中央競馬には全国に10の競馬場が存在しますが、その中でも「ローカル競馬場」と呼ばれる開催地があるのをご存じでしょうか。
東京や阪神のような大都市の競馬場とは違い、札幌や小倉などの地方に位置する競馬場では、コース形状や出走馬の傾向も大きく異なります。
また、夏の時期には「サマーシリーズ」など、ローカルならではのイベントも行われ、予想や馬券の狙い方にも独自の攻略法が存在します。
本記事では、ローカル競馬場の定義や特徴、中央開催との違い、狙うべき馬のタイプ、さらにはサマーシリーズの概要まで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説していきます。
ローカル競馬場とは何か

中央競馬では、全国10場のうち東京・中山・京都・阪神を「中央開催」もしくは「4大馬場」と呼び、それ以外の札幌・函館・福島・新潟・中京・小倉を「ローカル競馬場」と位置付けています。
一見すると地方競馬と混同されやすい言葉ですが、実際には中央競馬の一部です。
かつてはG1が開催されない競馬場としての分類でしたが、現在では中京や新潟の一部レースはG1格付けとなっており、運用上の境界も少しずつ変化しています。
最初に、中央競馬におけるローカル競馬場が何か解説します。
「中央なのにローカル?」意味と定義
ローカル競馬場は、中央競馬(JRA)が運営する競馬場の中で、東京・中山・京都・阪神以外の6場を指します。
名前の印象から地方競馬と混同されがちですが、あくまで中央競馬の一部です。
「ローカル」という呼称は、もともとG1が開催されない地方開催という意味合いから使われており、現在も便宜上そのように区別されています。
ローカル競馬場の一覧と特徴
ローカル競馬場は以下の6つです。
- 札幌
- 函館
- 福島
- 新潟
- 中京
- 小倉
それぞれ地理やコース形状が異なり、例えば札幌や函館は洋芝、福島や小倉は小回りで直線が短め、新潟には直線1,000mの特殊コースがあります。
また、中京は左回り+坂ありで、中央開催扱いとなる週も存在します。
ローカル競馬場と中央開催の違い

ローカル競馬場と中央開催では、コース構造や立地、輸送スタイルなどに明確な違いがあります。
中央開催の4場(東京・中山・京都・阪神)は大都市圏にあり、コースも広く直線が長い設計が主流です。
一方、ローカル場はコンパクトな設計や地理的要因により、小回り・平坦なレイアウトが多く、機動力重視のレース展開が求められます。
さらに、開催地の距離によって「遠征競馬」と「滞在競馬」に分かれる点も特徴的です。
違いについて、もう少し詳しく解説します。
コース形状|平坦・小回りが多い
ローカル競馬場の多くは、小回りや平坦なコースが主流です。
例えば福島や小倉はコーナーがきつく、直線が短いため、逃げ・先行馬が粘りやすい傾向があります。
また、坂のない平坦コースでは、パワーよりもスピードの持続力が重視されやすく、長く良い脚を使える馬が活躍します。
中央開催のように「直線一気」の差し切りが決まりにくいため、立ち回りの上手さが勝敗を左右する大きな要因となります。
輸送距離と滞在競馬
ローカル競馬場は、トレーニングセンター(美浦・栗東)から遠く離れているケースが多く、馬の輸送方法にも工夫が必要になります。
特に札幌や函館といった北海道開催では、遠征競馬ではなく、数週間現地にとどまって調整を行う「滞在競馬」が一般的です。
これにより輸送によるストレスが軽減され、状態が安定する馬も多く見られます。
輸送が苦手なタイプの馬にとっては、むしろローカルの方が好条件になることもあります。
ローカル開催で狙いたい馬の特徴

ローカル競馬場では、コース形状や環境の違いから、活躍しやすい馬のタイプにも特徴があります。
中央開催と比べて直線が短く、コーナーがきついコースが多いため、いわゆる「器用な馬」や「先行力のある馬」が有利になるケースが目立ちます。
また、夏場に開催されることが多く、「夏馬」や「滞在調整の馬」、さらには地元開催に合わせて仕上げられる「ご当地馬」も好走傾向があります。
さらに詳しく狙痛い馬の特徴をまとめました。
機動力のある馬・器用なタイプ
ローカル場は小回り・平坦コースが多いため、直線だけで差すような末脚勝負よりも、早めに動けてコーナーをスムーズに立ち回れる馬が有利です。
特に逃げ・先行タイプや、3~4コーナーで外を回さずインを立ち回れる器用な馬は、高確率で馬券に絡みます。
過去に小回りコースで実績を残している馬や、枠順が内目に入った馬は積極的に狙いたい存在です。
夏馬・滞在馬・ご当地馬主の馬
夏競馬では、暑さに強い「夏馬」がパフォーマンスを上げる時期でもあります。
また、北海道や九州など遠征地では、事前に現地入りする「滞在競馬」が一般的で、輸送リスクが減るぶん安定した成績を残しやすくなります。
さらに地元の馬主が所有する「ご当地馬」は、地元開催に照準を合わせて仕上げてくるケースが多く、狙い目となります。
開催地との関係性にも注目することで、穴馬発見のヒントが得られるかもしれません。
サマーシリーズとは?|夏のローカル開催で注目

サマーシリーズとは、JRAが毎年6月下旬から9月中旬にかけて開催する、夏季限定のポイント制シリーズです。
主にローカル競馬場で行われ、スプリント・マイル・2,000mの3カテゴリーに分かれた重賞レースで構成されます。
各レースの着順に応じてポイントが加算され、最終的にシリーズチャンピオンが決定されます。
さらに騎手部門もあり、シリーズを通じた活躍が称えられるため、例年以上に勝負気配の強いレースが展開されやすいのが特徴です。
ポイント制でチャンピオンが決まる
サマーシリーズは、対象レースでの成績に応じてポイントが加算され、合計得点で馬と騎手のシリーズチャンピオンが決まります。
レースの格付け(G2、G3、リステッド)に応じてポイント配分が異なり、特に上位入賞が重要です。
馬主や厩舎にとっては、賞金や称号が得られるだけでなく、今後の種牡馬・繁殖牝馬としての価値にも影響するため、シリーズ全体で高いモチベーションが保たれます。
対象レースと特徴
サマースプリントシリーズには、CBC賞・アイビスサマーダッシュ・キーンランドカップなどが含まれ、短距離巧者が集まります。
マイル路線では、中京記念や関屋記念など、比較的メンバーが流動的になりやすい傾向があります。
2000シリーズでは、七夕賞・函館記念・新潟記念などが開催され、先行力やタフさが求められます。
どのカテゴリーも、夏のローカル特有の馬場・展開が絡み、伏兵馬の台頭がよく見られます。

ローカル開催を楽しむためのQ&A

ローカル競馬場は中央開催とは異なる特性を持っており、その違いを理解することで、より深く競馬を楽しめます。
とくに予想に役立つのが「荒れやすさ」や「騎手・厩舎の得手不得手」といった、ローカル特有のファクターです。
ここでは、初心者が疑問に感じやすいポイントをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
穴馬が来やすい理由や、地元騎手・厩舎に注目するべき理由など、実戦的なヒントを得られる内容です。
- なぜローカルは荒れやすい?
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ローカル競馬は小回り・平坦なコースが多く、枠順や展開、馬場状態による影響が大きくなりがちです。
そのため、実力上位馬でも不利を受けたり、展開に恵まれずに敗れるケースがあります。
逆に内枠からスムーズに先行した馬や、滞在競馬で調整された地元馬が激走することも少なくありません。
こうした条件変化の影響が結果に直結するため、人気馬が取りこぼしやすく、波乱の決着になりやすい傾向があります。
- 騎手や厩舎の得意不得意はある?
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ローカル競馬では、普段あまり目立たない騎手や厩舎が活躍することがあります。
その背景には「地元所属」や「滞在経験の多さ」などがあり、地理的なアドバンテージが好結果につながるケースも多々見られます。
また、特定の競馬場で好成績を残している騎手・調教師もおり、過去のデータをチェックすることで予想の精度を高めることができます。
中央開催では目立たない実力者が、ローカルで本領を発揮することも少なくありません。
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まとめ|ローカル競馬場を味方につけよう

ローカル競馬場は、中央開催とは異なる特徴や攻略ポイントが多く、予想力を磨くには絶好の舞台です。
小回り・平坦・輸送・滞在・ご当地要素など、複数の視点から馬の適性を探ることで、人気薄の激走を見抜くチャンスも広がります。
さらにサマーシリーズのようなポイント制イベントもあり、陣営の勝負気配やレースの熱量も高まりやすくなります。
ぜひ本記事の内容を参考に、ローカル競馬ならではの面白さと奥深さを体感しながら、夏の競馬を思い切り楽しんでください。