの特徴を理解することで、馬券検討や馬の成長評価にもより深い視点を持つことができます。