中央競馬の春の大一番である日本ダービーが終わると、すぐに新馬戦が始まります。
これは、これまで一度もレースに出たことがない2歳馬たちが、初めて挑むデビュー戦です。
「新馬戦って何?」「予想はどうすればいいの?」と疑問を持つ方も多いかもしれませんが、このレースは将来のG1馬やスターホースが誕生する競馬の原点ともいえる重要な舞台です。
本記事では、新馬戦の意味やルール、未勝利戦との違い、2025年の注目ポイントまでをわかりやすく解説していきます。
競馬の新馬戦とは?

中央競馬で新馬戦とは、これまでに一度もレースに出たことのない競走馬が初めて出走するレースのことを指します。
競馬ファンの間ではメイクデビューという名称でも知られており、将来の有力馬がここから羽ばたいていく重要な一戦です。
以下では、新馬戦の定義や出走資格、他のレースとの違いを詳しく解説します。
新馬戦の定義
新馬戦とは、その名の通り新しい馬たちの戦いです。
出走資格は一度も競走に出たことのない馬に限定されており、中央競馬(JRA)では主に2歳馬が対象です。
新馬戦は、競走馬の実力を初めて見る舞台でもあり、血統や調教内容に注目が集まります。
なお、新馬戦に出られるのは一生に一度きり。1度出走して負けた場合、次は未勝利戦などに進むことになります。
メイクデビューとの違い
JRAでは、新馬戦を「メイクデビュー(Make Debut)」と呼んでいますが、これは単にJRAが付けたキャッチコピー的な公式名称です。
レースの内容としては従来の新馬戦と同じで、初出走馬のみが対象です。
メイクデビューという表現は少し華やかに聞こえますが、実際には競走馬がプロの世界に足を踏み入れる第一歩を聞こえのいいように改名しています。
なお、地方競馬ではフレッシュチャレンジやスパーキングデビューなど、さらにで表記が異なることがありますが、名称が多いためここでは割愛します。
未勝利戦との違いとは?

新馬戦と未勝利戦は、どちらもキャリアの浅い馬が出走する点では共通していますが、その性質は大きく異なります。
新馬戦は初出走馬限定のレースであり、1頭の馬が出走できるのは一生に一度きりです。
一方、未勝利戦は、すでにレースに出たことがあるが、まだ1勝もしていない馬が出走できるレースで、複数回の出走が可能です。
新馬戦で負けた馬は、次走から自動的に未勝利戦に回ります。
未勝利戦で勝てば、1勝クラス(旧500万下)へ進級できますが、3歳の9月までに1勝できない場合は未勝利戦自体が無くなるため、1勝クラスを選ぶか地方へ移籍、もしくは抹消を迫られます。
このように、新馬戦は競走馬にとって最初で最後の初陣であり、未勝利戦はその敗退後の再挑戦の場という位置づけなのです。
新馬戦の開催時期と場所

新馬戦は例年6月上旬からスタートし、全国の競馬場で順次開催されます。
出走する2歳馬たちは、芝やダート、さまざまな距離の条件下でレースを経験し、次なるステップへと進んでいきます。
ここでは、新馬戦の開催時期、実施される競馬場、レース距離の傾向について詳しく見ていきましょう。
開催時期は6月から翌年2月まで
新馬戦は毎年、日本ダービーの翌週となる6月上旬に開幕します。
初戦は函館競馬場や東京競馬場で行われるのが恒例です。
2歳馬のデビュー戦として位置づけられており、夏の函館・福島・小倉開催を皮切りに、秋は中山・阪神などへ舞台を移して実施されます。
翌年2月の下旬まで行われ、年末から翌年にかけてはクラシックを見据えた有力厩舎の本気仕上げも多く、勝ち上がり馬のレベルも上昇傾向にあります。
春のクラシックへつながる第一歩として、新馬戦のスタート時期は競馬ファンにとっても注目のタイミングです。
実施される主な競馬場
新馬戦は中央競馬(JRA)の各主要競馬場で行われます。
夏は主に函館、小倉、新潟などのローカル場で実施され、秋からは中山、阪神、東京、中京など中央開催場でも本格化します。
特に秋になると東京芝1,600mや中山芝2,000mなど、クラシック路線を意識した条件が組まれることから、将来を見据えてこのあたりでデビューする馬も少なくありません。
また、ダート戦も年間を通して複数組まれ、ダート向きの血統や馬体を持つ馬たちの登竜門として機能しています。
競馬場ごとに芝の質や坂の有無が異なるため、馬の適性や育成方針によって出走先を選ぶことも重要です。
レース距離は1,000〜2,000mまで幅広い
新馬戦は、芝・ダートともに1,000mの短距離から、クラシックを意識した2,000mの中距離まで、さまざまな距離でレースが行われます。
夏開催時期は重賞レースの多くが短距離からマイルのものが多いため、新馬戦も芝1,200〜1,600mの舞台が多いです。
秋が深まるにつれて芝1,800〜2,000mの中距離戦も増え、スタミナや持続力を測る舞台も整います。
調教師や馬主によっては「仕上がりの早い短距離」「じっくり育てる中距離」など、狙う距離によってデビュー戦を選ぶのが通例です。
なぜ新馬戦は注目されるのか?

新馬戦は、ただの初出走レースではありません。
そこには未来のG1馬が隠れている可能性があり、競馬ファンにとっては夢と期待が詰まった舞台です。
また、POG(ペーパーオーナーゲーム)と密接に関わっており、多くのファンが勝ち上がりを見届ける重要な一戦として注目しています。
ここからは、新馬戦の魅力についてもう少し詳しく解説します。
将来のG1馬がここから始まる
新馬戦の最大の魅力は、将来のG1ホースが数多く誕生する場であるという点です。
ディープインパクト、アーモンドアイ、イクイノックスなど、歴代の名馬たちはすべてこの新馬戦から競走馬としてのキャリアをスタートさせました。
最初は無名でも、レース内容や調教で光る素質を見せた馬が後にクラシックや海外G1を制する例も少なくありません。
その原石を見つけ出すことこそ、新馬戦を観戦する最大の楽しみではないでしょうか。
ファンや評論家の間でもどの馬が化けるかに注目が集まります。
POGの盛り上がりと連動している
POG(ペーパーオーナーゲーム)は、仮想的に2歳馬を指名し、どれだけ活躍するかを楽しむ競馬ファン向けのゲームです。
新馬戦はその初陣にあたるため、POGユーザーにとっては一大イベントともいえる存在です。
指名馬のデビュー戦で勝てば大きなポイントとなり、逆に敗れると未勝利戦に回るなど、先行きに直結するだけに一戦一戦が重要になります。
そのため、新馬戦の開催時期はPOG界隈でも話題性が高く、SNSや専門メディアでも注目馬の動向が盛んに取り上げられます。
新馬戦を楽しむためのポイント

新馬戦は予想が難しい分、楽しみ方も奥深いレースです。
血統や調教タイムといった情報をうまく活用すれば、デビュー前から「この馬は走る」と見抜く面白さがあります。
ここでは、初心者にもおすすめできる新馬戦観戦・予想の基本ポイントを紹介します。
血統(父・母系)の特徴をチェック
新馬戦では、まだ実戦経験がないため、血統が最大の手がかりとなります。
例えばスピード型の血統(ロードカナロア、ダイワメジャーなど)は芝1,200〜1,600mの新馬戦で好走しやすく、パワー型の血統(ヘニーヒューズ、ゴールドアリュールなど)はダート戦で強さを発揮します。
また、母系からスタミナや成長力の傾向も読み取れるため、父と母の組み合わせによって狙い目が見えてくることも珍しくありません。
血統表を眺めることで、どんなタイプの馬なのかを予想する楽しみが広がります。
調教タイム・追い切り内容を見る
新馬戦では、過去のレース成績がないため、直前の調教内容が非常に重要です。
とくに注目すべきは、坂路やウッドコースでの追い切りタイムです。ラスト1F(200m)の時計が鋭ければ決め手にきたいできるでしょう。
また、併せ馬で格上の相手に先着している馬や、1週前に強め→最終追い切りで軽めという調整パターンの馬も好走例が多くあります。
調教タイムとあわせて、動きの滑らかさや騎手の騎乗ぶりなどもチェックすることで、仕上がり具合を把握することができます。
まとめ|新馬戦は競馬の入口であり未来への扉

新馬戦は、競走馬にとって初めての舞台であり、ファンにとっては未来の名馬と出会う貴重な瞬間です。
血統や調教、デビューの背景を知ることで、レースの奥深さと面白さが格段に増します。
今は無名の存在が未来のG1馬になるかもしれない――。
その第一歩を見届けられるのが新馬戦なのです。