日本近代競馬の結晶ともいわれ、史上2頭目となる無敗の三冠馬に輝いたディープインパクトは、種牡馬としても父サンデーサイレンスが打ち立てた記録を次々と塗り替えるほどの大活躍をみせました。
しかし、時代は流れ、ディープインパクトを父に持つ現役の競走馬は指で数えられるほどとなり、逆に血を受け継ぐ後継種牡馬は、2024年現在、約40頭といわれています。
そこで今回は、ディープインパクトの後継種牡馬の中で、現在そして今後、後継種牡馬争いとして台頭しそうな馬を紹介します。
あの有名な種牡馬から、これか産駒がデビューを控えている種牡馬までピックアップしましたので、ぜひ最後までお楽しみください。
ディープインパクトの後継候補8頭
ディープインパクトは2007年から2019年まで約12年間種牡馬生活を送っており、毎年100頭以上もの産駒が誕生していました。
その多くが父譲りのパフォーマンスで数多くのG1を勝利しているのでディープインパクトは競走馬のみならず種牡馬としても一流の成績を残していたのです。
ここからは、数多くいるディープインパクト産駒の後継候補の中から特に有力視されている8頭の馬を紹介します。
キズナ
※画像はnetkeibaより引用
すでにG1馬を何頭も輩出し、現時点で後継種牡馬筆頭格といわれているキズナです。
現役時代には、2013年の日本ダービー(G1)を勝利し、種牡馬入り後は多くの活躍馬を輩出しています。
しかし、これまでの産駒傾向は、ソングラインやアカイイトをはじめ、牝馬の活躍が目立ちましたが、2024年の皐月賞(G1)でジャスティンミラノが牡馬として初のG1勝利を成し遂げました。
なお、2024年9月末現在でリーディングサイヤーとして君臨するキズナですが、初のリーディングサイヤー獲得にて、ディープ後継種牡馬ナンバーワンの座を不動のものにしてほしいですね。
キズナの代表産駒
競走馬名 | 主な勝ち鞍 |
ソングライン | 安田記念(G1) 2回 |
※ジャスティンミラノ | 皐月賞(G1) |
※ディープボンド | フォワ賞(仏G2)、阪神大賞典(G2) 2回 |
(注)競走馬名の※は2024年10月現在の現役馬 以下同じ
リアルスティール
※画像はnetkeibaより引用
現役時代には、父譲りの末脚を武器に2016年のドバイターフ(首G1)を制したリアルスティール。
全妹には、2019年のオークス(G1)や2021年のBCフィリー&メアターフ(米G1)などG1を4勝したラヴズオンリーユーがいます。
産駒には、2024年のケンタッキーダービー(米G1)で3着だったフォーエバーヤングや2023年のオールカマー(G2)などを制したレーベンスティールなど、コンスタントに重賞勝ち馬を輩出しています。
また、種付頭数は、2023年まで5年連続で100頭以上を記録しており、人気種牡馬の1頭として今後、後継種牡馬争いに期待したいです。
リアルスティールの代表産駒
競走馬名 | 主な勝ち鞍 |
※フォーエバーヤング | ジャパンダートC(Jpn1)、UAEダービー(首G2) |
※レーベンスティール | オールカマー(G2) |
シルバーステート
※画像はnetkeibaより引用
名手・福永祐一元騎手から「幻の大器」と称されましたが、脚部不安により、その実力を開花できず、現役を引退しました。
しかし、その血は確実に産駒へと受け継がれています。
まず、2018年から2023年の種付頭数をみますと約1,000頭です。平均すれば、約170頭なので人気種牡馬といえるでしょう。
また、種牡馬の優劣を判定するアーニングインデックスは、平均の1.00を超える実績を残しており、現時点では種牡馬として成功を収めていると思います。
ちなみにアーニングインデックスとは、以下の通りです。
『出走馬1頭当たりの収得賞金の平均値を1.00として、各々の種牡馬の産駒の平均収得賞金の割合を数値で表わしたもの。1.00が平均となり、数値が大きくなるほど産駒が多くの賞金を獲得していることを表わす。これを算式で示すと(産駒の総収得賞金÷産駒の出走頭数)÷(出走馬総収得賞金÷総出走頭数)となる』(JRAホームページより引用)
シルバーステートの代表産駒
競走馬名 | 主な勝ち鞍 |
ウォーターナビレラ | ファンタジーステークス(G3) |
※セイウンハーデス | 七夕賞(G3) |
※リカンカプール | 中山金杯(G3) |
ミッキーアイル
※画像はnetkeibaより引用
現役時代は主に短距離からマイル路線で活躍し、3歳時にはNHKマイルカップ(G1)、5歳時はマイルチャンピオンシップ(G1)を制しています。
特に勝利した8つのレースでは、いずれも逃げ切りという点がとても印象的でした。
それは、ディープ産駒ながら徹底してスピードと持続力を強化された血統の持ち主であることから、逃げ脚質でこそ、その実力が発揮されたと思います。
そして、種牡馬入り後は、そのスピードがしっかりと受け継がれ、短距離からマイル路線で活躍する産駒、特に牝馬が目立ちます。
また、牡馬では、兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)を勝ったデュアリストやダートを5勝したウィリアムバローズなど、芝・ダート問わずに活躍馬を輩出していることで今後も期待される種牡馬ではないでしょうか。
ミッキーアイルの代表産駒
競走馬名 | 主な勝ち鞍 |
※ナムラクレア | キーンランドカップ(G3) |
メイケイエール | 京王杯スプリングカップ(G2) |
※ウィリアムバローズ | 東海ステークス(G2) |
サトノダイヤモンド
※画像はnetkeibaより引用
母のマルペンサは、アルゼンチンのG1を3勝した名牝でサトノダイヤモンドは、セレクトセールにて、2億3,000万円で落札され話題を呼びました。
現役時代には、皐月賞(G1)で3着、日本ダービーはマカヒキのハナ差の2着でしたが、菊花賞(G1)でG1初制覇。
これは、ディープインパクト産駒として初めての菊花賞勝利となりました。
さらに年末の有馬記念(G1)でもキタサンブラックをクビ差に退けて勝利し、この年の最優秀3歳牡馬に選出されましたが、その後は、なかなか勝つことが出来ず、かつての輝きを取り戻すことなく現役を引退します。
そして、種牡馬として大きな期待を寄せられたサトノダイヤモンドでしたが、初年度産駒が大不振に終わったことで人気が急落。
初年度から4年連続で種付頭数を約140頭と安定していましたが、2023年には、前年の138頭から58頭に減少してしまっています。
それでもキタサンブラックに勝ったほどの実力を持っているくらいの名馬ですので、今後の巻き返しに期待したいです。
サトノダイヤモンドの代表産駒
競走馬名 | 主な勝ち鞍 |
※サトノグランツ | 京都新聞杯(G2) |
※シンリョクカ | 新潟記念(G3) |
コントレイル
※画像はnetkeibaより引用
父ディープインパクトに続き、史上3頭目となる無敗の三冠馬に輝いたのがコントレイルです。
現役時代の実績だけをみれば、間違いなく後継種牡馬ナンバーワン候補です。
そんなコントレイル産駒は、2025年に初年度産駒がデビュー予定です。
特に注目されているのは、国内セリ市史上3位となる5億2000万円で落札された「コンヴィクション2の2023」が話題となりました。
管理する予定の福永調教師は「コントレイルらしい品のある馬。体のバランスの良さを感じています。競走馬としてしっかりと整えていければ」とコメントされているように、今からデビューが待ち遠しいですね。
マカヒキ
※画像はnetkeibaより引用
2016年の日本ダービーを制したマカヒキですが、その後、なかなか勝利することができず、2021年の京都大賞典(G2)を勝利するまで約5年もかかりました。これは、G1馬の史上最長間隔での勝利となり、最終的に9歳まで現役を続けました。
しかし、初の種付けシーズンを迎えた2023年には104頭と交配し、意外な人気っぷりを発揮しました。
これは、受胎条件で50万円といったダービー馬として破格の値段に加え、マカヒキ同様に早い時期からの活躍が見込め、さらには長く走り続けられるタフさという点が馬主にとって良い条件が揃ったことで人気を博したと推測されます。
また、初年度の種付けには三冠牝馬のアパパネとの交配も含まれており、2024年には牡馬が誕生しました。
オーギュストロダン
最後にご紹介するのは、2023年の英・愛ダービー(G1)やアメリカのBCターフ(米G1)を制し、これまでG1を6勝しているオーギュストロダンです。
アイルランド産のオーギュストロダンは、ディープインパクトのラストクロップにあたり、現時点では、2024年のジャパンカップ(G1)を最後に現役を引退し、翌シーズンからはアイルランドのクールモアスタッドで種牡馬入りすることが発表されました。
ジャパンカップは8着に敗れましたがけがなく引退し、同日東京競馬場で引退セレモニーを行っています。
引退後はアイルランドにあるクールモアスタッドで種牡馬入りが発表されました。
将来的には、オーギュストロダンの仔が日本のターフを走るかもしれません。
世界の名馬との交配で産まれたディープインパクトの孫が、どこまで台頭するか注目したいです。
ディープインパクトの後継 まとめ
今回は、ディープインパクトの後継種牡馬について紹介しました。
同じディープインパクトの血を受け継ぐ種牡馬であっても現時点で光と影に分かれる部分が、血統のロマンともいうべき、競馬の醍醐味の1つでもあると思います。
そして、その光と影の逆転現象が起きるのか、それともこのまま光と影の存在が確立するのか、いずれにしましてもディープインパクトの後継種牡馬争いには引き続き注目し続けたいですね。