地方競馬全国協会は、2025年4月10日に現在オーストラリアで活躍中のR(ライアン).クアトロ騎手(以下クアトロ騎手)に短期騎手免許を交付したことを発表しました。
クアトロ騎手は2017年に日本での短期騎手免許を初取得以降、今回で4回目となり、これまで地方競馬で50勝以上を挙げている実力派ジョッキーです。
しかし、JRAよりどうしても知名度が低くなる地方競馬での活躍は、競馬ファンの中でもあまり知られていないのが現状だと思います。
そこで今回は、クアトロ騎手について詳しく紹介していきたいと思います。
これを機にクアトロ騎手の魅力や実績を知っていただき、馬券購入の際などでぜひ参考にしてみてください。
地方競馬で活躍しているR.クアトロ騎手とは?

クアトロ騎手は1992年4月29日にフランスで生まれました。クアトロ騎手のキャリアは、フランスのシャンティイにある名門・ル・ムーラン・ア・ヴァン騎手学校で始まります。
そこで一流のトレーニングを受ける中、持ち前の馬術センスによって、2009年にはフランスで騎手免許を取得。さらに翌年には、国際的なチャンスに目を向けるようになり、アメリカ・ニューヨーク州でも騎手免許を取得しました。
その後、クアトロ騎手はアメリカ・フロリダ州のカルダー競馬場にて、わずか1週間後に初勝利を収めるといったアメリカ競馬ファンにインパクトを残すと、ガルフストリームパーク競馬場に移り、そこでも成功を続け、2010年シーズンには14勝をマーク。
この急速な成長がニューヨーク競馬場のトップオーナーの1人であるフライングジーステーブルのオーナー・カール・リッツァ氏の目に留まるなど、徐々に注目度を増していきます。
また、アメリカでも著名なパトリック・ビアンコーネ調教師の元でもスキルを磨き、ニュージャージー州のモンマスパーク競馬場などで経験を積むと2011年には、重賞初制覇を達成。同年のエクリプス賞最優秀見習騎手賞にノミネートされ、最終的には次点となりましたが、ファイナリスト3人まで残ったことでクアトロ騎手の実力が大きく評価されました。
こうしたクアトロ騎手の並外れた才能と闘志はアジアへと繋がり、2013年には中国・マカオにて騎手免許を取得すると、本格的なアジアの地でのキャリアがスタートしました。
その後はシンガポール、カタール、ドバイ、アメリカ、日本と複数の大陸でキャリアを築いていく姿は、まさに世界を渡るグローバルなジョッキーであり、新しい市場に適応する能力や持ち前の才能と闘争心により、クアトロ騎手は世界競馬においても有名なジョッキーの1人といえるでしょう。
なお、今回の来日も大井競馬場の藤田輝信厩舎所属となり、期間は2025年4月14日から7月4日までの約3か月間。浦和・船橋・大井・川崎の南関東地区のみ騎乗可能となります。
ただし、他地区で行われる交流競走に出走する南関東地区所属馬に限っては、関西圏や九州地方といった他地区での騎乗も可能となっています。
ちなみに騎手服は青・袖赤一本輪・白鋸歯形といった母国フランスの国旗と同じ赤・青・白をモチーフとしたものとなっているので、競馬場でもクアトロ騎手を見つけやすいのではないでしょうか。
クアトロ騎手のこれまでの実績や主な勝鞍は?

クアトロ騎手のこれまでの主な重賞勝利は、2014年のマカオから始まります。その年にマカオ・ギニー(G1)を制し、2017年にはマカオのスプリングトロフィー(G2)、マカオゴールドカップ(G1)といったレースで優勝。若干24歳にして、マカオのトップジョッキーの地位を確立し、名声を確固たるものにしました。
その後、2018年からシンガポールに拠点を移します。ただ、当時のシンガポール競馬は競走水準が非常に高かったのですが、クアトロ騎手の並外れた才能が遺憾なく発揮され活躍を見せると、同年12月には中東のカタールに移り、フルムーンでカタールダービー(G1)を制覇。国際的に有名なジョッキーとしての地位をさらに高めました。
さらに翌2019年4月には、韓国馬事会から短期騎手免許を取得し、ソウル競馬場にて騎乗。半年後には、再びカタールに拠点を移し、エクスミスでカタールオークス(G3)を制するなど、この年も大きな成功を収めています。
そして、2021年には、ドバイにて騎手免許を取得するとキャリアを中東へと移し、世界でもっとも資金力のあるカタールとドバイでキャリアを積んで、2022年にはアメリカ・カリフォルニア州にて騎手免許を取得と現在も世界各地を飛び回る活躍が注目を浴びています。
クアトロ騎手の日本での実績は?

世界を渡り続けるクワトロ騎手の初来日となったのは、2017年のこと。地方競馬の短期騎手免許を取得し、大井競馬の藤田輝信厩舎に所属する形で9月6日から12月5日までの約3か月間の滞在でした。
そして、日本での初勝利となったのが、同年9月11日に大井競馬場で行われた第12レースの花野賞で3番人気に支持されたコウギョウダニエルに騎乗し優勝。これは日本での初騎乗から数えてわずか6戦目でのことでした。
また、最終騎乗日となった12月1日の大井競馬での第11レース、スマイルシティ・品川特別(A2B1)選抜戦では、2番人気のキャンドルグラスに騎乗し優勝し29勝目をマーク。
これは、アラン・ムンロ騎手と並ぶ地方競馬短期免許取得外国人騎手最多勝利数タイ記録(当時)となりました。
こうして、クアトロ騎手の適応力とスキルを浮き彫りにさせた形で日本でも注目を集める存在となります。
その後、次の来日には約6年ほど開きましたが、前回に続き南関東公営競馬での短期免許を取得し、2回目の来日となった2023年は7月31日から10月30日の約3か月間で所属先も前回同様に大井の藤田厩舎です。
そして、同年8月4日に大井競馬で行われた第1レースにて、1番人気だったアイミーハイティーを勝利に導いています。
しかし、翌月の9月4日、大井12レース・サファイア賞では、フォラステロに騎乗中、向こう正面で落馬してしまい、競走中止となってしまいます。
その後の診断で左肩甲骨の骨折が判明し、やむなく予定を早めての帰国を余儀なくされました。
落馬のために予定よりも早い帰国となったため、この年は15勝と前回来日よりも勝利数は半数近く減りましたが、それでも日本の競馬ファンには、その実力が目に焼き付いたと思います。
しかしながら、クアトロ騎手は骨折を完治させ、翌2024年に再び来日しています。
3度目の来日は10月14日から12月6日までの約2か月間、これまでと同じ体制で南関東競馬に参戦。この年は騎乗初日となった10月14日の大井競馬第7レースの「品川かえで賞」でスーパークールを1着に導き、この年の日本での初勝利を挙げると、最終的には105戦14勝の実績を残しました。
なお、2025年の来日では、2025年4月22日現在で24回騎乗し3勝2着1回3着1回と勝率13%、連対率17%、複勝率21%の成績を残しています。
まだ、来日して10日ほどしか経っていませんし、残された滞在期間は約2か月以上もありますので、今年こそはミカエル・ミシェル騎手が持つ地方競馬短期免許取得外国人騎手最多勝利数記録(30勝)を上回る活躍を期待したいですね。
クアトロ騎手:まとめ

今回は、クアトロ騎手について紹介しました。
クアトロ騎手のキャリアは、フランスでの初期の頃にアメリカでの華々しいデビューから始まり、その後のアジアや中東、オーストラリア、そして日本での勝利は、一貫して世界を渡るジョッキーの1人であることを証明してきました。
これは、クアトロ騎手の並外れた才能、野心、そして最高レベルで成功しようとするたゆまぬ努力の証だと思います。
これからもクアトロ騎手には、日本での活躍も含め、さらなる飛躍に期待したいところです。