競馬は、日本でも人気のあるスポーツの一つで、多くの人が馬券を買ってレースを楽しんでいます。
しかし、競馬で当たったお金には税金がかかることを知っていますか?
今回は「競馬の一時所得」について、誰でもわかるようにやさしく説明していきます。
競馬の税金とは?

税金とは、国や地方自治体に納めるお金のことです。道路を作ったり、警察や消防署を運営したりするために使われます。お給料やお店での買い物にも税金がかかることがありますが、実は競馬で当たったお金にも税金がかかることがあります。
日本では、税金の仕組みが決まっており、所得がある場合には国に申告し、一定のルールに従って納めなければなりません。競馬の配当金も「所得」として見なされるため、ルールに沿った納税が必要になります。
競馬の配当金と一時所得

競馬で馬券を買い、それが当たると「配当金」がもらえます。この配当金は、税金の計算上「一時所得」と呼ばれる収入に分類されます。一時所得とは、たまに入ってくる特別なお金のことを指します。
競馬以外の一時所得は下記のものが該当します。
- 宝くじの高額当選
- 懸賞金
- 生命保険の満期金
- 競馬や競輪の配当金
- クイズ番組での賞金
これらは一時的に入る収入なので「一時所得」として扱われます。
宝くじの配当のみ非課税
一時所得は競馬以外にもいくつかのものが当てはまりますが、公営競技はほとんど全般が該当しています。
例えば、競馬や競輪、競艇など複数の公営競技を購入し、一年間に一定以上の配当金を得た場合は一時所得税を納税する義務が発生します。
ところが、日本の法律上、宝くじの配当のみ非課税扱いされています。
宝くじの配当に限ればいくら稼いでも非課税なので当たった金額がまるまる振り込まれる上、税金を支払う義務もありません。
競馬の一時所得の計算方法

競馬の配当金が一時所得になると、以下の計算方法で税金の対象額が決まります。
(配当金の合計-当たり馬券の購入費-50万円)×1/2
配当金の合計というのは馬券で得た払戻の合計金額です。
当たり馬券の購入費というのは、払戻を手にした際に購入した当たり馬券の金額です。例えば、100円の馬券で三連単1万円の払戻を手にした場合の当たり馬券の購入費は100円となります。
しかし、三連単5頭ボックス(60通り)で1点100円(総購入金額6,000円)で購入し、そのうち1点が的中して1万円の払戻を手にした場合の当たり馬券の購入費も100円です。
59点分の外れ馬券の購入費は一時所得計算式の対象外である点は覚えておきたいです。
50万円は、一時所得に設けられている特別控除です。一時所得は年間50万円未満だと納税の義務はありません。
競馬の配当金に税金がかかるかどうかは、次のポイントで決まります。
- 配当金の合計が50万円以下なら税金はかからない
- 50万円を超えると、その超えた分の1/2の金額に税金がかかる
例1:年間の配当が10万円・馬券購入費1万円の場合(全額が当たり馬券)
購入した1万円分の馬券が的中し、10万円の配当を得た場合(年間収支プラス9万円)の計算式は下記の通りとなります。
(10万円-1万円-50万円)×1/2
計算の結果、課税対象額が0円以下となるため、税金は発生せず、確定申告の必要もありません。
例2:年間の配当が30万円・馬券購入費20万円の場合(当たり馬券は1万円)
1年間で合計20万円の馬券を購入し、そのうち1万円分が当たり馬券で、1年間で合計30万円の配当を得た場合(年間収支プラス10万円)の計算式は下記の通りとなります。
(30万円-1万円-50万円)×1/2
一時所得の計算では、外れ馬券の購入費は控除できず、当たり馬券の購入費のみ計算に含まれるため、このような式になります。
このケースでは、課税対象額が0円以下となるため、税金は発生せず、確定申告の必要もありません。
例3:年間の配当が52万円・馬券購入費20万円の場合(当たり馬券は1万円)
1年間で合計20万円の馬券を購入し、そのうち1万円分が当たり馬券で、1年間で合計52万円の配当を得た場合(年間収支プラス32万円)の計算式は下記の通りとなります。
(52万円-1万円-50万円)×1/2=0.5万円(5,000円)
このケースでは、一時所得の課税対象額が5,000円となります。
例4:年間の配当が30万円・馬券購入費40万円の場合(当たり馬券は1万円)
1年間で合計40万円の馬券を購入し、そのうち1万円分が当たり馬券で、1年間で合計30万円の配当を得た場合(年間収支マイナス10万円)の計算式は下記の通りとなります。
(30万円-1万円-50万円)×1/2
このケースでは、課税対象額が0円以下となるため、税金は発生せず、確定申告の必要もありません。
例5:年間の配当が55万円・馬券購入費60万円の場合(当たり馬券は1万円)
1年間で合計60万円の馬券を購入し、そのうち1万円分が当たり馬券で、1年間で合計55万円の配当を得た場合(年間収支マイナス5万円)の計算式は下記の通りとなります。
(55万円-1万円-50万円)×1/2=2万円
このケースでは、一時所得の課税対象額が2万円となります。
年間の配当が50万円以上を超える場合、年間の収支がマイナスであっても一時所得が発生します。
「収支がマイナスだから一時所得が発生しない」
と考えるのは誤りで、一時所得が発生しないのは、年間の配当が50万円以下のケースに限られます。
馬券で一攫千金を狙う方はこのルールをしっかり覚えておきましょう。
例6:年間の配当が1億円・馬券購入費10万円の場合(当たり馬券は100円)
1年間で合計10万円の馬券を購入し、そのうち100円が当たり馬券で、1年間で合計1億円の配当を得た場合(年間収支プラス9,990万円)の計算式は下記の通りとなります。
(1億円-100円-50万円)×1/2=4,974万9,950円
このケースでは、一時所得の課税対象額が4,974万9,950万円となります。
平均配当が2,000万円を超えるWIN5でよく見られるケースですが、WIN5で高額配当を得た際、そのうちの約半分が一時所得として課税対象になる点は覚えておきたいです。
一時所得の税率は総所得によって決まる
競馬で発生した一時所得の課税対象額は、そのまま税率が適応されるわけではありません。
あくまでも総所得に応じた累進課税の対象となり、競馬の一時所得の課税対象額はほかの所得(例えば、給与所得や雑所得など)と合算されます。
その結果、トータルの課税所得が増えるほど適応される税率も上がる仕組みとなっています。
税率の詳細は下記の通りです。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税率に加えて住民税(10%)も加算されるため、最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)となります。
競馬の「一時所得」と「雑所得」の違い

競馬の配当金は基本的に一時所得に分類されます。しかし、一部の人は「雑所得」として申告することがあります。
一時所得と雑所得の違いは下記の通りです。
- 一時所得:たまに入る特別なお金
- 雑所得:継続的に発生する収入(副業など)
競馬の払戻金は 一時所得 に分類されますが、その計算方法が独特で、特に 外れ馬券が経費にならない ことが大きな違いです。
通常、所得は「総収入 -必要経費」で計算されますが、一時所得では 的中した馬券の購入費用 しか経費として認められません。
例えば、あるレースで三連単を 100点(各100円)購入し、合計1万円を賭けた 場合を考えます。そのうち 1点が的中し、100万円の払戻金 を得たとします。
このとき、経費として認められるのは 的中した1点(100円) だけで、残りの 99点(9,900円)は経費にならない ため、所得額が大きく計算されてしまいます。
これに対し、雑所得なら全ての馬券購入額(1万円)を経費として計上 できるため、競馬の払戻金を雑所得として扱えれば 納税額を抑えられる のですが、現行の税制では 一時所得として課税 されるため、競馬の利益は他の所得より 税負担が重くなりがち です。
雑所得として認められた例(2013年のハズレ馬券裁判事件)
2013年、大阪地裁で「ハズレ馬券は経費になるか」が争われた裁判がありました。
この裁判では、元会社員の男性が2009年から2012年の間に大量の馬券を購入し、約1億4,000万円の利益を得たことが問題となったのです。
国税庁は「当たり馬券の収益約29億円が課税対象で、ハズレ馬券の費用は認められない」と判断しましたが、男性は「ハズレ馬券も必要経費」と主張し、裁判になりました。
結果的に、長期間にわたる継続的な馬券購入が「雑所得」と認められ、課税対象は利益分のみとなり、脱税額は約5億7,000万円から約5,200万円に減額されました。
ただし、男性は雑所得としての申告もしていなかったため、最終的に懲役2月・執行猶予2年の判決を受けています。
この裁判では馬券購入が「継続的な収入」として扱われたため、雑所得となりました。
ただし、馬券は基本的に短期的な利益として扱われるため、継続的な収入として認められるケースは基本的にありません。
雑所得として認められなかった例(インスタントジョンソンじゃいさんの例)
お笑い芸人・インスタントジョンソンのじゃいさんは、競馬で数々の高額配当を的中させ、総額2億円以上の払戻金を得ていました。
特に三連単やWIN5の的中率が高く、競馬界でも「プロの馬券師」として注目されていました。
しかし、確定申告の際の所得区分が問題になりました。最初は「一時所得」として申告していましたが、競馬番組への出演や書籍の執筆などを理由に「雑所得」で申告するよう助言を受け、申告方法を変更したのです。
しかし、税務署はこれを認めず、追徴課税が発生しました。その額は「マンションが買えるほど」だったと言われています。
裁判も検討しましたが、最低6年以上かかると判明し断念し、やむなく追徴課税を支払いました。
しかし、その後WIN5で9,370万円を的中し、その払戻金で追徴課税を返済するという劇的な展開となりました。
競馬の配当金はバレるの?

「競馬の配当金を申告しなくてもバレないのでは?」と考える人もいます。しかし、税務署は銀行振込記録や競馬場の支払い記録を調査することができます。また、SNSなどで「○○万円当たった!」と自慢すると、それを見た税務署が調査をすることもあります。
さらに、大きな配当金が銀行口座に振り込まれると、金融機関が税務署に情報を提供することもあり、不自然な動きがあると調査対象になりやすくなります。
では、紙の馬券で当てた場合に関しては、正直なところ特に報告がないため、ネットで購入するよりもバレない可能性はあります。
しかしながら、一時所得の納税は義務ですし、バレてしまったら下記のようなペナルティもあるため、きちんと収めましょう。
- 無申告加算税:申告しなかった場合に課される罰金。
- 延滞税:税金を期限までに納めなかった場合にかかる利息のようなもの。
競馬の税金の確定申告方法

競馬の配当金で税金がかかる場合、確定申告が必要です。
確定申告は毎年2月半ばから3月半ばの1カ月間に前年の申告ができ、税務署やe-tax(電子申告)、郵送の3パターンがあります。
確定申告の流れ
- 1年間の配当金の合計を計算する。
- 当たり馬券を買った金額を整理する。
- 上記の計算式で税金の対象となる金額を算出。
- 確定申告書を作成し、税務署に提出する。
競馬の税金のまとめ

競馬で当たったお金には税金がかかることがあり、特に高額当選をした場合は適切に申告しないと後で大きな問題になる可能性があります。
競馬の払戻金は「一時所得」として扱われ、年間50万円を超える場合には課税対象となります。
頻繁に馬券を購入し、営利目的とみなされると「雑所得」と判断されることもありますが、基本的に雑所得として認められるケースは稀です。
税務署からの追徴課税を避けるためにも、正しい申告を心がけ、安心して競馬を楽しみましょう!