これまで4回に渡り紹介してきました今回の短期免許騎手シリーズもこれが最後となります。
その最後を飾る5人目のジョッキーは、今回の短期騎手免許で来日した中で唯一の女性ジョッキーでもありますR(レイチェル).キング騎手(以下キング騎手)です。
キング騎手といえば、まだ記憶に新しい2023年8月末に札幌競馬場で行われたワールドオールスタージョッキーズの個人戦で2位に入賞した実力派ジョッキーですね。
ちなみに日本が誇るレジェンド・武豊騎手は3位でしたので、これだけでもキング騎手の凄さは分かるかと思います。
そんなワールドオールスタージョッキーズとは、JRAが主催する国際騎手招待競走で外国騎手・地方競馬所属騎手に加え、JRAの代表騎手の全14名でナンバーワンジョッキーを決める大会です。
これは騎手が騎乗した競走馬の着順によってポイントが付与され、全4レースで競い合い、その合計ポイントで順位が決定されます。
過去には、錚々たる世界のトップジョッキーも参戦し、熱戦を繰り広げてきた歴史ある大会の中、2023年大会で2位となったキング騎手。
大会初日を首位で折り返す大活躍を見せましたが、最終戦でまさかの競争中止というアクシデントがありました。
その結果、優勝した岩田望来騎手とはわずか1点差で涙を飲む形となりましたが、女性騎手としては過去最高の順位となり、日本の競馬ファンに対して大きく存在感をアピールしました。
そんなキング騎手ですが、日本ではお馴染みになりつつも短期騎手免許で来日するのは今回が初めてです。
普段はオーストラリアで大活躍を見せている女性騎手ですので、日本の競馬ファンも楽しみにしている方が多いと聞きます。
さて、キング騎手とは、いったいどのような騎手なのでしょうか。
- R.キング騎手の生年月日や経歴が分かります。
- R.キング騎手の海外における主な活躍が分かります。
- R.キング騎手の日本における実績が分かります。
R(レイチェル).キング騎手とは?
- 国籍 イギリス
- 出身地 イングランド
- 生年月日 1990年7月31日
- 身長 154cm
- 体重 51kg
キング騎手は、1990年7月31日にイギリスのオックスフォード近郊のウォーターペリーで生まれました。
身長154センチ、体重51キロ。現在33歳と今回、短期騎手免許で来日した5名のジョッキーの中で1番若いジョッキーですね。
そんなキング騎手は、父親がアマチュアの騎手兼調教師だったことが影響したのか、幼い頃から騎手になることを志していたといいます。
学校を卒業した後、イギリスのアマチュアジョッキーとしてキャリアを積み、2014年には騎乗機会を求めてオーストラリアのシドニーに拠点を移しました。
そんなキング騎手は、オーストラリアでも権威あるレースの1つ、芝3200mのシドニーカップ(豪G1)をはじめ、これまでG1競走を5勝しています。
また、G2は9勝、G3も21勝をマークしており、通算勝利数は600勝を超えています。
さらに特記すべき点は、見習い騎手時代も含め15か国以上で騎乗した経験も備えていることです。
この成績を見ると世界の女性騎手の中でもトップクラスの実力を持っていることが分かりますね。
なお、今回の短期騎手免許期間は、2024年1月6日から3月5日まで、身元引受調教師は、美浦の堀宜行調教師で契約馬主は、株式会社ダノックスとなっています。
これまでの実績や主な勝鞍は?
オーストラリアのニューサウスウェールズ地区での騎乗成績は、2021-22年シーズンは38勝とリーディング10位。2022-23年シーズンは31勝で12位、2023-24年シーズンは2024年1月4日現在で19勝を挙げて8位にランクインし、今回の来日となりました。
※成績はJRAのホームページより
これまでの実績を詳しく見ますと、まず、2016-17年シーズンには、見習い騎手のリーディングに輝いています。
さらに翌2017-18年シーズンには、ニューカッスル・ニューマーケットハンデキャップ(G3)でランシアートを勝利に導き重賞初制覇を達成し、2018年10月に行われたスプリングチャンピオンS(豪G1)では、メイドオブヘヴンに騎乗して、見事G1初勝利を成し遂げました。
翌2019-20年シーズンでは44勝を挙げ、2021-22年シーズンではキャリアハイとなる64勝を挙げています。
その中には、前述しましたシドニーCをナイツオーダーで制しています。これは女性騎手として初の快挙であり、キング騎手自身も3シーズンぶり2度目のG1勝利となりました。
日本でいえば天皇賞・春(G1)と同じ距離のG1を制するのですから、なかなかの実力者です。
そんなキング騎手の勢いは翌シーズンでも止まらず、タンクレッドS(豪G1)を制し、2シーズン連続でのG1勝利も達成。
さらには、同シーズンにおいてザ・メトロポリタン(豪G1)、クールモアスタッドS(豪G1)も制し、年間G1 3勝と大活躍のシーズンとなりました。
改めて凄い騎手だと思いますね。
日本での実績は?
今回の短期騎手免許にて来日後の1月4日に美浦トレセンを初訪問した際「立派な施設で大きいのですが、雰囲気が落ち着きます。ウッドもポリトラックもあってバリエーションがあるのは素晴らしいです」と感心した様子を見せたキング騎手。
「日本の食べ物は好きですし、特にシーフードが好きです。刺身も食べますしね」と笑顔でコメントしたことは、日本の文化にもすぐに馴染んでいる様子が伺えます。
※コメントは全てUMATOKUから抜粋
そんなキング騎手ですが、2023年は、ワールドオールスタージョッキーズの4戦以外の2戦も含めると6戦1勝でした。
しかし、今回の来日では凄まじい活躍を見せています。
2024年1月21日現在、37戦5勝ですが、驚くべき数字は、馬券圏内に入ったのが15回。これは、複勝率40.5%となります。
ただし、この数字は、芝・ダートを合わせた数字となっていて、注目したいのは芝レースです。芝に限れば、18戦3勝ですが、馬券圏内は実に9回、複勝率50%です。
これを2022年のリーディングジョッキー、C(クリストフ).ルメール騎手と比較すると、ルメール騎手の今年の芝成績は、24戦9勝。馬券圏内は実に12回と複勝率は50%と同じです。
これだけでも凄い数字ですが、ルメール騎手の複勝回収率が80%に対し、キング騎手は241%もあるのです。これは、如何に人気のない馬を馬券圏内に持ってきていることが分かる数字ですね。
そんなキング騎手の騎乗は、とにかくスタートがとても上手い印象で、先行好位に付けるとしぶとい競馬を見せてくれるのも彼女の得意パターンといえそうです。
そして、キング騎手といえば、21日に中山競馬場で行われたアメリカジョッキークラブカップ(G2)です。
レースでは、3番人気のチャックネイト(セ6歳)に騎乗し、2番人気だったボッケリーニ(牡8)をハナ差に抑えて勝利しました。
これは、外国人女性騎手として初のJRA平地重賞勝利となりました。まさに世界で鍛えたその腕っぷしを遺憾なく発揮した歴史的快挙の瞬間でしたね。
なお、女性騎手のJRA平地重賞勝利は、2019年のカペラS(G3)を制した藤田菜七子騎手、2022年のCBC賞(G3)でテイエムスパーダを勝利に導いた今村聖奈騎手に次いで3人目となります。
余談ですが、外国人女性騎手として初の重賞制覇じゃないの?と思った方が多いかも知れませんが、実は外国人女性騎手として初めてJRAの重賞を勝利したのは、2002年に中山大障害(J・G1)をギルデッドエージで制したニュージーランドのロシェル・ロケット騎手です。
なので、今回の勝利は「JRA平地の重賞」となるわけですね。
そして、2月4日に行われた東京新聞杯(G3)では7番人気のサクラトゥジュールに騎乗し、先行競馬で勝利しました!
内枠の利点を生かしたロスのない競馬で、強敵相手に見事な立ち回りを見せています。
短期間で重賞タイトルを2勝したことで、これからは注目を集めることでしょう!
まとめ
前述した通り、複勝率が高いキング騎手に対し、競馬ファンの中では、芝コースでのキング騎手は“買い”との声が挙がっています。
それだけ人気薄の馬でも馬券圏内に持って来られる実力があるということですよね。
そんなキング騎手の展開の読み、先行すればしぶとい競馬を見せる騎乗センスなど、今後も注目し続けたいです。
キング騎手は3月5日まで日本で騎乗予定です。
馬券を買える期間はまだまだ残っていますので、出馬表でキング騎手の名前を見た際には、買ってみると儲かるかも知れませんね。