競馬のクラシックレースとは、3歳馬限定の主要な競走で、競走馬の将来を占う重要な舞台です。
日本では、牡馬混合の「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」、牝馬限定の「桜花賞」「オークス」がこれに該当します。
これらのレースは、イギリスの伝統的なクラシック競走をモデルに導入されました。
本記事では、日本のクラシックレースの概要と、これらのレースを全て制覇した「三冠馬」や「三冠牝馬」、さらに秋華賞とNHKマイルカップとの関係性について詳しく解説します。
競馬のクラシックレースとは?

クラシックレースは、競走馬の能力を評価するための伝統的な競走で、3歳馬限定で行われます。
日本のクラシックレースは、イギリスのクラシック競走をモデルにしており、牡馬混合の「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」、そして牝馬限定の「桜花賞」「オークス」が含まれます。
これらのレースは、競走馬の将来性を見極める重要なステップとされています。
また、クラシックレースを全て制覇した馬は「三冠馬」と称され、競馬界において特別な存在とされています。
最初に、三冠馬の条件や歴代の名馬たちについて詳しく見ていきましょう。
牡馬のクラシック競走を全て制覇した馬は三冠馬と呼ばれる
日本の牡馬クラシック三冠は、「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」の3競走を指します。
これら全てを制覇した馬は「三冠馬」と称され、その栄誉は競馬界で特別なものとされています。
2024年の時点で歴代の三冠馬には以下の8頭がいます。
- セントライト(1941年):日本初の三冠馬として知られ、その後の競馬史に大きな影響を与えました。
- シンザン(1964年):戦後初の三冠馬で、その名は今も語り継がれています。
- ミスターシービー(1983年):20年ぶりの三冠達成で、常識敗れの走りは多くのファンを魅了しました。
- シンボリルドルフ(1984年):無敗で三冠を達成し、「皇帝」の異名を持ちます。
- ナリタブライアン(1994年):圧倒的な強さで三冠を制し、「シャドーロールの怪物」と称されました。
- ディープインパクト(2005年):無敗で三冠を達成し、その後も数々の名勝負を演じました。
- オルフェーヴル(2011年):競馬界屈指の破天荒な三冠馬で、数多くのドラマが生まれました。
- コントレイル(2020年):父ディープインパクトに続き、無敗での三冠を達成しました。

牝馬クラシックと秋華賞を全て制覇した馬は三冠牝馬と呼ばれる
牝馬クラシックは、「桜花賞」「オークス」の2競走を指します。
牝馬クラシック2競走と、秋に開催される3歳牝馬限定の秋華賞を全てを制した馬は「三冠牝馬」と呼ばれます。2024年終了時点で歴代の三冠牝馬は以下の7頭です。
- メジロラモーヌ(1986年):日本初の三冠牝馬として、その名を歴史に刻みました。
- スティルインラブ(2003年):17年ぶりの三冠牝馬として、ファンを沸かせました。
- アパパネ(2010年):オークスでの同着優勝が話題となり、のちに三冠を達成しました。
- ジェンティルドンナ(2012年):牝馬ながらジャパンカップ連覇など、数々の偉業を成し遂げました。
- アーモンドアイ(2018年):世界レコードを樹立し、G1レース9勝を挙げた名牝です。
- デアリングタクト(2020年):史上初の無敗での三冠牝馬として、その名を刻みました。
- リバティアイランド(2023年):圧倒的な末脚で三冠を達成し、今後の活躍が期待されています。

牡馬混合クラシックと牝馬クラシックを合計3勝した馬は変則三冠馬と呼ばれる
非常に稀なケースですが、牡馬混合クラシックと牝馬クラシックを合わせて3勝した馬は「変則三冠馬」と呼ばれます。
戦前の最強牝馬と称されるクリフジは、その代表的な存在です。
彼女は1943年に「東京優駿競走(日本ダービー)」「阪神優駿牝馬(オークス)」「京都農商省賞典四歳呼馬(菊花賞の前身)」を制し、11戦全勝という驚異的な成績を残しました。
牝馬が日本ダービーを制したのは、クリフジと1937年のヒサモト、そして2007年のウオッカのみであり、その偉業は今も語り継がれています。
なお、2017年には牝馬のファンディーナが皐月賞に、2024年度はレガレイラが皐月賞とダービーに出走しましたが、勝利はありませんでした。
いかに牝馬の牡馬クラシック制覇が難しいことであるかが分かります。
競馬のクラシックレースの一覧

競馬のクラシックレースは、3歳馬限定の伝統的な競走であり、競走馬の一生において最も重要なレースの一つとされています。
それと同時に、対象となる5競走はそれぞれ異なる距離や条件で実施され、競走馬の成長や適性を試す場ともなっています。
ここでは、中央競馬で開催される5つのクラシックレースの特徴についてまとめました。
皐月賞
グレード | G1 |
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創設 | 1939年 |
開催競馬場 | 中山競馬場 |
コース | 芝2,000m |
出走条件 | 3歳牡・牝 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 2億円 |
皐月賞は、日本競馬のクラシック第一戦に位置づけられるレースで、芝2,000mの中距離レースです。
イギリスの「2000ギニー(Two Thousand Guineas)」をモデルにしており、「最も速い馬が勝つ」と言われているように、スピードと瞬発力が求められる一戦です。
春の時点での3歳牡馬・牝馬のトップクラスが集まり、皐月賞を制した馬はクラシック三冠へ向けて大きな一歩を踏み出します。
このレースを勝った馬は、次のクラシックレースである日本ダービーへと駒を進めることが一般的で、ここでの勝敗がその後の競走馬の評価に大きく影響します。
日本ダービー
グレード | G1 |
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創設 | 1932年 |
開催競馬場 | 東京競馬場 |
コース | 芝2,400m |
出走条件 | 3歳牡・牝 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 3億円 |
日本ダービー(東京優駿)は、「すべてのホースマンの夢」とも称される、競馬界で最も権威のあるレースの一つです。
東京競馬場の芝2,400mで行われ、3歳馬にとって最高の栄誉が懸かる一戦となります。
このレースは「世代最強馬決定戦」とされ、出走馬の中からその年の最も優れた3歳馬が決まる場でもあります。
皐月賞と異なり、距離が伸びることでスタミナと総合力が求められ、瞬発力だけではなく持久力やレース運びの巧みさも重要となります。
日本ダービーは数あるG1レースの中でも特に格の高いレースで、日本ダービーを制した馬は、競馬史に名を刻む存在として語り継がれます。
菊花賞
グレード | G1 |
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創設 | 1938年 |
開催競馬場 | 京都競馬場 |
コース | 芝3,000m |
出走条件 | 3歳牡・牝 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 2億円 |
菊花賞は、日本競馬のクラシック最終戦に位置づけられ、芝3,000mの長距離で行われる過酷なレースです。
イギリスの「セントレジャー(St. Leger)」をモデルにしており、長距離適性や持久力、レース戦略が問われる一戦となっています。
「最も強い馬が勝つレース」とも言われるほど、競走馬の総合的な能力が試されるのが菊花賞です。
瞬発力だけでなく、持久力、レース運びの巧さ、精神力、さらには騎手のレースメイクも問われるため、人馬ともに実力がないと好走は容易ではありません。
距離適性がない馬にとっては試練となるレースですが、ここを勝ち抜いた馬はその後の有馬記念や天皇賞(春)でも台頭しやすく、古馬になってからも活躍傾向にあります。
桜花賞
グレード | G1 |
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創設 | 1939年 |
開催競馬場 | 阪神競馬場 |
コース | 芝1,600m |
出走条件 | 3歳牝馬 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 1億4,000億円 |
桜花賞は、牝馬クラシック三冠の第一戦で、芝1,600mの距離で争われる牝馬限定競走です。
イギリスの「1000ギニー(One Thousand Guineas)」をモデルとしており、3歳牝馬の中からスピードと瞬発力に優れた馬が勝ち上がるレースです。
舞台となる阪神芝1,600mは直線の長いコースなので、スピードや瞬発力が求められるレースとなっています。
桜花賞を制した馬は、その後のオークス、秋華賞へと続くクラシック戦線において、牝馬三冠の第一歩を踏み出すことになりますが、中距離に自信がない馬はマイルG1のNHKマイルカップに向かうケースもたまに見られます。
いずれにしてもここで結果を残した馬は今後のマイルか中距離路線に駒を進めることになります。
オークス
グレード | G1 |
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創設 | 1938年 |
開催競馬場 | 東京競馬場 |
コース | 芝2,400m |
出走条件 | 3歳牝馬 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 1億5,000億円 |
オークス(優駿牝馬)は、牝馬クラシック三冠の第二戦で、東京競馬場の芝2400mで行われる牝馬限定競走です。
イギリスの「オークス(The Oaks)」をモデルにしており、3歳牝馬にとって最も重要な長距離戦の一つです。
舞台となる東京芝2,400mは翌週開催される日本ダービーと全く同じコースで、桜花賞よりも4F(800m)も距離が伸びるため、スピードだけでなくスタミナも求められます。
この時期の3歳牝馬にとって、芝2,400mを経験したことがある馬はほとんどいないので、桜花賞馬がその勢いのまま勝つこともあれば、より長距離適性のある馬が逆転するケースも多く見られます。
牝馬にとっては試練のレースですが、ここを制した馬は名牝として、秋以降の活躍にも期待できますよ。
クラシックレースに該当しない2競走

クラシックレースは、日本競馬において長い歴史と伝統を持つ3歳馬限定の競走ですが、似たような条件で行われるにもかかわらず、クラシックには含まれないレースも存在します。
それが「秋華賞」と「NHKマイルカップ」です。
どちらも3歳限定戦であるものの、クラシックの枠組みには属しておらず、異なる意図で創設されたレースです。
なぜこの2競走はクラシックに該当しないのでしょうか。その理由を見ていきましょう。
秋華賞
グレード | G1 |
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創設 | 1996年 |
開催競馬場 | 京都競馬場 |
コース | 芝2,000m |
出走条件 | 3歳牝馬 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 1億1,000円 |
秋華賞は、3歳牝馬限定のG1競走で、毎年10月に京都競馬場で行われます。
このレースは「牝馬三冠」の最終戦とされるものの、クラシック競走には含まれていません。その理由は、1996年に新設された比較的新しいレースであるためです。
元々、牝馬クラシックは「桜花賞」「オークス」の2戦のみで、その後の選択肢としてエリザベス女王杯がありました。
しかし、エリザベス女王杯が古馬牝馬の競走へと移行したことで、3歳牝馬の秋の大一番がなくなりました。そこで、クラシック最終戦としての役割を持たせる形で秋華賞が新設されたのです。
クラシック競走は長い歴史と伝統を持つことが特徴ですが、秋華賞は創設からまだ数十年と比較的新しいレースであるため、クラシックには含まれていません。
しかし、牝馬三冠の流れの中では重要なレースとして定着しています。
NHKマイルカップ
グレード | G1 |
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創設 | 1996年 |
開催競馬場 | 東京競馬場 |
コース | 芝1,600m |
出走条件 | 3歳牡・牝 |
負担重量 | 馬齢 |
1着賞金 | 1億3,000円 |
NHKマイルカップは、1996年に創設された3歳馬限定のG1競走で、東京競馬場の芝1600mで行われます。
クラシック競走とは異なる目的で設立されたため、クラシックレースには含まれません。
その背景には、かつて日本競馬が「内国産馬(日本生まれの馬)」を優遇し、外国産馬(〇外)のクラシック出走を制限していたことがあります。
しかし、1990年代になると競馬の国際化が進み、外国産馬にも3歳限定の大舞台が必要だと考えられました。
その結果、新たに創設されたのがNHKマイルカップです。当初は外国産馬のためのレースという意味合いが強かったものの、1999年にクラシック競走が外国産馬に開放されたことで、その役割は変化しました。
NHKマイルカップがクラシックに含まれない理由としては、
- もともとクラシック体系の一部として作られたレースではないこと
- 距離が1,600mと短く、伝統的なクラシック路線とは異なること
上記の理由が挙げられます。
現在では外国産馬もクラシックレースに出走可能になったため、NHKマイルカップの位置づけが変化し、純粋に世代最強マイラーを決める一戦として定着しており、当初の創設目的やクラシックレースとは異なる独自の路線を歩んでいます。
クラシックレースのまとめ

クラシックレースは、3歳馬限定の伝統的な競走で、日本競馬の競走体系において特に重要な役割を果たします。
「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」の牡馬クラシック三冠、「桜花賞」「オークス」の牝馬クラシックは、それぞれイギリスの競走をモデルに設計され、長年にわたって競馬界の頂点を目指す馬たちの舞台となってきました。
一方で、「秋華賞」や「NHKマイルカップ」も3歳馬にとって重要なレースですが、クラシックレースの枠組みには含まれていません。
秋華賞は比較的新しいレースであり、NHKマイルカップはもともとクラシックとは別の目的で創設されたレースだからです。
クラシック戦線を知ることで、競馬の歴史や競走体系の奥深さを理解することができます。
どのレースも競馬ファンにとって見逃せない熱い戦いの場であり、それぞれのレースの背景を知ることで、より競馬を楽しむことができるでしょう。