いよいよ、2024年の中央競馬が始まりましたね。
昨年は、世界ナンバーワンホースに君臨し続けたイクイノックスがG1を4連勝し電撃の引退発表。さらには、2020年のデアリングタクト以来、3年振り史上7頭目の牝馬三冠を達成したリバティアイランド(牝4)の大活躍などがありました。
また、海外のビックレースに目を向けると、3月にはウシュバテソーロ(牡7)がドバイワールドC(G1)を制し、パンサラッサがサウジカップ(G1)を制するなど、日本の馬が世界トップクラスのレースで勝利する姿には感動の連続でした。
さて、今年もどんなドラマが待っているのでしょうか。新年早々から楽しみが尽きません。
そんな今年の中央競馬ですが、例年通り金杯からスタートしました。
しかし、出走表を見ると「あれ、いつもと違う、この外国人騎手って誰?」って思った方は多いはずです。
特にルメートル騎手って誰?
ルメール騎手の表記間違いではないのって思いませんでしたか?
いや、これは、決して表記間違いや印刷ミスでもありません(笑)
実は、2024年の中央競馬では、年明け早々から短期免許を取得した5名の海外ジョッキーが参戦しています。
ただ、短期免許で来日する海外ジョッキーといえば、R・ムーア騎手やJ・モレイラ騎手、C・デムーロ騎手などに加え、2023年の日本ダービー(G1)でタスティエーラ(牡4)を勝利に導いたD・レーン騎手は特に有名ですよね。
しかし、今回来日した5名のジョッキーは、日本でなかなか馴染みの少ないジョッキーです。
そのため、今月より参戦している5名のジョッキーがヨーロッパやオーストラリアなどでどのような活躍をして日本へやってきたのか知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで、2024年初頭に短期免許を取得し来日した5名の海外ジョッキーたちを全5回に分けて紹介していきたいと思います。
いずれの騎手もはるばる日本に来日しているだけあって、なかなかの実績を持った凄腕のジョッキーたちばかりですが、記念すべき第1回目はA(オレリアン)・ルメートル騎手について紹介します。
- A.ルメートル騎手の生年月日や経歴が分かります。
- A.ルメートル騎手の海外における主な活躍が分かります。
- A.ルメートル騎手の日本における実績が分かります。
A.ルメートル騎手とは?
- 国籍 フランス
- 出身地 フランス
- 生年月日 1989年7月3日
- 身長 168cm
- 体重 52kg
テンダンス × A.ルメートル騎手 pic.twitter.com/wcKDAoY55w
— gpic (@gpic_keiba) January 27, 2024
A(オレリアン).ルメートル騎手(以下、ルメートル騎手)は、1989年7月3日、フランス生まれの現在34歳。身長は168センチメートル、体重52キロと日本人騎手の平均身長162センチに比べると少し背が高いです。
中央競馬所属騎手でいえば、松山弘平騎手や津村明秀騎手と同じくらいの年です。
そんなルメートル騎手は、馬を趣味にしていた父親の影響を受けて、14歳の時にシャンティイ近郊の競馬学校に入学しました。
その後、凱旋門賞を4回制した元ジョッキーのフレディ・ヘッド調教師に弟子入りし、2005年の6月に母国フランスで騎手デビュー。
2015年に重賞を初制覇し、2018年にはロートシルト賞(仏G1)をウィズユーで勝利。これがG1初制覇となりました。
余談ですが、このロートシルト賞は2004年に創設されたフランスの芝マイルG1ですが、記念すべき第1回大会では、ミルコ・デムーロ騎手、第2回大会では、クリストフ・ルメール騎手がそれぞれ優勝しています。
両騎手とも日本で活躍している騎手だけに、何だか親近感を感じますね。
その後、2022年末にフレディ・ヘッド調教師が引退したため、現在では息子のクリストファー・ヘッド調教師の元に所属しています。
そして、2024年は短期免許制度を利用し、初来日しました。
免許期間は1月6日〜2月25日までで身元引受人は栗東の斉藤崇史調教師で契約馬主はフジイ興産です。
これまでの実績や主な勝鞍は?
ルメートル騎手の近年成績を見てみますと、2021年には68勝を挙げフランスのリーディング13位、2022年には、69勝でリーディング8位でした。
そして、初来日前の2023年シーズンは、75勝を挙げてリーディング5位の成績を収めていますので、ここ数年で実力を付けている騎手と言えそうです。
※成績は、JRAのホームページより
また、ルメートル騎手といえば、2022年のマルセルブーサック賞(仏G1)、2023年のフランス1000ギニー(仏G1、日本でいうと桜花賞のイメージ)、仏オークス(仏G1)を制したブルーローズセン(牝4)の主戦騎手でもあります。
なお、フランス牝馬三冠に挑んだヴェルメイユ賞では、単勝1番人気ながらウォームハート(牝4)の5着に敗れ、惜しくも牝馬三冠はなりませんでした。
しかし、凱旋門賞と同じ日に行われる「牝馬限定の凱旋門賞」として、位置付けられているオペラ賞(仏G1)を制し、二冠牝馬を見事に女王復活へと導きました。
さらには、同年のイギリス・アスコット競馬場で行われるクイーンエリザベス2世S(英G1)でも4番人気だったロックオブジブラルタル産駒のビッグロック(牡4)で制するなど、決して本命馬だけではなく伏兵馬も優勝に導く騎乗技術を持ち、近年の活躍は目まぐるしいものがあります。
なお、このレースはイギリスの下半期のマイル最強馬決定戦に位置付けされているレースで格式が高いレースでも有名です。
そんなルメートル騎手は、ここまでG1競走を8勝し、G2・14勝、G3・25勝を挙げ、通算勝利数は800を超える実績を持って初来日しました。
素晴らしい実績と実力を兼ね備えている騎手であることは間違いありませんね。
日本での実績とは?
2024年の中央競馬初開催となる1月6日に京都競馬場で初騎乗し、同日5Rの3歳未勝利戦にて4番人気だったエラート(牝3)を優勝に導き、来日5戦目にして初勝利を飾りました。
なお、エラートの母エラヤは父がシユーニであり、フランスでも成功を収めた競走馬でした。
シユーニといえば、2023年の朝日杯フューチュリティS(G1)で2着に入ったシンエンペラー(牡3)の父でもあり、シンエンペラーの全兄は2020年の凱旋門賞を制したソットサスです。
ムーランドロンシャン賞(仏G1)などのG1を3勝したエルヴェディアの全妹にあたるエラートは、吉田勝己氏とナルヴィック・インターナショナルのエマニュエル・ド・セル―氏によってアルカナ繁殖セールにて、26万ユーロ(約3,600万円)で購入されました。
父がディープインパクト産駒のサクソンウォリアーで母がフランス所縁の血とあって、まさに日本とフランスの血統を持つエラートをフランス人ジョッキーのルメートル騎手が初勝利に導くところに何だかドラマ性を感じましたね。
また、翌日にも同じく京都競馬場で1勝を挙げ、馬券圏内に3回も入る活躍を見せています。
さらに1月14日には、伝統ある京都の重賞レース、日経新春杯(G2)でヒンドゥタイムズ(セ8)に騎乗しましたが12着に敗れており、さすがに重賞の壁を実感されたと思います。
翌週21日の東海ステークス(G2)では6番人気のオーロイプラータとコンビを組みましたが5着でした。
重賞ではなかなか馬券に絡んでいませんが、条件戦や未勝利戦では人気穴馬問わず上位に持ってきており、早くも日本競馬で結果を残しています。
2月一杯まで日本で騎乗するので、まだまだ活躍に期待したいですね。
まとめ
今回は、フランスの実力派ジョッキー、ルメートル騎手をご紹介しました。
ルメートル騎手は日本での初勝利の際に「日本での騎乗は自分にとってすごく良い経験になるので、これからも頑張りたいと思います」とコメントされています。
さらに日本での目標を聞かれると「多くの方が競馬場に来てもらえていますので、私の頑張っている姿を見てもらえればと思います」とコメント。決して、奢ることなく謙虚な姿勢に好感が持てましたね。
これは完全に私的意見ですが、ルメートル騎手が有力馬に騎乗し、ルメール騎手との上位人気馬対決となれば「トが付く方か、付かない方どっちが来るのかな?」的なネーミング対決も話題になりそうと密かに思っています。
そして「ベガはベガでも…」ではないですが「ルメはルメでもルメートルだ!」のような実況にも期待したいです(笑)
短期免許なだけに日本での騎乗日数は限られていますが、そんなフランスの実力派ジョッキー・ルメートル騎手に是非とも注目してみてください。
もしかすると、万馬券がゲットできる日が来るかも知れませんよ。
※ルメートル騎手のコメントはJRAのホームページより