MENU

競馬の古いコースレコード一覧|歴代トップ6と記録が出やすい条件を紹介

競馬の古いコースレコード一覧|歴代トップ6と記録が出やすい条件を紹介のアイキャッチ

2025年6月29日に開催された函館記念(G3)において、勝ち馬のヴェローチェエラが1分57秒6のコースレコードで勝利しました。

函館記念の舞台である函館芝2,000mの従来のコースレコードは1988年の函館記念においてサッカーボーイが記録した1運57秒8でした。

ヴェローチェエラの時計は、サッカーボーイの時計を0.2秒更新し、実に37年ぶりの記録更新だったのです。

ところでJRAのコースレコードを見てみると、20世紀のレコードが未だに残されているレースもあります。

そこで今回は中央競馬のコースレコードの中から、最も古いレコード記録をランキング形式でまとめました。

併せて、コースレコードが出る条件に付いても解説しているので、レコードがどのように出るのか興味がある方はぜひ参考にしてください。

※本記事は2025年6月29日時点の内容です。

目次

中央競馬の古いコースレコードランキングトップ6

中央競馬の古いコースレコードランキングトップ6の見出し

最初に、2025年時点で中央競馬で使用されているコースの中から、今なお残り続けている20世紀(1999年以前)のを6つ紹介します。

なお、この記事は2025年6月29日のものなので、今後レコードが更新される可能性もあります。

また、レコードタイ記録がある場合でも掲載しています。

1位.中山ダート1,800m キヨヒダカ 勝ち時計1分48秒5

歴代最古のレコード記録は1983年1月に中山ダート1,800mでキヨヒダカが打ち出した1分48秒5です。

グレード制導入前の記録で40年以上も更新されていない記録なので、スピードに長けたダート馬のイメージが強いですが、キヨヒダカにとってこのレコードレースは生涯初のダート戦でした。

そもそもキヨヒダカは芝出身の馬で、1983年の安田記念や京王杯オータムハンデキャップ(現在の京成杯オータムハンデ)。新潟大賞典を勝利しています。

しかしながら、初めて挑んだこのダート戦は重馬場で高速ダートだったこともあり、芝で培ったスピード能力が活かされたのです。

なお、今日のキヨヒダカは重賞馬というイメージよりも、中山ダート1,800mのレコードホルダーというイメージが強いです。

なぜなら、競馬新聞で中山ダート1,800mのレースが取り上げられる際、レコードホルダーとして出馬表に名前が掲載されているからです。

40年以上も打ち破られていない記録を更新する馬は果たして現れるのでしょうか。

1位.中山ダート2,400m ピーチシャダイ 勝ち時計2分28秒8

キヨヒダカが更新した1983年1月6日にもうひとつのレコードが出ていました。

中山ダート2,400mにおいて、ピーチシャダイが記録した2分28秒8です。

この日の中山ダートは一日で2つもレコードが更新されているので相当時計が出ていたことが分かります。

なお、ピーチシャダイが記録した中山ダート2,400mは近年年間数が10回ほどしかありません。

キヨヒダカが記録した中山ダート1,800mが年間130~140回ほど開催されていることを考えると、ピーチシャダイの記録が不滅のレコードとして残る可能性の方が高いと考えられます。

3位.札幌ダート1,000m ミリオンセンプー 勝ち時計57秒5

歴代3番目に古い記録は1990年にミリオンセンプーが記録した札幌ダート1,000mです。

ミリオンセンプーは短距離であれば芝・ダート問わず結果を残しており、この記録も良馬場ダートの条件下で叩き出しました。

なお、同コースで行われた2016年のおおぞら特別(2勝クラス)の勝ち馬メジャーフォルムも同タイムでレースを制しています。

しかし、このおおぞら特別は時計の出やすい重馬場だったので、良馬場でコースレコードを残したミリオンセンプーの方が価値はあると考えられます。

4位.中山芝3,600m エアダブリン 勝ち時計3分41秒6

歴代4番目に古い記録は1994年にエアダブリンが記録した中山芝3,600mです。

中山の芝3,600mはグレード制が導入された1986年以降、毎年12月に開催されるステイヤーズステークス(G2)のみ使用される専用コースです。

エアダブリンのレコードはコースレコード兼レースレコードとして今も破られていません。

もっとも、近年は中山競馬場も芝コースの高速化が進んでいるので、スピードとスタミナに長けた馬が今後はこの記録を更新するかもしれません。

5位.札幌芝1,000m オギティファニー 勝ち時計56秒5

歴代5番目に古い記録は1996年の札幌芝1,000mでオギティファニーが記録した56秒5です。

該当レースは当時札幌芝1,000mのオープン競走として創設されたばかりのキーンランドカップでした。

キーンランドカップは1996年から1999年まで札幌芝1,000mとして開催され、2000年から1,200mに延長し、2006年以降にG3に格上げされ、現在の形となりました。

オギティファニーは初代キーンランドカップの勝ち馬であると同時に、札幌芝1,000mのレコードホルダーとして名前を残しています。

6位.福島芝1,800m アンブラスモア 勝ち時計1分45秒3

歴代6番目に古い記録は1998年にアンブラスモアが福島芝1,800mで記録した1分45秒3です。

勝利した吾妻小富士オープンにおいて、逃げの競馬でレコードを残しています。

なお、このときクビ差で2着のクロカミも同タイムで入線し、3着のジェラスガイはアンブラスモアの0.1秒差で走破していることから、この日の福島は時計が出やすかった傾向があるでしょう。

なお、2024年のラジオNIKKEI賞(G3)の勝ち馬オフトレイルも同タイムでレコードタイの記録で走破しましたが、2着のシリウスコルトも同タイムで入線していることから、時計の出る馬場が好時計につながっていました。

競馬のコースレコードが出る条件とは?

競馬のコースレコードが出る条件とは?の見出し

レコードタイムは20世紀以前のものもいくつかありますが、近年は全体的にレコードタイムが更新されることが増えてきました。

どうして近年の競馬はレコードが良く出るのでしょうか。

ここからは、コースレコードが出る条件を5つ紹介します。

芝なら良馬場、ダートは重~不良馬場が望ましい

競馬は屋外で開催さる競技なので、雨風の影響を受けます。

そして、馬場も含水量に応じて良馬場から不良馬場まで4段階の表記でコンディションを表しています。

実は、時計が出る条件とは馬場条件によっても大きく左右されます。

例えば、芝コースの場合は良馬場がもっとも時計が出やすく、稍重⇒重⇒不良になるにつれてタフになります。

タフな馬場の場合はどれだけスピード能力に長けていたとしても、スピードが乗らないので時計は出ません。

対して、ダートコースの場合は馬場が重くなるほど時計が出るようになります。

ダートは良馬場ほど乾いていて脚が地面に深く刺さりますが、水分を含んだ重馬場や不良馬場は波打ち際の海岸のように砂が引き締まって固いことから時計が出るようになります。

半世紀近く記録が破られていないキヨヒダカやピーチシャダイのダートレコードも重馬場のものだったので、ダートの場合は馬場が悪化することで時計勝負になると考えたいです。

芝コースは開幕週ほど時計が出る

中央競馬のレースは1カ月から2カ月近く同じ競馬場で開催されます。

開幕週から最終週まで芝のレース番組は盛り込まれていますが、芝状態は開幕週ほど良く、開催後期になるにつれて悪化します。

芝は馬場状態が良いほど時計が出る傾向にあるため、同じコースでも開催最終週より開催初週のほうが時計が出るようになっています。

ただ、近年は馬場造園課の技術も向上しており、開催後期でもレコードが出やすい馬場づくりが積極的に行われているため、同週のレースを見ながら時計の出る馬場かどうか見極めたいです。

競走馬のレベルも上がっている

競走馬のレベルが上がっていることもレコード記録の条件として挙げられます。

そもそも競馬とはレースを通して強い競走馬を見定め、強い馬を種牡馬もしくは繁殖牝馬入りして交配し、両親の能力を引きついだ仔を育成するサイクルが繰り返されています。

少し中二くさい言い方をすると、強い馬づくりを繰り返すことによってより強い馬づくりが行われているのです。

このサイクルが続く以上、両親よりも能力の高い馬が出てくるのは自然な流れといえるでしょう。

ifの話になりますが、2000年代に活躍したディープインパクトが、キタサンブラックやイクイノックス、アーモンドアイと戦ったら果たして勝てるのか、想像するだけで面白いです。

個人的には馬づくりのサイクルを考えると後世の馬のほうが先着するのではないかと考えています。

JRAの高速馬場主義も影響

近年はこれでもかというほどレコードタイムが目につくようになりましたが、これはJRAの高速馬場主義も影響していると考えられます。

2018年のジャパンカップ(G1)において、当時3歳牝馬だったアーモンドアイが芝2,400mの舞台を2分20秒6で走破しました。

後半から早いラップを刻みながら勝ち切ったレース内容もさることながら、勝ち時計2分20秒6は東京芝2,400mのコースレコードのみならず、世界の芝2,400mの中でも最速だったのです。

世界レコードを更新したことは全国の競馬ファンだけではなく、競馬関係者にも衝撃を与えました。おそらく中央競馬関係者にとっても例外ではなかったでしょう。

個人的な考えになりますが、アーモンドアイのレコードがきっかけになったかは定かではありませんが、ちょうどこのあたりから本格的な高速馬場傾向がみられるようになったような気がします。

もちろん、時計の出る馬場づくりをJRA側が技術として活かしている点や、競走馬のレベルが向上したこともレコードに影響しています。

それでも2025年の春の東京G1シーズンは土曜日が雨で稍重でしたが、日曜の良馬場で一気に回復して時計が出るようになったのは人為的なものがあると考えています。

今後は前日の馬場傾向がアテにならない日がくるかもしれません。

馬場更新直後ほど時計が出る

あまり世間で知られていませんが、中央競馬の芝コースは年に一度全面張替え工事が行われます。

更新時期は競馬場ごとに異なり、下記の時期に張替えが行われます。

競馬場開催時期張替え時期
札幌競馬場9月から11月
函館競馬場9月から10月
福島競馬場春・夏・秋春開催終了後に内側
夏開催終了後に全体
新潟競馬場春・夏・秋春開催前に内側
春開催終了後にBコースを張替え
中山競馬場春・秋・冬春開催終了後
東京競馬場春・秋・冬冬開催終了後
中京競馬場春・夏・冬春開催終了後
京都競馬場春・秋・冬春開催終了後
阪神競馬場春・夏・秋夏開催終了後
小倉競馬場夏・冬冬開催終了後
参考文献:『馬場のすべて教えます』小島友実 著(主婦の友社)

競馬の芝コースは馬場が張替えされた直後ほど時計が出やすく、更新前ほど時計がかかる特徴があります。

例えば、新潟競馬場は冬時期を除いた3シーズンで開催されますが、内側が更新された直後の夏開催時期は時計が良く出ます。

対して、春開催時期は意外に時計が出ていません。

同時期に開催される東京や京都と比較しても時計がかかりやすい背景には、芝の更新タイミングが影響しています。

野芝と洋芝では野芝の方が時計は出る

中央競馬の芝コースは全国すべて共通ではなく、下記の3種類の馬場があります。

芝の種類特徴使用競馬場
全面野芝国産の芝で時計が出やすい。
寒さに弱く、冬になると茶色くなる
新潟競馬場
夏の小倉競馬場
秋の中山・阪神競馬場
全面洋芝寒冷型芝草で、野芝が揃わない北海道地方で使用される
時計は掛かりやすく、パワーが問われる
札幌・函館競馬場
野芝と洋芝のブレンド野芝の上に洋芝を蒔いたもの
冬でも芝コースが緑に見えるのはこのブレンドのおかげ
時計は出やすく野芝の効果が強い
上記以外
参考文献:『馬場のすべて教えます』小島友実 著(主婦の友社)

各地域によって気候が異なるため、気候に応じた品種の芝を使っています。

この芝の種類はレースにも影響しており、具体的には全面野芝がもっとも時計が出ます。

夏の新潟や小倉、秋の中山と阪神は全面野芝でレースが行われますが、2024年の紫苑ステークス(G2)でクリスマスパレードが記録した1分56秒6のレコードは秋の中山開催開幕週で飛び出しました。

芝の張替え直後+開幕週の良馬場+全面野芝など、時計の出る条件がいくつも重なったことで、同年皐月賞(G1)のレコード記録を上回る時計が出たといえます。

2023年9月に阪神競馬場で行われたローズステークス(G2)を勝利したマスクトディーヴァも世界レコードを更新する1分43秒0で勝利しました。

これもクリスマスパレードの紫苑ステークス同様、時計の出る条件がいくつも重なって生まれた結果といえるでしょう。

なお、洋芝は3つの馬場の中でもっとも時計が出にくいといわれているので、札幌や函館ではスタミナやパワーのある馬のほうが活躍傾向にあります。

サッカーボーイのレコード記録はなぜ破られたのか

サッカーボーイのレコード記録はなぜ破られたのかの見出し

1980年代に活躍したサッカーボーイは最優秀スプリンターを手にした馬で、産駒には菊花賞馬のナリタトップロードやヒシミラクルおじさんでおなじみのヒシミラクルがいる名馬です。

しかし、近年のサッカーボーイは種牡馬だけではなく、函館芝2,000mのレコードホルダーとしても知名度を残していました。

ところが、冒頭でもお伝えしたように、2025年の函館記念(G3)において勝ち馬ヴェローチェエラがサッカーボーイのレコード記録を0.2秒更新したことで、37年間破られなかった記録がついに更新されたのです。

どうして、ヴェローチェエラはサッカーボーイの記録を塗り替えられたのでしょうか。

もちろん、競走馬の能力が高かった可能性もありますが、それ以上に影響があるのは2025年の函館は函館らしからぬ高速馬場傾向にあるでしょう。

そもそも函館競馬は高低差のある全面洋芝ということで全競馬場の中でも特に時計は出にくい傾向があります。

ところが、2025年の函館芝レースは異常に時計が出ており、初週の新馬戦(芝1,000m)において、勝ち馬カイショーが1997年にソロシンガーの記録を0.6秒も更新する56秒4で勝利しました。

同日開催された函館スプリントステークス(G3)も勝ち馬カピリナがコースレコードを更新しており、とにかく時計勝負になっていたのです。

また、函館記念は例年7月中旬の函館開催終盤で開催されていました。

ところが2025年はレーススケジュールの大幅な改正により、開催3週目に組み込まれています。

芝の痛みがそこまで目立たない時期に開催されたことと、例年らしからぬ高速馬場が重なったことで、結果としてサッカーボーイのレコードは塗り替えられたのでした。

競馬の古いコースレコードランキング:まとめ

競馬の古いコースレコードランキング:まとめの見出し

今回は競馬の古いコースレコードやレコードの出る条件、おまけでサッカーボーイの記録が塗り替えられた理由について解説しました。

古いレコードは半世紀前のものが未だあるように、意外に破られていないものもあります。

しかし、近年は高速馬場傾向の馬場づくりや競走馬のレベルアップに伴い、さらなる時計決着が見られました。

サッカーボーイの記録が更新されたように、今後は古い記録も塗り替えられる日が来るかもしれません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次