【競馬初心者向け】クラシック三冠の格言「速い馬・運のいい馬・強い馬」は本当か?

クラシック三冠の格言とは?

春と言ったらクラシックレースですが、牡馬が出走できる皐月賞・ダービー・菊花賞には古くから下記の格言が存在しています。

  • 皐月賞は最も速い馬が勝つ
  • ダービーは最も運のいい馬が勝つ
  • 菊花賞は最も強い馬が勝つ

競馬に親しまれている方はどこかで耳にしたことがあるかもしれませんが、実際のところなぜこのような格言が伝えられているのかいまいちよくわかっていない方もいるはずです。

そこで、当記事ではクラシック三冠の格言の真意についてまとめました。

目次

皐月賞――「最も速い馬が勝つ」

皐月賞の格言

皐月賞はクラシック初戦であり「最も速い馬が勝つ」と言われます。中山芝2,000mという起伏とカーブの多い舞台、そして3歳馬がまだ完成途上にある春開催という条件が、純粋なスピード能力と早期仕上げの巧拙を一度に映し出すからです。

ここからは、皐月賞が最も速い馬が勝つといわれる理由について深掘りします。

コースが速くなりやすい

皐月賞の舞台である中山芝2,000mはスタート直後に急坂を上り、向正面の下りで勢いがつき、そのまま3〜4コーナーの下り坂でペースがさらに加速します。

特に春開催は馬場の含水率が低く、良馬場なら前半1,000m通過が58.8秒台になる年も珍しくありません。

途中でペースが緩まず、ゴール直前に再び急坂が立ちはだかるため、トップスピードを長く維持できる馬がゴール前で伸び切ります。

2015~2024年の勝ち馬の上がり3F平均は34秒台で、瞬発力だけでなく高速ラップを刻み続ける持続力が物を言うレースです。

成長性の早さ

3歳春は馬体がまだ完成していない段階ですが、早期デビューを果たし、すでに重賞やオープンで力を示した馬は完成度の面で一歩リードします。

早くて6月から開催される新馬戦を経験し、2歳秋~3歳春までに重賞連対歴がある馬は、調教で速い時計を出す過程も踏んでおり、本番でも早めにギアが入ります。

反対に暮れデビューや年明け初勝利組は潜在能力が高くても調整歴が浅く、皐月賞では経験不足が響くケースが少なくありません。

春時点での仕上がり具合がそのまま着順に直結するため「成長性の早さ」も皐月賞を勝ち切る重要な要素といえます。

日本ダービー――「最も運のいい馬が勝つ」

日本ダービーの格言

東京芝2,400mで行われる日本ダービーは「最も運のいい馬が勝つ」とたとえられます。

その理由としては、実力伯仲の3歳エースが揃うなか、枠順・位置取り・進路取りといった偶然性が結果を左右しやすいためです。

ここではどうしてダービーが運がいい馬が勝つといわれているのか、枠の優劣とかつての多頭数開催が生んだ攻略難度の高さから解説します。

枠の優劣がある

ダービー週はCコース替わりとなり、内ラチ沿いの芝がフレッシュな状態です。

その影響もあり、グレード制が導入された1984年から2024年までのダービーでもっとも勝利数が多かったのは9頭の勝ち馬が出ていた1枠でした。次いで3枠の7勝が続いているように、全体として内目の枠の好走率が高いです。

ダービーの舞台である東京芝2,400mは最初のコーナーまで直線が長いとはいえ、内枠の先行馬はロスなく好位を確保し、直線でも馬場の良いインを突ける利点が大きいです。

対して、外枠はスタート直後に内へ切れ込む距離ロスが発生しやすく、折り合いを欠けば致命的なエネルギー消耗につながります。

こうした枠順差が「運」の根拠となっています。

昔は多頭数開催だった

1990年代前半までフルゲート24頭で施行されたダービーでは、外枠の馬がポジションを取り切れず後方に置かれる場面が頻繁に見られました。

馬群が縦長になりやすく、内で包まれた先行勢や、直線で前が壁になる差し馬も続出し、能力を出し切れずに敗れる例が多発しました。

現行の18頭立てでも「外を回される距離ロス」「他馬に進路を塞がれるリスク」は完全に消えません。

多頭数ゆえの交通渋滞をどう回避するかが、騎手の判断力と“巡り合わせ”に大きく委ねられる点で、ダービーは依然として運が支配しやすいレースと言えます。

菊花賞――「最も強い馬が勝つ」

菊花賞の格言

京都芝3,000mで争われる菊花賞は三冠最終戦です。

最も強い馬が勝つ」と呼ばれる理由はコースの苛酷さとメンバー構成の幅広さにあります。

ここでは総合力の必要性と、夏の上がり馬が加わることで真の実力が問われる背景を掘り下げます。

総合力が試される

菊花賞は2,000m級のスピードと3,000m級のスタミナを同時に要求する特殊条件です。

スタート直後の坂越えを2回こなし、長い下りでの早めスパートを凌ぎ、最後に急坂で再加速できる馬こそ栄冠をつかみます。

「皐月賞は速さ」「ダービーは運」に対し、菊花賞は両方を兼備しさらにスタミナを加えた“総合力”が不可欠なことから「最も強い馬が勝つ」と称されてきました。

夏の上がり馬も参戦し、真の実力が試される

菊花賞は秋開催のため、春のクラシック路線で結果を残した早熟型だけでなく、デビュー時期が遅れただけの潜在能力馬――いわゆる「夏の上がり馬」も勢ぞろいします。

暑い時期に条件戦を連勝して一気に重賞へ駆け上がった新興勢力と、春の実績馬が初めて顔を合わせることで、相対評価ではなく絶対能力の勝負になりやすいのが特徴です。

加えて3,000mという距離が、一夏で成長した馬体の充実度や精神面のタフさをあぶり出します。

早熟組と晩成組が同じ土俵で力比べを行うため、「菊花賞を制する馬=世代最強」という図式が色濃く、格言どおり真の強さが証明される舞台となっています。

クラシック三冠の格言:まとめ

クラシック三冠のまとめの画像

クラシック三冠は、それぞれ異なる資質が如実に表れるレースです。

  • 皐月賞はアップダウンの激しい中山芝2,000mで行われ、前半から速い流れになりやすいことから、トップスピードを長く維持できる早熟のスピード馬が主役になります。
  • 日本ダービーは東京芝2,400mが舞台。内枠優勢というデータが示すとおり、枠順や展開といった「運」が結果を大きく左右します。多頭数ゆえの進路取りの巧拙も勝敗を分けるポイントです。
  • 菊花賞は京都芝3,000mの長丁場で、スピード・スタミナ・精神力すべてが要求されます。夏に台頭した上がり馬と春の実績馬が激突し、世代最強が証明される場とも言えるでしょう。

このように「速さ・運・強さという格言は、各レースのコース形態や開催時期、求められる能力を的確に表しています。

三冠戦線をより深く楽しむには、馬それぞれの適性や成長曲線、そして枠順や当日の馬場状態まで総合的に見極める視点が欠かせません。

速さ・運・強さが交錯する三冠ロードの頂点に立つのはどの馬か──その歴史的瞬間を、ぜひご自身の目で確かめてください。

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