2023年の日本ダービー(G1)をタスティエーラで勝利するなど、日本ではすっかりお馴染みとなったダミアン・レーン騎手(以下レーン騎手)は、物静かでありながら確かな技術を兼ね備えた騎手です。
また、無駄のない騎乗スタイルや氷のような冷静さ、そして、優れた勝負勘を併せ持った技術は、オーストラリアを代表する名騎手の1人であり、ステイヤーでもスプリンターでも先行でも追い込みでも難なく乗りこなし、持ち前の仕掛けどころとペース感覚に狂いが生じることはない多才さが強みでもあります。
そんなレーン騎手は、レース外でも落ち着いた振る舞いが、多くの関係者から好意的に受け止められ、今や日本でも人気のある騎手といっても過言ではありません。
そこで今回は、レーン騎手について詳しく紹介していきたいと思います。
レーン騎手のことをあまり知らない方、逆によく知っている方でも楽しめる内容となっていますので、ぜひ最後までご高覧ください。
D(ダミアン).レーン騎手とは?

レーン騎手は、西オーストラリア州のパースから南に約175キロ離れたバンバリーという街でマイケル・レーンとヴィッキー・レーン夫妻の息子として1994年2月6日に生まれました。
なお、両親はオーストラリアで調教師をやっていたため、幼い頃から自然と馬に囲まれた生活環境下で育ち、 2009年には西オーストラリアで騎乗を開始した後、ビクトリア州に移住しました。
なお、レーン騎手の父マイケル氏は西オーストラリアでG1レースを勝った経験を持つ才能溢れる騎手でしたが、減量が厳しくなり、やむなく騎手を引退し調教師に転向したといわれています。
そんな騎手の先輩でもある父マイケル氏から騎手としての基礎を叩き込まれたレーン騎手。2009年には父の下で見習い騎手としてデビューすると、同年6月27日にポートヘッドランド競馬場にて、キングクリートゥに騎乗し初勝利を挙げました。
そして、2年も経たないうちに通算100勝を達成すると、戦いの場をメルボルンに移します。
メルボルンではマシュー・エラートン & サイモン・ザーラ厩舎に所属し、21歳を目前にして早くも通算500勝を達成。若き才能の次なる目標は、世界へと向けられました。
その後、2014年には、コーフィールド競馬場で行われたサールパートクラークステークス(豪G1)でトラストインアガストに騎乗し優勝。見事G1初制覇を飾り、今日までの活躍につながっています。
なお、2025年度の短期騎手免許取得での来日は今のところJRAからの正式発表はありませんが、5月3日から約2か月間の見込みとなっています。
月単位でじっくりと日本に滞在するとなれば、2023年の春以来、約2年ぶりとなりますね。
これまでの実績や主な勝鞍は?

オーストラリアで数々の栄光を手にしてきたレーン騎手。
これまでの実績や主な勝ち鞍をみますと、まずは2013年10月にセソーヴァーに騎乗したエドワードマニフォールドステークス(豪G2)の勝利が嬉しい重賞初制覇となりました。
そして、先ほども少し触れましたが、2014年9月には父系の祖父にサンデーサイレンスを持つトラストインアガストでインヴィテーションステークス(豪G1)を優勝したことがレーン騎手にとってG1初勝利となります。
なお、2014年-2015年シーズンには香港でも騎乗したことがきっかけでレーン騎手の他国進出が開始されました。
その後、2016-2017年シーズン(8月1日~7月31日)では、フランバージでオークレイプレート(豪G1)、ヒューミドールでオーストラリアンカップとマカイビーディーヴァステークス(ともに豪G1)、ジョンスノーでオーストラリアンダービー(豪G1)、ザミッションでシャンペンステークス(豪G1)を優勝と母国オーストラリアのG1レースを総なめにしました。
さらに翌2017-2018年シーズンには、元日本調教馬のトーセンスターダムでトゥーラックハンデキャップ(豪G1)とマッキノンステークス(豪G1)を制し、ヴィクトリア州メトロポリタンの騎手ランキングで自己最高となる2位にランクイン。
翌2018-2019年シーズンでもアリスティアでケネディオークス(豪G1)を勝つと、2019年3月にはオーストラリアを代表するレースの1つゴールデンスリッパーステークス(豪G1)をカイアミシで勝つなど毎年G1レースを勝利したことで、名実ともにオーストラリアを代表する騎手へと昇り詰めました。
こうして、レーン騎手は、満を持して2019年4月に初来日を果たすと、ノームコアでヴィクトリアマイル(G1)、オメガパフュームで帝王賞(Jpn1)を制覇。そして、名牝・リスグラシューとのコンビで宝塚記念(G1)を制覇するなど、一気にG1級レースを3勝した姿は日本の競馬ファンに多大なインパクトを与えたのです。
そして、帰国したレーン騎手の勢いは留まることを知らず、2019-2020年シーズンでも日本のメールドグラースでコーフィールドカップ(豪G1)を勝利し、翌週には同じく日本のリスグラシューでコックスプレート(豪G1)を制するといったオーストラリアのビッグレースを2週連続で勝利。
さらに2019年の暮れには特例で騎乗が叶ったリスグラシューとのコンビで有馬記念(G1)を制し、2019年は日本競馬にとってレーン騎手の名声が一気に広まった年でもありました。
なお、近況と言えば、オーストラリアでの2023-2024年シーズンで自身初となるヴィクトリア州(メトロポリタン地区)のリーディングジョッキーを獲得するなど、その腕はさらに磨きがかかったようですね。
日本での実績は?

高い賞金レベルを誇るJRAは世界的名手と呼ばれる超優秀な騎手が集まる環境として知られていますが、その中でもレーン騎手の勝率はトップクラスといっても過言ではありません。
それは、レーン騎手がJRA通算100勝を達成したのが、427回目の騎乗だったことで勝率23%と高いアベレージを残しているからです。なお、この記録は294レース目で達成したジョアン・モレイラ騎手に次ぐ記録となります。
ただ、レーン騎手の来日期間は、オーストラリア競馬の休暇時期との兼ね合いからG1シーズンに集中していたのに対し、モレイラ騎手の場合、それまで夏競馬中心だったことを考えると、この功績はモレイラ騎手に勝るとも劣らないと言えるのではないでしょうか。
なお、レーン騎手は、競馬だけでなく日本の文化や言語を熱心に学ぼうとする姿勢が評価されていることもあり、海外に遠征する日本のトップホースを任されることにつながっていると思います。
そんなレーン騎手は、先ほども少し触れましたが、短期騎手免許を取得し、初来日となった2019年は、4月から7月にかけて約3ヶ月間を日本で滞在し、37勝を挙げました。
その中には、ノームコアに騎乗しG1初勝利となったヴィクトリアマイルをはじめ、リスグラシューとの宝塚記念、有馬記念とこの年は日本でG1を3勝しています。
また、翌2020年も同じく4月から7月にかけてさらに約3ヶ月間日本に滞在し、41勝を挙げ、2年後の2022年6月19日には、レインフロムヘブンで日本競馬での100勝を達成。
そして、日本競馬に衝撃を与えた2023年にはタスティエラで日本ダービーを制し、南半球出身者として初めて日本のクラシックレースを制した騎手となりました。
レーン騎手のまとめ

今回は、レーン騎手について紹介しました。
2025年3月末時点でレーン騎手は通算1,500勝以上を挙げており、そのうち36勝はG1レースです。2023年のタスティエーラもそうですが、やはり大一番で強い印象がありますよね。
今回予定通りの来日となれば、約2年ぶりとあって日本でも多くのファンが待ち望んでいたのではないでしょうか。今年もレーン騎手の活躍に期待したいところです。