主にダート競走が中心の地方競馬ですが、2024年時点でばんえい競馬を除くと現在、全国14か所でほぼ毎日に渡り熱戦が繰り広げられています。
もちろん、国と地方団体の運営の差がありますから設備や施設の規模が違いますので、中央競馬と地方競馬の力の差があるのは致し方ありません。
しかし、そんな地方競馬でも、これまで数々の名馬が誕生していますし、過去には中央のG1を制した競走馬も存在します。
そこで今回は、全国14か所の地方競馬の特徴とそこで誕生した名馬たちを紹介します。
特に歴史の長い地方競馬では、数多くの名馬たちが日本競馬の歴史を作ってきましたので、是非ともご堪能ください。
全国の地方競馬場一覧
冒頭でも少し触れましたが、帯広市にある帯広競馬場(ばんえい競馬)を除けば、全国にある地方競馬場は2024年の時点で14か所あります。
全国各地にある地方競馬場名と所在地は下記の通りです。
地方競馬場 | 所在地 |
門別競馬場 | 北海道沙流郡日高町 |
盛岡競馬場 | 岩手県盛岡市 |
水沢競馬場 | 岩手県奥州市 |
浦和競馬場 | 埼玉県さいたま市南区 |
船橋競馬場 | 千葉県船橋市 |
大井競馬場 | 東京都品川区 |
川崎競馬場 | 神奈川県川崎市川崎区 |
金沢競馬場 | 石川県金沢市 |
笠松競馬場 | 岐阜県羽鳥郡笠松町 |
名古屋競馬場 | 愛知県弥富市 |
園田競馬場 | 兵庫県尼崎市 |
姫路競馬場 | 兵庫県姫路市 |
高知競馬場 | 高知県高知市 |
佐賀競馬場 | 佐賀県鳥栖市 |
門別競馬場
馬産地のメッカでもあります北海道は日高地方の真ん中にある競馬場です。
ホッカイドウ競馬に属し、現存する日本国内の競馬場の中では、もっとも新しく長めの直線コースが特徴的です。
コスモバルク
※画像はnetkeibaより引用
2006年のシンガポール航空インターナショナルカップ(国際G1)を制したホッカイドウ競馬が誇る英雄です。これは地方競馬所属馬として史上初となる海外G1制覇となりました。
23歳となった現在でも北海道のビッグレッドファームにて功労馬として余生を送っています。
盛岡競馬場
岩手競馬の1つで『オーロパーク』の愛称で知られています。地方競馬専門の競馬場として唯一の芝コースを保持している競馬場でもあります。
トウケイニセイ
父トウケイホープは岩手競馬で大活躍した名馬ですが、心臓麻痺で急死したため、この世に残した産駒(競走馬として登録された)はわずか4頭です。
その4頭のうち唯一の牡馬だったトウケイニセイは、岩手競馬の大レースを次々と勝ち通算43戦39勝うち41連対は日本国内の競馬での連続連対記録であり、岩手競馬史上最強馬と称されています。
水沢競馬場
もう1つの岩手競馬は、奥州藤原氏のお膝元にある水沢競馬場です。内馬場には、ポニーリンクや野球場にサッカー場があり、競馬以外でも楽しめる施設があります。
メイセイオペラ
1999年に中央競馬のG1であるフェブラリーステークスを勝利したのがメイセイオペラです。
これは地方競馬所属馬として唯一の大記録であり、25年が経った今でも地方競馬所属馬が中央のG1を勝ったことはありません。
2013年のJRAのCM「THE REGEND」でも紹介された馬で、「日本競馬史上ただ一頭 地方から中央を制した馬」というキャッチフレーズはいまもオールド競馬ファンに染みついているのではないでしょうか。
浦和競馬場
埼玉県の住宅地の中に建設された競馬場で、南関東公営の中では、もっとも小回りで直線も短いコース形態です。
トロットサンダー
※画像はnetkeibaより引用
デビュー前は『痩せた熊』といわれたほど、大きく痩せこけて馬体の充実が悪かったそうです。しかし、浦和競馬で結果を出すとJRAに移籍し、1995年のマイルチャンピオンシップと1996年の安田記念を勝利するなど、まさに浦和競馬が生んだ名馬の1頭ですね。
船橋競馬場
南関東公営の1つでコースは左回りで中山競馬場とは至近距離にあるのが船橋競馬場です。
地方競馬の中では、フリオーソやアブクマポーロ、アジュデイミツオーといった数多くの名馬たちが誕生しているのも船橋競馬場からです。
トーシンブリザード
※画像はnetkeibaより引用
史上初の南関東無敗の三冠馬となったのがトーシンブリザードです。その強さは中央馬を迎えたジャパンダートダービーで単勝1.0倍だったことが物語っているのではないでしょうか。
大井競馬場
通称『TOKYO CITY KEIBA』で知られており、南関東の中では、唯一の右回りコースで日本で初めてナイターレースを導入し3連単や馬単などの馬券もJRAに先駆けて導入しました。
また、2023年に史上2頭目となる南関東無敗の三冠馬となったミックファイアも話題となりましたし、年間売上も地方競馬では断トツとなる2,000億円を超えるほど人気を誇る競馬場です。
そして、特筆すべき点は、2024年から開催されるダート三冠レースもすべて大井競馬場で開催されることですね。
ダート三冠の整備に伴い、大井競馬場はますます盛り上がりを見せることでしょう。
ハイセイコー
※画像はnetkeibaより引用
大井競馬場といえば、イナリワンやフジノウェーブといった数多くの名馬が存在しますが、代表馬となれば今でもハイセイコーでしょうか。
1970年代に第1次競馬ブームの火付け役として登場した元祖アイドルホース。その影響力は当時、競馬を知らない一般の方にもハイセイコーの存在が知れ渡っていたほどです。
川崎競馬場
4つの南関東公営の競馬場の中でナイターレースを開催しているのが川崎競馬場です。1周1,200mとコンパクトながら直線は300mと地方競馬の中では長い方ですが、その分コーナーが短く急カーブなコースとなっているのが特徴です。
ロジータ
※画像はnetkeibaより引用
牝馬としては史上初で唯一の南関東三冠馬です。その強さは、地方競馬最強牝馬とも謡われているほど。
驚愕なのは、引退レースとなった川崎記念でロジータ以外の単勝がすべて万馬券となったことです。そこで2着に8馬身差の圧勝劇をみせたのですから地方最強牝馬といっても過言ではありませんよね。
金沢競馬場
北陸唯一の競馬場で地区的なカテゴリーには属さない独自路線を敷いている競馬場です。ちなみに石川県と金沢市が別々に主催者として開催しています。
ハクサンアマゾネス
※画像はnetkeibaより引用
金沢が生んだ名馬といえば、ハクサンアマゾネスではないでしょうか。
これまで重賞21勝を挙げていますが、これは日本の競馬の平地重賞において最多記録となっています。また、父がシルポートという点もシブいと思います。
笠松競馬場
東海公営の競馬場でオグリキャップや安藤勝己元騎手を輩出した競馬場でも有名ですね。
その安藤元騎手がJRAに移籍のキッカケとなったのは、笠松が生んだ名牝ライデンリーダーといわれています。その背景から2004年には『名馬・名手の里 ドリームスタジアム』との愛称が付けられました。
ラブミーチャン
※画像はnetkeibaより引用
風水でお馴染みDr.コパさんの所有馬で当初はJRAに所属する予定でしたが、腰の弱さから笠松でデビューとなりました。そこから大活躍を見せ、2009年と2012年に地方競馬の年度代表馬に輝いています。
名古屋競馬場
笠松と同じく東海公営の競馬場です。元々は名古屋市港区にありましたが、2022年3月に73年間の幕を閉じ、愛知県弥富市に移転し新たな名古屋競馬場としてスタートしました。
ジュサブロー
1996年のオールカマーを優勝し、地方競馬所属馬として中央競馬の重賞を初めて制した名馬です。のちに中央へ移籍し活躍をみせました。
園田競馬場
以前はアラブ種のみの競馬場でしたが、時代の流れとともに現在ではサラブレッドのみとなっています。
ちなみに岩田康誠騎手、小牧太騎手、赤木高太郎元騎手の3名が兵庫競馬からJRAに移籍しました。
イグナイター
※画像はnetkeibaより引用
園田といえば、2022年と2023年の地方競馬年度代表馬に輝いたイグナイターの存在が大きいです。ちなみに馬名の意味は『点火薬』でその馬名の通り、一度火が付いたら止められない走りで近年の地方競馬を代表する競走馬となりました。
なお、史上唯一の兵庫三冠馬ロードバクシンも兵庫競馬の代表馬として挙げられる1頭です。
姫路競馬場
兵庫競馬で過去は開催も多かったですが、ここ最近では1年を通じて1月2月のみの開催であとは園田競馬での開催となっています。なお、園田競馬場よりも1周距離と直線の距離は長いですが、スパイラルカーブではないため、コーナーはきつくなっています。
姫路競馬場は開催数も少ないうえ、活躍する馬の多くが県内にある園田競馬場から出ているため、2024年の時点で姫路競馬を代表する名馬はいませんでした。
高知競馬場
四国で唯一の競馬場、ハルウララが所属していたことで一躍有名になった競馬場ですね。
毎年、全国から新人ジョッキーを集めて行う『全日本新人王争覇戦』や3連単の1番人気が万馬券倍率のレース『一発逆転ファイナルレース』など、このように企画ものに定評があります。
なお、コース形態は、阪神競馬場に似たおむすび型です。
スペルマロン
※画像はnetkeibaより引用
高知競馬所属馬として、史上初となる獲得賞金1億円を突破した名馬です。
また、2023年には14年ぶり史上4頭目の高知三冠をユメノホノオが達成しました。
佐賀競馬場
九州競馬でスタンドの大きさは中央競馬並みといっても良いほど、広大な施設を誇る競馬場ですが、コース全長は1,100m、直線も200mと地方競馬でも小さめです。
ちなみに今やパドックは世界共通で左回りですが、ここ佐賀競馬場だけは右回りのパドックとなっています。これは武士の時代に騎乗する際、刀が邪魔にならないよう馬の左から乗ったことに由来するそうです。
キョウワカイザー
佐賀競馬の有馬記念版として位置づけされている中島記念を史上初となる3連覇を成し遂げました。
地方競馬の一覧と名馬のまとめ
今回は、地方競馬全14か所及びその代表馬を紹介しました。
なお、代表馬はあくまでも個人的な見解であり、それ以外にも多くの名馬が存在します。
そんな地方競馬の名馬たちを振り返ると、それぞれの地方競馬にも多くのドラマが詰まっていることを改めて実感しました。
また、前述しました通り、2024年からダート三冠も創設されましたし、地方競馬もますます目が離せない、そんな新たなダート界の幕開けに期待したいですね。