皆さんは【ばんえい競馬】を見たことがありますでしょうか?
ばんえい競馬は、馬がソリを引き勝敗を決めるという、世界的にも珍しい競馬です。 体重1トンを超える巨漢の馬たちが、鉄製のソリを引いて力とスピードを競う、その迫力はまさに圧巻です。
北海道開拓の歴史と共に発展してきたばんえい競馬。 100年以上続く伝統と、地域の文化が育んだ独特のレースは、単なるスポーツの枠を超えた魅力を持っています。
この記事では、そんなばんえい競馬の魅力や歴史など、様々な角度からご紹介します。
ばんえい競馬とは ?
ばんえい競馬は、北海道・帯広市にある帯広競馬場で開催されている地方競馬です。 一般的なサラブレッドの競馬とは異なり、体重1トンを超える巨体を持つ【ばん馬】が主役です。
ばん馬とは、フランスのブルトン種やベルギーのブラバンソン種などを改良して作られた日本固有の品種で、サラブレッドとは全く異なる力強さが特徴の大型馬です。もともとばん馬は農林業や運搬で使役されていましたが、車やトラクターが普及したことで、ばん馬は競走馬として生産されるようになりました。
そんなばんえい競馬のコースは直線200mで、途中に障害と呼ばれる山が二つあります。 最初の山(第一障害)は高さが1m、2つ目の山(第二障害)は1.6mもあり、ばん馬は鉄製のソリに騎手を乗せ、さらに重りを乗せた状態でソリを引きゴールを目指します。 ばんえい競馬のコースは一つしかないのも特徴と呼べるかもしれません。
ちなみにばんえいとは漢字で書くと【輓曳】と書き、どちらの漢字も荷物をひくという意味を持ちます。 また、荷物であるソリを完全に引ききったらゴールになるのも、ばんえい競馬の面白いところかと思います。
※中央競馬や地方競馬など、一般的なサラブレッド競走は頭の先端がゴールになります。
現在では、帯広市の観光資源の一つとして、多くの人々を魅了しています。
ばんえい競馬の歴史
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ばんえい競馬は、北海道の農村において【お祭りばん馬】という娯楽として人々に楽しまれていたものが起源と言われています。 確認できる一番古いものだと1915年からやっていたとされており、100年以上前から親しまれてきたことがわかります。 厳しい冬の寒さの中、人々は大きな馬の力を借りて農作業を行っていましたが、その馬たちの力強さを競うイベントとして【お祭りばん馬】が開催されるようになりました。
そして、第二次世界大戦後、日本の復興政策の一環として、ばんえい競馬は公営競技として認められました。 昭和21年に地方競馬法が制定され、ばんえい競馬もその対象となり、北海道各地でレースがばんえい競馬が開場します。
2006年まで北海道の北見や岩見沢、旭川でも開催されていましたが、3会場はすべて廃止され、現在は世界でも帯広のみとなってしまいました。
帯広も一時は売り上げの低迷から撤退を危ぶまれましたが多くのファンからの嘆願や寄付、スポンサーにより開催は維持され、その後普及したインターネット投票によって奇跡のV字回復を達成し、今では帯広の観光地としての機能も果たしながら運営されています。
ばんえい競馬の魅力や見どころ
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ばんえい競馬の最大の見どころは、なんといっても2つ目の大きな障害、第二障害を越える瞬間だと思います。 すべての馬が障害の前で息を整え、騎手の号令とともに一気に駆け上がる姿は見てみる人も力んでしまうほどです。
また、ばんえい競馬のコースは直線のため、レース中もすぐそばで馬の力強い走りを見ることができます。 馬の息づかいや蹄の音、そして筋肉の動きまで、間近で感じられるのが魅力といえるでしょう。
なお、ばんえい競馬の馬場状態は、レースの展開を大きく左右します。 具体的には馬場水分が高い方がソリが滑りやすく、タイムが縮まる傾向にあります。 そのため、サラブレッドのダートコースと同じように乾いた馬場を好むパワータイプの馬と、湿った馬場を得意とするスピードタイプの馬がいるのも魅力の1つかと思います。
さらに、ばんえい競馬には、視覚・聴覚的な楽しさもあります。 スタートの走り出しで鎖の音がシャンシャンと鈴のように聞こえたり、馬のたてがみにリボンなどの飾り付けがされているなど、細部にまでこだわりが感じられます。 個人的には「ワタシハヒマワリ」という名前の馬のたてがみに造花のヒマワリがつけられていたのが印象的でした。
そして、ばんえい競馬には、協賛レースがあります。 1万円から協賛でき、レース名も自由につけられる協賛レースは、誕生日のお祝いやサプライズなど、特別な日に利用する方も多く、思い出に残るイベントになるでしょう。
ばんえい競馬とは?:まとめ
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この記事では、ばんえい競馬の魅力をご紹介しました。
体重1トンの巨漢の馬たちがソリを引いて競う迫力あるレースは、一度見たら忘れられません。 特に、冬の寒空の下で行われるレースは、その迫力もひとしおです。
障害を乗り越える瞬間や、馬の力強い走りなど、他の競馬にはない独特の魅力がばんえい競馬には詰まっています。
機会があれば是非とも現地でその迫力を体感してほしいです。