夏競馬とは、一般に7月から8月頃に開催されるレース期間を指しますが、正式な定義ではありません。また、ローカル競馬場で開催されるという特色もあります。
そして、この時期にG1レースは開催されません。
これは、春に開催されたレースで激戦を繰り広げた有力馬が、秋のG1レースに備えるため、夏場にしっかり休養をする必要があるのです。
また、馬というのは、寒さよりも暑さに弱いものですので、夏は馬にとってオフシーズンともいえるでしょう。
さらに、夏競馬には、東京、中山、京都、阪神といった主要4場の芝を養生させる役目もあります。これは、秋から主要競馬場で行われるG1レースを始めとするレースに備えるためです。
そんな夏競馬に対して、春競馬や秋競馬に比べるとつまらないと思われる方が多いと聞きます。
そこで今回は、夏競馬の楽しみ方について紹介します。
夏競馬にもそれぞれ面白い点は多々ありますので、ぜひ参考にしてみてください。
夏競馬がつまらないと言われる3つの理由とは?

まずは、競馬ファンの中でも夏競馬がつまらないと言われる理由について考察しました。
1つ目の理由は、冒頭でもお伝えした通り、G1レースがないことです。
競馬の花形といえば、G1レースですが、夏競馬にはG1レースがありません。
さらにG2レースとなれば、札幌記念のみとなりますので、それ以外の重賞はすべてG3に指定されています。
よって、G1レースが存在しないことが、つまらないといわれる理由の1つと考えられます。
2つ目の理由は、スターホースが不在になることです。
こちらも冒頭にお伝えした通り、夏競馬でスターホースが参戦することは非常に稀です。
春競馬で死力を尽くした有力馬は、夏は無理せずに放牧地でリフレッシュし、秋に備えることが一般的です。
やはり、その時のトップホースが参戦してこそ、競馬は盛り上がると思われます。
有力馬が不在となる夏競馬では、春や秋のG1シーズンと比較して盛り上がりに欠けるのは致し方ないのかも知れません。
そして、3つ目の理由として、なかなか馬券が的中しにくいからだと考えられます。
それは、馬の実力が均衡しているレースが多いため、夏競馬は荒れやすい=なかなか当てることが難しいといわれています。
その分、的中すれば、高配当も期待できますが、なかなか当たらないのが夏競馬です。
一向に当たらなければ、なんのために馬券を購入しているのか分からなくなるほど、夏競馬を当てるのは容易ではありません。よって、馬券が的中しにくいから、つまらないという方が多いのも納得できますね。
さて、夏競馬がつまらない理由として考えられる点を3つ上げましたが、次からは、そのつまらないを解消する方法を紹介していきます。
夏競馬の楽しみ方①|未来のスターホースを新馬戦から発掘!

夏競馬での楽しみの1つに2歳新馬戦が挙げられます。
以前はクラシックを目指す若駒たちは、秋競馬でデビューしていく傾向にありました。
しかし、ここ数年は、話題を集めているような評判馬でも、早期にデビューをさせるケースが増えてきています。
たとえば、2023年に牝馬三冠を達成したリバティアイランドは、夏の新潟デビューから、その才能を発揮しました。
これは、牧場での育成技術が向上したことで仕上がりの早さにあると考えられます。また、早い時期に勝ち上がりをみせることで、その後のローテーションを組みやすくなることも夏競馬でのデビューにつながっているかも知れません。
そして、さらなる成長を期して、育成施設のある牧場での再調整もしやすくなるといったメリットもあります。
合わせて、JRAの番組構成も早い時期の2歳新馬戦の条件が、従来のスプリント中心からマイルや中距離と距離の幅が広がったため、未来のクラシックホースのデビューが多く見られるようになりました。
よって、毎週のようにデビューを重ねていく2歳馬、未来のスターホースを探すことが夏競馬の面白さの1つにあると思います。
夏競馬の楽しみ方②|3歳未勝利戦が熱くなる本当の理由

先ほどの2歳新馬とは逆に「出会いもあれば、別れもある」ではないですが、3歳未勝利馬にとって、夏競馬は運命の別れ道的な時期でもあります。
実は、3歳の未勝利戦は9月上旬頃までしか開催されません。
そのため、夏の3歳未勝利馬戦はそれまでの未勝利戦とは打って変わり、力の入れ具合が違ってきます。
そして、夏競馬が終わると未勝利クラスの馬は、未勝利戦がないため、繰り上げで1勝クラスに挑むしか道は残されていません。
これは、未勝利馬にとって、格上挑戦となる1勝クラス馬を相手にすることは、かなりの実力差がある中での戦いを強いられることを意味します。
そのため、勝ち星を手にできなかった未勝利馬は、引退するか地方競馬に転厩することが多いです。逆に8月末までになんとか勝ち星を掴むと1勝クラスに駒を進められます。
もちろん、馬主や厩舎関係者の多くは管理する大事な馬を引退に追い込みたくありません。
そして、夏競馬での3歳未勝利戦で上位人気に支持された騎手は、たとえトップジョッキーでさえ、すごく緊張するそうです。
このことについて、川田将雅騎手は「基本的には、ここで勝ち上がらないとJRAには残れない。文字通り、あとがないわけで普段以上に強い責任感を持って臨んでいます。」と心情を語っています。それくらい未勝利馬に騎乗する騎手にとっても瀬戸際だと伝わってきますね。
よって、夏競馬の未勝利戦は、生き残りをかけた戦いとなります。
この点も競馬ファンにとっては、つまらないを解消し、熱くなれる部分ではないでしょうか。
夏競馬の楽しみ方③|サマーシリーズで重賞シーズンを満喫!

サマーシリーズとは文字通り、夏競馬でしか開催されない1つの大会形式です。
サマーシリーズは、指定されたレースの上位勢にポイントを分配し、すべてのレース終了後に合計ポイントが最も多い馬が優勝となります。
なお、サマーシリーズは、以下の3つに分けられています。
・サマー2000シリーズ
・サマースプリントシリーズ
・サマーマイルシリーズ
なお、優勝した馬および管理する厩舎には、褒賞金が与えられますので、G1などの重賞レースとは少し違った部分において夏競馬を楽しむことができると思います。
ワールドオールスタージョッキーシリーズも面白い
ワールドオールスタージョッキーシリーズとは、外国の騎手や地方の騎手がJRA所属の騎手とレースを行い、どれだけ多く入線できるかを競う1つの大会をいいます。
毎年、キーンランドカップが開催される8月の第4週目に開催されることが多く、普段は目にすることができない海外の超一流騎手なども参戦するとあって、いつもとは違う形で競馬を楽しめます。
なお、出場できる騎手は、外国騎手・地方競馬所属騎手7名、JRA代表騎手7名の計14名で争われます。
さらにJRA代表騎手の選定順位は、
①本年の日本ダービー優勝騎手
➁前年のJRA賞騎手部門「MVJ」受賞者
③勝利数東西各上位1名(期間はその年の宝塚記念開催週までの勝利数)
④JRAの選考委員会で選出された騎手
⑤勝利数上位の騎手(期間はその年の宝塚記念開催週までの勝利数)
となっています。
2024年では、横山典弘騎手と岩田望来騎手が出場を確定していることになりますね。
また、上記の個人戦に加え、出場騎手を海外騎手と地方競馬所属騎手のワールドオールスターズ選抜とJRA選抜に分け、チームの合計得点を競うチーム対抗戦も合わせて行なわれます。
こちらは、前述しました通り、8月の第4週目の2日間、合計4レースで争われますので、夏競馬の締めくくりとしても非常に盛り上がる取り組みとなっています。
まとめ:夏競馬はつまらない?楽しむための視点を変えてみよう

今回は、夏競馬はつまらないをテーマに、その理由と解消方法について紹介しました。
特に夏競馬限定で行われるサマーシリーズやワールドオールスタージョッキーシリーズは、夏競馬の恒例行事として定着しています。
これだけでも夏競馬の面白さが充分にあるといえます。
さらに、2歳の若駒たちから瀬戸際に迫った3歳未勝利馬たちの戦いにも目が離せません。
夏競馬がつまらないと思われている方には、上記に挙げた4つの楽しみ方で夏競馬の観点が少しでも変わってくれると嬉しい限りです。